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北アイルランド Belfastの旅。

アイルランド北端のUlster(アルスター)地方には9つの州があり、そのうち東側の6州はイギリス領です。
北アイルランドの紛争の歴史(英国では"The Troubles"と呼んでいるらしい)は民族と宗教の違いに端を発し、その複雑さと根深さを完全に理解するのはかなり難しいです。

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Belfast名物(?)Big Fish。


旦那さんのペコマが留学しているBelfast(ベルファスト)は、そんなアルスター地方最大の都市。アイルランド全土ではダブリンに次ぐ大都市だそうです。

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留学先である"QUB"(クイーンズユニバーシティベルファスト)前で。


先月は、自分の誕生日である9月10日から丸3週間、このベルファストの街で暮らしていました。


今回の旅はクライミングや登山が目的ではなく、ペコマとのこの街での暮らしを満喫してきました。


出国日は記録的台風で欠航が相次ぐなか、運良く夜遅い便だったため無事出発!
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エミレーツ航空のエアバス380はバブリーな内装でエコノミークラスでも快適。ご飯も美味しいしトイレの水道はセンサー式だし。一般人は立ち入れない(?)2階部分(シャワーやスパもあるとか!)がいつも気になる!


イギリスの入国審査は、日本のパスポートなら自動化ゲートを通れるので早くて快適!
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ロスやサンフランシスコのような厳重さ、煩わしさはほぼありません!


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ベルファストシティ空港(BHD)は小さくて使いやすい。空港から市街地まではバスで往復4ポンドです。



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到着した日の夜は肉肉しいバースデー飲み!


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日常のヒトコマ。ペコマを大学に送り出したあとはカフェで読書や英語の勉強。写真はお気に入りパティスリーカフェ"Patisserie Valerie"のクロワッサンサンドと、英語学習者御用達の"Duo 3.0"。1週ごとにペコマと罰ゲーム付きの暗記合戦をやってました(笑)。



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ランチは大学構内のカフェで合流。葉っぱを食べる習慣のないイギリスでこのサラダバーは嬉しい!



大学が終わったらスポーツセンターに合流して着替え、走ったり筋トレしたり。
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ビジターでも1ヶ月36ポンドのパスで利用できました。トレーニング後はここでシャワーも浴びて帰ります。

クライミングジムは歩いて3kmとちょっと遠いんだけど、週2くらいで行ってました。



もちろん、パブにも沢山いきました。
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外で飲めるのも楽しい!


お部屋でTESCO(スーパー)の肉を焼いたり。ロモ・サルタードを作ったり。
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BAOのテイクアウトしたり。(英国では"to go"ではなく"take away"という)


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天気がいい日はもちろん登りに!



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不思議な雲に見とれたり、ボーダーコリーの子犬と遊んだり。


またある日は、ペコマを大学へ送り出したあと街中をお散歩!

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おしゃれスーパーを散策。"サワーズ"と"アボカ"。


ペコマが留学しているQueen's University Belfast周辺は大学生の街ってかんじです。
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近くのスタバには大学生がたむろしている。


中国人も多い。中華料理のお店もたくさんあって、なかでもココは人気店。"HotPot(火鍋)"のお店!

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肉、野菜、魚介、キムチなどなどバイキング形式で1人20ポンドは安い!一人用のIH内蔵テーブルで、ミニ火鍋と焼肉を同時に楽しめる。ヘルシーで美味しかった〜。


ちなみにイギリスの物価は日本と比べて高めで、スーパーに売っているものの価格は日本とほぼ同じくらいですが、外食すると約1.5倍くらいの感覚です。



またある日の朝はイギリス式に。
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" クリームティ"(紅茶とスコーン+ジャム+クロテッドクリームのセット)をしてみたり。


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そしてまた登りに!ここ、Fairheadの岩場はベルファストから車で1時間ちょいのシークリフです。


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30〜60mほどの玄武岩の柱状節理が数キロに渡って聳え立つ、一大クライミングエリアです。各ルートには懸垂下降で取り付きます。


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グレーディングはEグレードで、終了点含めボルトは一切なし。クラックやリスが閉じていようと関係ありません。でもほとんどの人が、ヤバいルートはTRで登るか、TRリハーサルをしてからトライするようです。



