FC2ブログ

2019/08/09 アルパマヨ 登山記録 〜HCまでの長い1日〜 ペルー旅行記その6 〜 09/08/2019 El día muy largo a Campo Alto Alpamayo

8/9、4時半起床。ペコマとの定時交信開始。これから先の天気は快晴、風も弱く全く問題ない。


6時過ぎにはテントを出て撤収を開始した。
すると、下から「ちっぺさ〜〜ん!」と。私を呼ぶ声がする。

20190820205410d8d.jpeg

なんとすぐ下のサイトに張っていた2張りはYさんたちだったのだ。全然気づかなかった(笑)。
「モレーンに泊まったんですねー!」
「またあとでー!」
と言葉を交わす。


はじめはガレ場歩き。昨日荷揚げの帰りに、ある程度歩きやすい道を探してケルンを積んでいた。それでも氷河の取り付きの手前はどうしても浮き石だらけのところを通過する羽目になった。


昨日より軽い荷物で軽快に10時前、デポ地を通過。

20190820203459c67.jpeg

雪に埋まってロストしたりするはずもない安心のデポ(笑)だ。


デポを通り過ぎ、急登を超えるとついに壁が現れた。近づいてみれば何のことはない、弱点となる"通り道"がちゃんとある。ここでハーネスをつけ、ギアの準備をはじめた。

20190820203502516.jpeg


するとすぐ、WilderとYさんたちが追いついて来た。

201908202054088e8.jpeg
Yさん撮影!

201908202035037c5.jpeg
雪壁を少し登ると、氷壁の下に2畳ほどの快適なテラスがあった。

201908202035025cf.jpeg

HCから下山してくる人たちが懸垂をしていて、まだ少し待たなければ登れなさそうだ。時間が勿体無いので、私は荷物をここに置き、空身でデポの回収に向かった。

201908202054078f5.jpeg
コチラもYさん撮影!


デポを拾って戻ってくると、降りてくる人はもう居なくなっていたものの、後続が2、3パーティ迫って来ていた。

2019082020350337a.jpeg
今日の核心に備えて腹ごしらえ。食べきれなかった朝ごはんの残りの・・ゆかりご飯(泣)。


まず、軽い方の荷物を担いでフリーソロ。スノーバーの残置にロープをFIXして懸垂下降し、もう一つの荷物を持って再度登る。息が上がる。他パーティと混戦の形となった。


20190820203530c55.jpeg

ここから上は、60mほどの雪壁をよじ登る。まずは1つ目を担いで登る。標高5300mを超え、非常に息が上がって辛い。

201908202035451dc.jpeg

登り切るとここにも懸垂支点があったので、下りは懸垂で降りる。1P目の終了点にちょうど降りられるような設計になっていて有難い。

2つ目を担いでまた登る。息が切れて全然スピードが上がらない。


2019082020354554f.jpeg

ラストのパートは、1P目より簡単そうだが、出だしのベルクシュルントが切れている。トレースはあって踏み固められていて、きっと絶対崩れないんだろうという1足分ごとの足場はあるが、すぐ下、すぐ左を見ればぽっかりと大きな空間が口を開けて待っている。


まあ、時間が差し迫っているわけでもないし、念のため始めだけ確保しよう。


スノーバーで支点を作り、登り始めた。この間にまたポーター風のペアが追いついて来て先へ行った。70-80度くらいの傾斜の雪壁がほぼ60m分くらい続いた。そしてついに、人の声が聞こえ、傾斜が緩くなる箇所が見えてきた。着いた・・!


20190820203545b66.jpeg

アルパマヨ南西壁。写真で見たのと同じ、でもその何十倍も美しい。しかしすでに身体は異様なまでの疲労にぐったりしている。


と、Yさんが「お疲れ様でーす!」と声をかけてくれた。「何か手伝えることあったら言ってください!」と、有難い言葉だ。

この最後のピッチは真っ直ぐだし、比較的傾斜もあるので、2つ目の荷物は細引きでホーリングしてみることにした。さっそく、マイトラにセットして引っ張ると、ところどころ引っかかったりしつつも順調に上がってきてくれる。

20190820203545a58.jpeg

しかし、このホーリングも大変に息が切れた。3回くらい、その場にひっくり返ってしばし呼吸を整えた。どうせ下の支点を回収にもう一度降りなければならないのだ。担いで登り返しとどっちが楽だったのだろう。と思ってしまうほど疲れた。