3度目になるベルファスト訪問もこれで最後かあ。ということで、記念撮影さんぽ。

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ボタニクスガーデンで記念撮影!帽子はペルーのお土産。


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人気のアジア料理店"Jumon"でらーめん。



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ハーフマラソンにも出てみたり。


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ちなみにマラソンの前日は北アイルランド最大のお祭り、"カルチャーナイト"でした。


たまには街歩きデートもね。
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巨大路上チェスを楽しむ人々。


最後の週にはアイルランドの首都、ダブリンへ小旅行!
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列車に揺られ2時間。


ダブリンは3月にも一度観光しましたが、今回はその時行けなかったトリニティカレッジに行きました。

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トリニティカレッジは400年以上の歴史がある、アイルランド最古の国立大学。"世界で最も美しい本"と称される、1000年以上前に描かれたゴスペルの本"ケルズの書"や、映画「スターウォーズ」の"ジェダイ図書館"のモデルにもなり、長さ65m、約20万冊を蔵書する"Long Room"など、見どころ満載です!


で、見学が終わったなら繰り出します。いざ、パブの街ダブリンへ!

ダブリン観光なら必ず行くべし、"The Temple Bar"、からの、ハシゴ、ハシゴ・・・。
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シーフードも美味しいダブリン。ギネスは生牡蠣と楽しむのが通だとか。


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アイリッシュパブは昼から翌朝までずーっと営業していて、1日に何度もローカルミュージックをメインとした生演奏が楽しめます。

食後のコーヒー(アイリッシュコーヒーやベイリーズコーヒー)だって、締めのアイス(ベイリーズアイス)だってアルコール入り。
宿で仮眠も挟んで1日がかりの肝稽古でした!


帰国前の数日もベルファストでゆっくり。ペコマは月1のプレゼンも終えて完全自主休暇モード。

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美味しい日本食屋見つけた!"Kamakura"さん。


岬まで電車で行って、家まで16kmほどの海沿いラン。
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ハーフマラソンの疲れが残っていてけっこう辛かった(笑)


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美味しいものを食べて、飲んで、笑って、走って登って、英語もやって。

旅人ながら、少しだけベルファストの住人気分も味わった3週間。


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帰国のフライト直前、空港のカフェにてラストランチ。


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遠い海の向こうにまたひとつ、心のホームタウンが増えました。
その土地の文化に触れ、人に触れ、それまで縁もゆかりも無かった土地が、身近な場所になる。
旅はやっぱりいいものです。

"Viajera"ちっぺの旅はまだまだ続きます。

2019/9/22 Deep RiverRock Belfast City Halfmarathon 〜 ハーフマラソン初出場!

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本日は記念すべき、人生初のハーフマラソン出場でした!
というブログを書きますが、興奮しているから長いです(笑)。


タイムは1:40:29でした。(ネットタイム)
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一応、目標タイムを上回ることが出来ました!


このハーフ出場を見据えて、6月くらいから、まず走る習慣をつけることにしました。
真面目なランナーさんは月300kmくらい走るそうですが、私はクライマーなのでと言い訳して・・・

6月は計11日71km、7月は計4日35km、8月はペルー遠征でほぼ0km。
で、9月に入ってベルファストへ来てからこれまでには、計10日84.5kmほど走り込みました。


陸上は全くの未経験ですが、これまでの人生最高タイムは、自衛隊の体力検定で走った3000m走の12'00"です。20台後半の頃の記録です。

ですが、大学3年生のときにひどい自己流トレーニングをやって(ぜんぜん陸上部ではなかったのですが)、結果、両膝と両足裏のオーバーユースの総合商社みたいになってしまった時期があり(両鷲足炎、両腸脛靭帯炎、両足底腱膜炎で松葉杖生活にまでなったorz)、その古傷が何年たっても再発を繰り返していたので、このタイムを出したときもトレーニングは一切せず、ほぼぶっつけ本番でした。