流石に、最後の登り返しは空身だったから楽だった。


そうして全ての作業が終わりHCに到達するころにはもう15時を回っていた。


Yさんが「整地しときました!」と、嬉しい言葉!
正直、そのまま20分くらい座り込んで休憩しないと、荷物を担いでサイトを探すことすら出来ない状態だった。ひとまず空身で整地してくれたという場所に移動したら、Yさんが荷物を運んできてくれた。そのたった数メートルが、今は本当に有り難いのだ(笑)。


今朝合わせてきた高度計は5546mを表示している。

20190820203544762.jpeg
ハイシーズンでなくてもこの賑わい!


標高5500mともなれば、高所衰退がはじまって然るべき高度だ。今日という日がこんなにもハードな1日になるとは正直予想していなかった。やはり順化が不十分なことも影響してくるのだろう。


非常に緩慢な動作で、テントの設営に取り掛かった。Yさんたちパーティのお隣さんだ。Yさんのほうがせっせと作業をしてくれていて申し訳ない。


テントがたったら、シェフがお茶を振舞ってくれた。飲み水はもう尽きていた。これからは今までのテンバと違い、雪を溶かしての水作りからはじめなければ水を飲むことは出来ない。そんな状況にあって「お茶をくれる」ということは、とても大きな意味のあることなのだ。この1杯、2杯のお茶(しかも砂糖入り)がどれほど身に染みたか分からない。

20190820203545d67.jpeg

その後テルモスにお湯までくれて、本当に至れり尽せりだった。


16時半ころになってやっと少し落ち着いた。さっそく、カメラと双眼鏡を持って壁のよく見える場所まで移動した。

201908202035442fe.jpeg
流石ともいえる、非の打ち所のない容姿。でも、"世界一美しい"と称されたのは北壁側らしいけどね。


201908202036193b0.jpeg
French Directルート取り付き、ベルクシュルントこえのところ。こんなの超えるのか。ここが核心になりそう。


201908202036198f6.jpeg
あとはひたすら、アイスフルートと呼ばれるヒダとヒダの間を直上していく。ずっと同じ傾斜が続いている。分かってはいたがこれが400m。ふくらはぎどパンプ系だ。


2019082020361862c.jpeg
上部はわりと岩が出ているようす。


201908202036195cd.jpeg
最上部がよく分からない。たぶんルートはここからは見えない角度になっていると思われる。

トップアウトして終わりではなく、最後に山頂を形成しているマッシュルームの塊に登るという作業がある。遠景の写真では、どれも山頂の左に抜けるようなラインが示してあった。しかし、ここからではどんな感じになるのかよく分からない。行ってみて、だな。


さて。明日は何時に出るか。セオリー通りなら1時ころ出発だ。
Wilderも深夜に起きて1時かそこらに出ると言う。
フレンチパーティにも話を聞いてみた。やはり彼らもそのくらいで考えているようだ。


201908202036161c9.jpeg
コチラはキタラフ。アルパマヨと比べるのは間違いだが、それにしても特にこれといった特徴もなく、見栄えしない。
否、充分美しいのだけれども。
HCはこのキタラフとアルパマヨの間のコルにある。はじめは順化のためこれに登ろうと思っていた。


結局、フレンチパーティが2人と3人の2パーティあり、YさんWilderペアがいて、私がいて、他にももう1パーティ、現地ガイドと外国人のパーティがいて。明日のアタック隊はそれなりの人数になりそうだった。


出発をみんなより遅らせることはしたくない。ルート上部には巨大マッシュルームがいくつもそそり立っているし、取り付きへ向かうトレースのど真ん中に巨大なデブリ帯もある。それにそもそもソロだから時間がかかる。しかし、だからと言って、1時間や2時間前倒しにするのも辛い。この疲労度合いで、回復出来るかも不安だ。



結局、同じような時間帯に出発するしかないだろう。
そう結論づけて、23時45分と0時に目覚ましをセットした。この時間に起きて出られる時間に出ればいいや。


行動食は、やはり今日の分の1/3くらいしか消費できていなかった。
夜ご飯。今夜はとっておいた、チキン何ちゃら系の味のあるα米だ。お湯を多めにしてスープみたいにして流し込んだ。行動食の残りも食べて、今日の分の1/2くらいまでは胃に詰め込んだ。最後にミルクティーも飲むつもりだったけどもうそれ以上胃に入れられなかった。胃腸機能が確実に落ちている・・高度障害と言っていいだろう。