その後の5kmほどの職場の競技会などでも、だいたい04'12"/kmくらいでは走れていたのですが、退職前の数年はそうした本気ランをする機会もなくなり、やはり怪我の再発を恐れていたので減量以外の目的で走る習慣はありませんでした。


それがここ最近、TJARへの憧れから、ペコマとの間でトレランやマラソンの話題が増え、半年ほど前からペコマが一足先に本格的にランニングにはまりはじめました。そこから彼はベルファストで早々とフル、ハーフの経験を積み、日々トレーニングに勤しんで徐々にレベルアップしていました。そして本日、ついに私もハーフに出場することになったといういきさつです。


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私にはオーバースペック過ぎるターサージール5。でもコレしか持ってない。


実際、30を過ぎた頃から徐々に、長距離を走っても膝や足底の痛みが起こらなくなってきました。
この9月に入ってからの走り込みでは、右足底腱膜炎が再発しかけたものの、うまく痛みと付き合いながらトレーニング、調整を続けることが出来ました。


このかなり昔の記録(12'00"/3km)をもとにDanielsさんの式に当てはめて計算してみると、マラソンは3:18:07、ハーフは1:35:13で走れる力があると出てきますが、もちろん今はもっともっと衰えています(笑)。

ということで、最近のトレーニングでの体感も踏まえて目標タイムを1:45:00に設定しました。
これはペースにすると4'58"/kmくらいです。


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トレーニングをはじめてすぐに感じたのは、圧倒的な脚筋力の低さでした。最近のトレーニングからApple Watchが勝手に計算したあやしげなVO2maxは、58.08mL/(kg・分)。でも今月の前半くらいまでは確かに、心肺機能と脚筋力が釣り合っていないと自覚していました。もっとペースを上げたいと思っても先に脚が動かなくなってきてしまい、心拍数も145/分くらいまでしか上げられていなかったのです。

そこに気づいてから後は、ちゃんと心拍数を上げられるよう、つまり走力を上げるよう意識してトレーニングしました。といってもやることはもちろん走るだけ。ケイデンスを上げるよう意識してみたり、乳酸排泄能力を高められるよう、疲れていてもなるべく毎日走るようにしたり。つまり、ただただ走りました。走ることでしか走る筋肉はつけられないので、とにかく走りました。

結果、レース前にはキロ5分弱でかなりの距離を走れるようになってきました。


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レース1週間前からは、アルコールを我慢し(少しは飲み笑)、カフェインも減らし(紅茶1日2杯程度)、1日に走る距離を短くして調整。
前日は完全レスト。そして今日、本番を迎えました。


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ゼッケンにチップが埋め込まれていてタイム計測をしてくれます!


出走4時間前に起きて朝ごはん。消化に良いよう、脂肪少なめのサンドイッチとクロワッサン(これは好きだから仕方ない!)。

出走1時間半前にバナナ1本。出走1時間15分前に家を出て、会場へ向かいました。

はじめてのレース、人が続々集まってきてワクワクする!

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空はどーーんより。でもテンションうなぎ!


ついてすぐトイレに並びましたが長蛇の列です。並んでいる最中に"アレ"のことを思い出して、出走30分前に慌てて飲みました。


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カフェイン75mg!


トイレを済ませた後、荷物を預けて軽くストレッチしたらすぐに出走15分前となりました。


大雨予報だった今日ですが、ありがたいことに天気はまだなんとか持ちこたえています。

スタート地点に移動してペコマと別れ、「1:45」(1時間45分)のノボリを担いだペーサーの後ろにくっつきます。
ここでさらにカフェイン20mgを追加摂取。
(なんかまた尿意が・・・でも気づかないフリ)

5000人以上が出場しているという今大会、たくさんのランナーがひしめき合う中、徐々に盛り上がっていくスタート地点!
ああ、ついにはじまるんだな。弱そうな人も強そうな人もみんな沸き立っています。21kmも走れるのかな私、と思いつつ、ワクワク。そして出走時刻の9時を1分ほど過ぎたころ、私のまわりものろのろと前へ進み始めました!


走り始めてすぐ、「このペーサーでは遅いかな」と感じ、以後私の少し前を走る"心のペーサー"をとっかえひっかえしながら、予想より早いペースで進んでいきました。


ほどなくして強い雨脚で雨が降り始めたけれど、それさえ心地よいちょうど良い気温でした。


混雑が解消され、ペースが安定してから10km地点くらいまでは4'32"〜4'39/kmくらいで気持ちよく走れました。
あと半分なら楽勝な気もするけれど、21kmでどの程度のペースでいけばいいのか?まだ自分の走力を計りきれていません。後半バテるのが少々心配ではありましたが、結局それほど大きくペースを落とすことなく走りきることが出来ました。


お尻とふとももとふくらはぎがなんとなく攣りそうなのも無視しつつ、すっかり馴染み深い場所となったベルファストの街を駆け抜けます。


車が長蛇の列を作って待ってくれていたり、エイドステーションや要所要所でたくさんのスタッフが雨の中働いてくれていて純粋に感謝の気持ちが湧いてくる。

自分が出場者側になって走っているなんて不思議な気分でした。


12マイルをすぎてラスト1マイル!となってからはちょっとだけペースを上げましたが、最後の400mくらいは完全にオーバーヒートして若干意識朦朧としました。


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先にゴールしたペコマが待っていてラストの動画を撮ってくれました!

ちなみに彼は80分ギリという快挙を成し遂げて自分でも驚いていました。


Apple Watchは雨でずぶ濡れになってからしばらくおかしくなってしまい、18.28kmで1回切れてました。
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最後の3kmもまあまあのペースを維持できました。
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12日前に誕生日を迎えて、ついに四捨五入すると40歳となる歳にまでなりましたが、この歳になってもまだまだ「はじめてのことばかり」で「ワクワクする」という体験が出来るのは幸せなことでした。


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ラストスパートでへろへろ〜。


スピードを落とさないよう、走りながら手を伸ばして、エイドステーションのスタッフから水を受け取るのも人生初!でも走ったままだとぜんぜん飲めなくて、頭からかけて、上気した顔にもかけて、一口だけ飲んで、そのあとそれを道端に放り投げるのも初(笑)。エナジードリンクみたいなものももらったし、沿道の声援もいっぱいもらったし、とにかく何もかもが新鮮でワクワクして、とても楽しい初レースでした!!

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完走後に部活。@ベルファストいちの人気ステーキ屋さん、James St。


もっと早く走れるようになりたいという気持ちが湧いて来てしまいました(笑)。
これからも少しずつトレーニングを続けていけば、タイムは上げられる気がしています。
怪我しない程度にランニングも楽しんで、つぎはフルマラソンに出場したいです。


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元気が出て来て、夜にはパブ🍺


あ。ちなみに東京マラソンは落選でした^^;
明日はランお休みでクライミングジムかな〜。

フィールドアクティビティにおける女子トイレ事情 〜クライマー的、医学的観点から〜

2019092006300944f.jpeg2019年 ヨセミテにて。


生物学上れっきとした女子である筆者は、大学4年の終わりに登山に目覚めてからというもの、これまでずっと山に関わる様々なフィールドアクティビティに興じてきました。


2019092006301363e.jpeg2019年 シャモニにて。


無雪期や残雪期の山歩き、百名山ハントにはじまり、ロッククライミング、無雪期のバリエーション登山、沢登り。少しずつフィールドを広げて行き、ビッグウォール、アイスクライミングや冬季登攀、バックカントリースキーもかじり出し、ごく最近ではトレイルランニングにも興味を示して収拾がつかなくなっています。身体が最低でも2つはほしい(笑)。


IMG_8342.jpg2016年 El Capitan "The Nose"にて。


そんななか、フィールドでのトイレ問題というのは常につきまとってきました。男性ならそれほど問題にならない場面でも女性にとっては時に致命的にもなり得ます。


maekawaootaki.jpg2012年 前川大滝沢滑川大滝にて。


この記事では、私自身の経験と独断およびこのテーマに関してよく纏まっていたREIの記事(最下部に記載)に基づいて、そんな女子のトイレ事情について思うことを書きたいと思います。
そして、私は(一応)医師でもありますので、医学的な視点も附記出来ればと思います。


コンプライアンス遵守の精神に則り(笑)、舞台は"どこか海の向こうの国でのアルパインクライミング"としましょう。
もちろん"海の向こう"であっても、トイレがあるところではトイレでする(努力をする)し、止むを得ず"そこらへん"でする際には環境に配慮することが大前提です!