201908202036183df.jpeg
気を抜くとすぐ70台にまで落ち込む。


夕食後にAZAを250mg内服。ちなみに、私は緑内障の診断を受けている(AZAが必要になるほど重症ではないが)ので、コレを飲むことは悪いことではないはずだ(笑)。


ただ、利尿作用のせいで脱水にならないよう気をつけなければならない。それに明日は壁の中で長い1日。トイレが近くなると地獄だから、朝は飲むのをやめよう。


寒くてリアクターをがんがん焚いて、それでも深夜は少し震えながら浅い眠りを貪った。


明日はどんな1日になるのかな・・・。

2019 8/6〜8/7 アルパマヨ登山記録 〜登山開始。奮闘の歩荷〜ペルー旅行記その4〜La chica solita y cansada en Alpamayo

20190820042744e3d.jpeg


Instagramをやっていると、"クライマー"とか、"ひとり旅"とか様々なタグをつけます。
基本的に、登録数の一番多いものを選んでつけていますが、日本語(や英語)だと"クライマー女子"とか、"女ひとり旅"とか、"女"という単語をくっつけるパターンも非常に多いです。
でもなんだか、"女"をつけるのって、強調しているようで、少々野暮ったい感じがあるなと思っていました。
スペイン語も勿論、ヨーロッパ系言語は名詞に性別があったりそれにより形容詞が語尾変化したりします。
今回の旅でも、”¿Solo?”(ソロなの?)と聞かれることもあったし、”¿Solita?”(独りぼっち?)と聞かれることもありました。後者の方は、この一言で”独りぼっちの女性”ってことが表現できている訳です。

そして最近、"旅人、旅行者"という意味の”viajera”という単語を知りました。これもこの一語で女性であることが分かります(男性ならviajeroになります)。

今後の生活スタイルがどうあれ、心は常に”ビアヘーラ”で居たいな。と、今回の旅は、そんな自分の気持ちを再認識する旅にもなりました。

2019082004332836d.jpeg


8/6、9時。Cashapampaを出発し、歩き始めます。
朝方は冷え込むものの、この時間帯になると既に強い日差しでかなりの暑さになっています。


20190820043346afb.jpeg


1時間も経たないうちに30kgを超える荷物は貧弱な肩に食い込み、力んでいる僧帽筋やら広背筋やら?首肩周りの筋肉は疲労を訴え始めます。

ロバを雇っている人たちは、アルパマヨの人しかり、トレッキングの人しかり、めっちゃ小さなザックで軽快に通り過ぎていきます。ロバの大群とも多数すれ違い、そのたびに脇へ避けます。


20190820042110d26.jpeg

ロバはこの重荷で走ってるからね。強すぎる。


わずか30分おきのザックを降ろしての休憩(大きい岩が必要)と、さらに短いスパンでの荷重を抜くだけの小休憩。慣れない重荷なのでザック麻痺も心配です。

ま、マイペースで行けばいいや。

と自分に言い聞かせながら歩いていましたが、お昼頃、GPSを見て現在地に驚愕しました。


えっ。まだ1/3〜!!?

本日の行程は10km。見積もりは5時間でした。
しかし、3時間半歩いてまだ1/3しか来ていない。ということは・・・
今夜の目的地であるllamacorralまで、単純計算でさらに7時間くらいかかることになります!!なんてこった!


201908200433456c3.jpeg
とにかく暑い・・!


遅すぎか・・・

とペースを上げてみるものの、蓄積した疲労でやはりすぐ休憩してしまう。
SpO2は低くないのにレート(心拍数)が上がっているという始末です。


背中のザックが重過ぎるのです。パッキングを工夫しようにも、容量ギリギリだから為すすべがない。右へ左へ後ろへ、好き勝手に私を引っ張る荷物。歩き始めて数時間後から、私はこのザックを"輩"と呼んでヤカラ扱いしていました。文句を言ったり(笑)。

道中なんども、buro使いの人が通りすがりに”buro使う?”と聞いてきたり、ザックを担ぎ直そうとしていると"手貸そうか?"と心配される。

はじめの登りを終え、あとはダラダラと沢沿いを歩くだけです。

えーい!!拉致があかん!!!

と、ザックを放り投げました。


1つにまとめるから逆にキツイのかもしれない。そう思い、パッキングしていたものを全部ぶちまけ、底からアタックザックを取り出して、荷物を2つに分ける作戦に出ました。この道なら前後ザックでも普通に進めます。


前に重くて嵩張らないものを担ぎ、足の動きを妨げない程度の大きさに留める。これだけで背中の荷物が軽くなり、だいぶ楽になりました。


そして、次にburoの人が声掛けてきたらお願いしよう、って思いながら歩きました。
でも"次"はとうとう訪れませんでした(笑)。



このあと、すれ違ったガイドパーティ。なんとお客さんは日本人です。しかもアルパマヨに登るという。

20190820042111fed.jpeg

あとで分かったのですが、この方も御多分に洩れず知り合いの知り合いでした(笑)。さらに同業者だったり、職場が今の私の住所と近かったりと、驚くことがたくさんでした。


Wilderと言う名の現地ガイドさんは"あと45分だよ!"と教えてくれました。一時は、到着21時すぎるかと思いましたが、何とか暗くなる前にテンバに着けそうです。よかった!

すでに疲労困憊だけど!


2019082004234844b.jpeg

というわけで、16時に最初のキャンプ地となるllamacorralに到着しました。


行動時間7時間。見積もりの1.4倍の時間がかかったことになります。まあ、見積もりはロバを使っている人のサイトを参考に出した時間だから、無理もないか・・。


20190820042744998.jpeg
働いたロバたち自由に休憩中。馬たちはケンカしてた。


水をとり、さっさとα米の夕食を終えて、明日も早く出なきゃ・・と寝ようとしていたら、先程すれ違った日本人Yさんがテントまで来てくれました。なんでも、ガイドのWilderが私を夕食に誘ってくれていると言うのです!


喜び勇んで18時半、快適なキッチンテントにお邪魔しました。

201908200423471c5.jpeg
サンキュー、シェフ!


スープにはじまり、アジみたいな魚のグリルや、お茶、デザートまで!!
超豪華ペルー料理を頂きました。本当に美味しかった!


201908200427452a6.jpeg
¡Muy rico! あと、タンパク質とれて最高に嬉しい。


そして、食事をしながらYさんとWilderと、色々な話をしました。


スペイン語勉強中だけど難しいとか、Wilderは日本語勉強中だとか。山はどのくらいやってるのかとか。Yさんは同人青鬼の某王子つながりだったので、某王子の噂話をしたり。そんな他愛ない会話の中で、Wilderはこんなことを言いました。


20190820042043b6b.jpeg
いっただっきま〜〜す!


「アルパマヨで、ソロクライマーが墜落する事故があり、その下にいたクライマーの首元にアイゼンが当たって怪我をするという一件があって以来、アルパマヨのソロクライミングは禁止されている。だからひとりで登るなら、誰もいないときに登りなさい」



これまで様々なサイトを調べてきて、アルパマヨの事故といえば2003年7月に起きたFerrariルート上部の雪庇崩壊による8名の死亡事故くらいしか知りませんでした。ソロクライマーが落ちたって、そりゃ確かにフリーソロは危ない(し、ソロクライマーがフリーソロになりがちなのも分かる)けど、本質的にソロクライミングってまたフリーソロとは別モノだし。そのクライマーがダメだっただけでソロのせいではない気が・・。それにアンザイレンしてたってどうせどランナウトなんだから、同じような事故は起こりうるじゃん・・。

とか色々と思うところはありつつも、どうやらそれが現在のルールのようです。
(あとで聞きましたが、本来であればカサデギアスの人がその事を教えてくれて然るべきだったようですね)


それに、"誰もいないときに登る"って・・。
そんなこと可能なのだろうか?