IMG_8335.jpg2018年 タイプラナンビーチにて。


さて。前置きが長くなってしまいましたが、ひとことでいうと排泄の面で女性は男性と比べ圧倒的に不利です。

第一の理由はもちろん、泌尿器系の形の違いです。リーチや体格差についてなら、必ずしも女性のほうが不利とは言い切れませんが、この点に関してだけは女性が絶対的に不利と言えるでしょう。

それにもちろん、社会的な問題、羞恥心なども付け加えて然るべきでしょう。コアな女性クライマーの方々はそこらへんはあらかた解決済みかと思いますが、常識的な羞恥心は無視できない問題です(笑)。

形の違いで女性が不利になるのは主に2点。1点は、排尿のしにくさという利便性の面。そしてもう1点はもっと重要、衛生面です。

女性は男性ほど排尿が容易でないし、尿路感染症にもかかり易い。これが野外女子トイレ事情の悩みのタネです。


では、みなさんどのようにしてこの"不便"を克服し、大好きなクライミングを楽しく続けているのでしょう?
以下、場面ごとに考えてみましょう。


201909200630163b8.jpeg先週の肉。あ、今更ですが写真は記事の内容とあまり関係ありません。


1."pee-bottle" 通称"ションポリ"のおはなし。

悪天候時の冬山や高所登山など、テント内で用を足さざるを得ない時があります。そんなとき男性は"それ"をひょいと取り出して、尿器、俗称"ションポリ"なるものに突っ込んでしまえばハイ、終わり。失敗することはまず無いんじゃないでしょうか(予想ですが)?


IMG_1564.jpg2019年 デナリBCにて。


しかし女性の場合そうはいきません。解剖学的に外尿道口がかなり奥の方に引っ込んでいて、かつ小陰唇と呼ばれるヒダの中に隠れています。生々しい話になってしまいますが、これは悲しくも無視できない現実です。
狭いテント内で小さな的めがけて排尿するのは生易しいことではなく、練習と慣れが必要になります。

そんな女性の尿路の構造を理解すると、テント内での排尿は、ひざまづいて、"ションポリ"を適切にあてがって、行う必要があります。

そこでまず、用意すべきマイ"ションポリ"の口は直径7cmくらいのものを推奨します。
これは私が勝手に推奨しているだけですが、外性器全体を覆えてかつ肛門は外せるくらいの大きさとなるとこのくらいです。
外性器が複雑な形状なので、これより小さいとどこかしら漏れる可能性があり、これより大きいと肛門にかかって不潔になります。

REIの記事では👉コチラを推奨していますが、私もこのナルゲン容器はおすすめします。
ただ、2.8Lは大き過ぎると思います。これの1Lタイプが日本国内でも売っていますのでそちらを推奨します。


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NALGENE:フォールディングカンティーン1L。写真は"sumally"から転載



一般的な成人の1回尿量は200cc〜400cc、1日に1500cc程度ですが、高所や寒冷地では高度順化、低体温症・凍傷予防などの観点から積極的に飲水すべきで、その場合は尿量がこれより多いかもしれませんし、ダイアモックスを内服しているとさらに多いでしょう。
ションポリの容量が500ccだと下手したら1回で捨てに行く(テントの外に出る)必要が生じます。でも2Lは多すぎ。そんなに溜め込んでいたら雑菌も繁殖しやすくなります。

それに、1L以上尿が入った重たい容器をあてがって、うまくいかないなってやっていて、もしひっくり返したら・・・。考えたくもありません(笑)。

1Lくらいが妥当なのではないかと思います。


ちなみにこのナルゲン容器のように柔らかい素材でない(ボトルタイプなど)ものを使うときは、ひざまずいてあてがう便宜上500cc程度が限界かと思います。(移し替える別容器があれば外へ捨てに行く手間も省けます)