でも彼は言います。
6、7月がハイシーズンだけど幸い8月はクライマーが少ない。現に今このキャンプにも我々と、フレンチパーティが1組居るだけだ、と。

なぜ6、7月が人気なのか聞くと、やっぱり天候のせいらしいです。ただ、8月も十分過ぎるくらい毎日晴れています。例年こんな感じだそうで、8月後半あたりから崩れはじめ、9月からは雨季に入ります。とりあえず今年はいまのところ全く問題ないね、と言うことでした。


聞くと、彼らは全6日の行程だそう。明日BCまで、明後日一気にHCまで上がって、明々後日登頂というから驚きました。ポーターもキッチンスタッフもいて、かつ順化が出来ていればそれが可能なのか。と。


私はその倍くらいの時間をかけて登ることになるでしょう。この分だと明日BCへ着けるかすら怪しいです。更にそこから先は、1日ではキャンプアップ出来ないでしょう。荷を2回か3回に分けて揚げる必要があるし、順化の問題もあります。
ま、マイペースでいこう。彼らとは今夜でお別れかな。
そんな風に思っていました。


2019082004205911d.jpeg
とても甘くて不思議な食感がクセになるフルーツを使ったおデザ。フルーツの名前は忘れた・・


お腹いっぱいになり、テントに戻って寝ました。明日は4時半起床で出発だ!

アラスカへ行ってきます

いよいよ本日、日本を発ちます。


IMG_1254.jpg
先週末は父と会津若松旅行。満開の桜!


今回は二度目の正直・・。数日後には万事滞りなく氷河へLandingしていることをまず祈ります。


シャモニでもヨセミテでもWifi難民をやってた私が、衛星しか通じない極地へ。
一カ月後にはwifi?なにそれ美味しいの?くらいに一皮むけていたいですね。
まじめにカロリー計算して買い出し食料を見積もってみたら、一カ月3人分で総重量80kgを超えました。
クライミングはもちろんだけど、初!氷河の上でのキャンプ生活もとても楽しみです。


今回の目標はハンター北壁です。
その後日程と天気が許せばデナリも登頂したいと思ってます。
数週間前に役者も揃った。
あとは運を天に任せるのみですね。


20190425124617125.jpeg
10年ぶりの越沢バットレスでアイゼントレとユマールトレ


ところで先日、東大入学式祝辞が話題になっていました。
先週、パートナーのT石くんと登ったとき、「ちっぺには絶対読んで欲しい」と言われたのでちゃんと読んでみた。
ふうん。良いことを言っている。弱者が弱者のままで尊重されることを理想とする考え方。
世の中には適材適所、役割分担というものがあるからね。
ここでいう弱者の定義は、女性という性別だけで、積年の慣習から不利な立場におかれがちな人々、ということでしょう。
決して力の差とかそういう生物学的なことをいっているわけではないと思います。
人の世のみならず、上と下、強者と弱者、勝者と敗者が居るのは仕方がないことだと思う。
頑張ったことが報われないのもよくある話。
それが動物の世界なら淘汰されるべきものながら、人間社会では事情が違う。
社会的により力のあるものが、より余裕のあるものが、頑張ってちゃんと報われた人々が、そうでない人々の手助けをしましょう。
これは私も賛成です。
格差社会を問題とするか否かを抜きにしても、この行動は社会全体のためになりそうだし、なによりその人たち自身の成長に繋がるし、多様性の保持や進化に結びつく考え方だと思います。無粋な表現ではありますが、Win-winだと思うのです。


201904251246156c4.jpeg
萌え萌えきゅん


ここで、山の世界はどうなんだろうと考える。
スポーツでは生物学的に絶対的な違いがあるがゆえ、男女別で競われることがほとんどです。
でもフリークライミングなどを除いた山岳地域での活動においては、山はすべての人に平等なのでその限りでない。
人が人を評価する価値基準において「女性初」という考え方があるのは否定しません。でも私はあまり好きではありません。
現に尊敬するリン・ヒルは(フリークライミングの分野で、ですが)男女という枠を飛び越えた偉業を成し遂げています(そして彼女もまた、「強い女性は弱い女性に手を差し伸べ協力すべきだ」と言っていますね)。「女性という範疇で見られていたら私たちはいつも見下されていることになる」というソロクライマーのシルビア・ビダルの言葉は言い過ぎな気がするけれど、私の価値観において「世界初」は間違いなくすごい、でも女性初は何がすごいのか?と思ってしまう。


いつの世もどんな分野においてもパイオニアワークというのは尊敬されます。では、アルパインクライミングの価値観における「女性初」の価値とはどこにあるんでしょう。
これを考える上で、ではアルパインクライミングにおいて男女の差、女性側が背負わされているハンディとはどこにあるのでしょう?という問いが浮かんできます。


ところで、昨年、私は人脈のおかげもありとても有り難いお話を頂いて、正式にカリマージャパン株式会社とアンバサダー契約をしました。
こんなことを言うのは問題があるかも知れませんが、正直、自分の実力や実績を客観的に見て、アウトドアブランドのアンバサダーとして活動するにはあまりに貧弱だと感じています。
しかし、得難いチャンスと、新製品の開発に携われるというやりがいのありそうな仕事内容に魅了され、二つ返事で了承でした。今は2020春夏モデルの開発に関わらせてもらっています。熱意ある開発スタッフの方々と打ち合わせを重ね、あがってきたサンプル品に感心し、製造ラインの制約ギリギリまで細かい注文に応じてくれる皆さんとやりがいのある仕事をさせてもらっていると感じています。


しかし、そんな有り難いお話が私のような未熟者のところへ届いたのも、(たぶんですが)「日本でアルパインに力を入れてやっている女性が少ないから」です。こと、冬壁においてはちっぺくらいしかいないんじゃないという声まで周りから聞こえます。
いやいや、冬壁なんて"やっている"というレベルでなど到底やっていないし・・と気後れしてしまう反面、思うのです。
こういうお話を受けたからには、「はい、その通りです。私にお任せ下さい!」と堂々と答える責任があると。
だからといって、自分の信念と違うクライミングをやるようなことはないです。これまで通り、これまで以上に自分のやりたいことに自信と熱意を持って突き進もう、と思うのみです。


20190425124608011.jpeg
富士山詣


さて。話が逸れましたが、アルパインにおいて「女性初」の何がすごいの?というテーマについては、そう簡単に語り尽くせるものではありません。
今のところの私の見解は「べつにすごくない」です。その理由は、もし女性がアルパインの世界において他の競技スポーツと同様"弱者"と位置付けられているのなら、その意味での"弱者"は尊重される必要がない、そう思うからです。だって山は誰に対しても平等なのですから。もし本当に女性が弱者なのであれば、申し訳ないから男性と一緒には登らない方がいいと思います。そういうことになってしまいます。


では、"弱者"ではないとして、評価すべき"不利な点"は何か。ヨーロッパやアメリカでは日本と事情が違いますが、日本において現状不利な点のひとつは、やはり人口が少ないということでしょう。
それゆえサイズがありません(笑)。ダブルブーツも小さいサイズは日本じゃほぼ手に入りません。
昨年はバツーラにオーバーシューズにスティンガーという苦肉の策で突っ込もうとしてましたが、行かなくて良かったです(笑)。マトモに登れるわけがないです。


IMG_1368.jpg
お洒落過ぎるクルクルジッパーや紐締めなところ、ファントムガイド時代の相性の悪さなどから敬遠していましたが・・背に腹は変えられぬ!


今回、シャモニでファントム6000のヨーロッパサイズ38があったので試着してみたら、案の定スポルティバG2SMの38よりも小さめの作りだったので購入。今回はコイツに命運を託します。


IMG_1372.jpg
やはりというか、内くるぶしが当たって痛いのよね・・でもデュオアクティブCGFで何とかなりそう!


それともうひとつ、ぱっと考えつく重要度高めなハンディと言えば、やはりトイレ問題ですね。でもコレはコレだけで1つ記事を書けるくらいのボリュームになっちゃうので、アラスカでの経験も踏まえて帰国後に書きたいと思います。


アルパインで一番重要な体力や体格。体格については、極地法でなくアルパインスタイルが主流になった昨今は、体格に余りある巨大な荷物を背負わなくて良くなったという点で、ほとんどその差がないと言って良いのではないでしょうか。背面長の合わないザックで重い荷を背負うことほど辛いことはないですからね。
体力について。私は今シーズン、先シーズン以上に心肺機能を高めることに力を入れました。正直、一緒に登っていて、明らかに私の基礎体力がパーティ行動の制限要因になっていると感じざるを得ないことは、あるけれども少ないです。血の滲むような努力を(したこたないけど)しても、一生かかってもこの人の体力には追いつけない、そう思わされる場面もあるけど、ほぼないです。(某旦那さんと登っている時くらいかな・・・涙)


平均すると私より歩けない男性も結構いたりして、だから「女性だから男性には敵わない」、と思う必要は無さそうです。もちろん私個人の感想だけでなく、名だたる女性アルパインクライマーの話を聞くにつけ、です。トレーニング次第でそこは何とかなるのではないかという気がしていて、だから女性初がすごいとなる所以が体力差にあるとは思わない、と言いたいのです。


まとまらなくなってきたのでここまででやめておきます。私は一体一カ月後にこれをどんな気持ちで読み返すんだろう(笑)。


2019042512192435b.jpeg


エアポートリムジンは快適だなぁ。
行ってきます!