どちらにせよ、練習なしぶっつけ本番だとテント内で悲しい思いをするので、お風呂場などで練習してから使いましょう。


IMG_0699.jpg2019年 デナリ国立公園にて。


老婆心ながら、冬に多量のアンダーウエアなどを着込んだ状態で、狭いテント内でやろうとすると意外と難しいです。なかなかうまくいかない人は、恥ずかしいでしょうが一度鏡で自分の"解剖学的構造"をよく観察して理解し、再トライすることをおすすめします。

それとREIの記事にも書いてありますが、"ションポリ"には消えないペンなどで派手に印をつけておいて、決して普通の水容器と間違えることのないようにしましょう(笑)。


20190920063016c56.jpeg今週の肉。


2. "funnel" "じょうご"のおはなし。

大便なら男女に差はないものの、女性は"大"より回数の多い"小"でさえ、下半身を露わにしなければなりません。それが吹雪の中であっても、断崖絶壁でも。とくに冬は衣類が濡れたら大問題です。背に腹はかえられないから、勇猛果敢に下半身を露出するしかありません。また、同じ理由から、通常は"羞恥心"というか男性メンバーへの"心遣い"から、女性は他のメンバーから見えにくいところまでわざわざ移動して排尿しがちです。それが安全上の問題を生ずる可能性もあります。


20190920063016847.jpeg2019年 シャモニにて。


この問題を解消すべく、じょうご型の女性用尿器がいくつか販売されています。使っている方も周りに何人かいらっしゃいます。これを"適切に"あてがって、チューブの先端を服の外へ出すことにより、男性と似た形で、ズボンをおろさず用を足せるというものです。


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REIが紹介する女性用尿器の一例※この他にも多くの類似製品が(欧米では店頭で普通に)売られていますが、国内ではみたことがありません。通販で買えます。


しかしこれもかなりの練習が必要です。また、用を足した後はこの尿器を拭くか何かして清潔に保つ必要があるでしょう。
実は私も数回これを試したのですが、あまり好きになれず使うのをやめてしまいました。理由は以下の通りです。

・思った以上に難しい。時間がかかる。
・これを使い始めるより前に、サッとズボンをおろして素早く用をすませる術を身につけてしまったため、あまり必要性を感じなかった。
・野外で使用後、尿で濡れたコレの処理も面倒。(拭くための紙とか、これを入れる袋を用意したりとか)


201909200630160c2.jpegこの間。Fairheadにて。


ちなみに、私は普通のロッククライミング(マルチピッチなど)のときはハーネスを履いたまま小用を足せます(=ハーネスを履いたままズボンを下ろすことができます)。また、小用のあとの"拭き取り"はおりものシートで代用しています。そして、この手の複雑な作業は冬季登攀中はほぼ不可能と感じます。(かつ、羞恥心はもちろん克服済みです(笑))そのため、このじょうごを自分のクライミングに取り入れるメリットはほとんどありませんでした。


ちなみに、この"じょうご"と"ションポリ"を組み合わせて使うことも可能です。
(REIの記事には、それによりシュラフ内でも出来るようになると書いてありますが、ものすごい上級者とお見受けします(笑))


20190920063012213.jpegおうち肉。


3. 冬のクライミングのおはなし。

上にも書きましたが、マルチピッチであっても、無雪期であれば、ハーネスを履いたままズボンを下ろすことは難しくありません。まだやったことない!という方は是非練習してみてください。すぐできるようになると思います。
ですが、冬季は今のところ、同じ手法で出来たためしがありません。冬のクライミング中の排尿は未だに私の悩みのタネです。
というのも、私は女性であるだけでなく、人一倍頻尿なのです・・・。そのため、壁のなかで突如として我慢の限界を超えることもしばしばです。


2019092006301692e.jpeg2019年 シャモニにて。


私は以前、2月の北アルプス明神の壁のなかで、不安定で"プア"な支点に3人サクランボ状態となったことがありました。そしてその最中にずっと我慢してきた尿意が限界を迎えました。そのとき、私はこの挑戦的なクライミングを前に、普段よりも下準備をしていて、"おむつ"を履いていました。このときはそのおむつに助けられました。というのも、その夜はサイトに帰ることができず、一晩おすわりビバークをすることになったからです。忘れもしない、谷口けいさんと登ったウィンタークライマーズミーティングでの出来事ですが・・・。
このときおむつがなかったら、私は下半身ずぶ濡れ状態で寒い一夜を明かす必要があり、足指の凍傷などは免れなかったでしょう。
いざという時はこうしたツールも役に立つと思います。


2019092006301569a.jpegおとといの岩。


これはイレギュラーな例ですが、普段のウィンタークライミングでは、私は次のような方法で小用に対応しています。

・120cmスリングでチェストハーネスをつくってそちらに荷重をうつし、ハーネスをぬいでヤッケを脱いで露わになってする。
・これらの作業は手袋をしているとかなり時間がかかる。素手になってサッと済ませてしまう方がいい場面もあるので、そこら辺は臨機応変にやる。
・少しでも尿意を感じたら我慢せず早めにするようにする。

でもシビアな登攀では、寒い環境に長時間さらされながらもなかなか排尿のチャンスが訪れないことだってザラです。
冬の登攀時のトイレはいまだに大きな大きな悩みです。はあ・・。(何かオススメな方法がある方は教えてください!)


医療従事者どうしの会話だとここで、「バルーン(尿道留置カテーテル)入れて登りたいよねー」ってところに行き着きます(笑)。


20190920063016ea9.jpeg一昨日の海岸!


4. 野外でもケアを忘れずに!尿路感染症を予防するために。

女性の尿路は常に感染の危機にさらされています。尿道が短い=膀胱までの距離が短いとか、外尿道口と肛門が近いなどの形態上の理由などがあります。男性のように尿のキレもよくないので、排尿後は拭き取る必要があります。そのままにしておくと皮膚粘膜トラブルや尿路感染症の原因となりますし、現に下着が濡れちゃうからみなさん何かしらで拭いてらっしゃるかとは思います。


IMG_8345.jpg2015年 日光月山雄滝にて。


私は1日はおりものシート1枚で乗り切り、1日の終わりにウエットシートなどで清潔にして、新しいおりものシートに取り替えています。排尿ごとに紙を使うのは資源とかゴミの問題もありますが、手が汚れたままだとそれがリスクになります。おりものシートなら、服を身につけたあとでちょちょっと吸収させればいいので、クライミングなどで手が汚れたままでも簡単安心です。


その他、陰部を清潔に保つ工夫として、長期間お風呂に入れない環境ではあらかじめ隠毛をきれいさっぱり剃ってしまうというのも有効です。最近では、主に介護が必要となったときに備えて医療用レーザーでVIO脱毛するという人が日本でも増えてきました。無駄な毛(いわゆるムダ毛(笑))がないほうが隠部は清潔に保てます。


また、何をするにもまず、手指の清潔がとても重要です。隠部を拭く時だって、手が汚れていては意味がありません。
手指を清潔にする方法として、医療関連施設でも推奨されているのがアルコールによる手指消毒です。そこで、野外の簡易トイレや山小屋などにアルコール消毒剤が設置されている場合は是非使うようにしてください。以下に正しい手指消毒方法について分かりやすく書いてあるサイトをリンクしておきましたので、時間のある人は見てみてください。完璧にやる必要はないですが、知っていて損はないと思います。


IMG_8343.jpg2016年 黒部上ノ廊下にて。


ちなみに、流水による手洗いのときもこれと同じ方法で行います。でも10秒程度の手洗いでは雑菌の除去効果は低く、アルコール消毒に軍配があがるようです。


手洗いについて詳しく書くにはもうスペースが足りないし、テーマが変わるので今回は割愛します。


少しは参考になりましたでしょうか?参照記事1は読みやすい英語なので、英語が苦手でない方は是非一度読んでみてください。
私も野外トイレ最高グレードを更新して、より快適なクライミングライフを送りたいと思います!


20190920063016d17.jpeg先週の乾杯!


参照記事1<GIRL TALK: HOW TO PEE IN THE BACKCOUNTRY>
https://www.rei.com/blog/hike/girl-talk-peeing-in-the-backcountry


参照記事2<手指消毒手順>
https://med.saraya.com/who/tejun.html

プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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