出国まであと14日

イギリス2週間、シャモニ4週間の素敵な旅から一昨日帰国しました。

IMG_0944.jpg
モスクワ乗り継ぎ、アエロフロットで帰国

帰国日は飛行機でも結構寝て、昼前に帰国してからもずっと眠くて、6週間ぶりの湯船に浸かりながら意識を失い、更に夜もグッスリでしたが、昨夜は目が冴えていました。
今日の日中は眠かったけど、今夜もなんだか眠れそうにないです。さっさと時差ボケが解消されることを願います。


IMG_0932.jpg
珍しく、機内食に"ラム"


というのも寝ぼけているヒマはありません。
洗濯物とお土産だけ取り出して、その他の登攀具などはバッグに入れたまま、2週間後の出国へ向けてまたパッキングを始めています。
次なる目的地はアラスカです。
変に安い航空券をゲットしようとして散々な目にあったので、再度取り直したチケットは正規予約、中国乗り換えナシ!座席も通路側に指定しました。(トイレが近いので死活問題です)
そして今回はアラスカ直行直帰なので、事前に荷物を送ったりする必要はありません。
(昨年の悪夢はコチラ。結局遠征終了後に荷物は出てきたが、保証は何もされなかった)

IMG_0931.jpg
ユーロの小銭を消費がてらおつまみ購入。モスクワの空港でも免税店ではユーロ使えました(そもそも€表示でした)


バム生活2年目にしてやっと、「時は金なり」と「安物買いの銭失い」、この二点は仕事をしていようがしていまいが変わらないのだということを学びました。


シャモニでは結局、目標だったどの山の山頂にも立てませんでした。
技術的にも経験値的にも得たものはかなりあったし楽しかった。楽しかったのですが、モヤモヤしています。
心の切り替えが苦手なんですね。
こう、と決めたら想いが強くなりすぎてしまい、それが良くも悪くも今のモヤモヤを形成している。
でもそれも悪くないかなと思うんです。もういい歳だけど、だからといって若気の至りのようなヒリヒリした気持ちは持ち続けていたいなって思うんです。
"同人青鬼"風に言うと、「我々は常に飢えてい」たいんです。
(肉にじゃないよ)

IMG_0951_2019041222375837f.jpg
らーめんに、でもないよ


山は逃げない。
そんな言葉があるような気もする一方、その人それぞれの考える「山」というものは逃げたり逃げなかったりする。
そういう比喩的な表現を一切排除してにべもなく月並みな言葉で言い換えるのなら、チャンスは必ず逃げていきます。
だからその時に掴まないといけないんです。
そのためには情熱に対する集中力を切らしてはいけない。
私も、今のような生活をいつまで続けられるかわかりません。
極端な話をすれば、明日不慮の事故で死ぬかも知れないし、明後日登りたかった山が大爆発で消えるかも知れない。
だから今ヒリヒリした気持ちでいるのは強ち間違いとは思わない訳です。



でも、この2週間はしっかりリラックスするのも肝要。
そしてそれ以外に大事な仕事、イベントも盛りだくさんです。
リラックス、出来るのやら・・


もともと時間の使い方が上手い方ではないので、仕事とイベントとリラックス、どれもちゃんとこなして気持ちよく次なる遠征に出られるよう頑張ります。


IMG_0970_20190412223748160.jpg
安すぎるよ十条銀座!


花見が終わってしまって少し残念だけど、日本、我が家って、やっぱりいいですね!

登って飲んで、ときどき山岳医

インフルエンザにかかって出国が遅れたりといったトラブルもありつつ、無事ペコマは留学先のイギリスへと旅立って行きました。
IMG_0475.jpg
羽田空港の日本橋にて


わたしはといえば、山に行ったり、講習を受けたり、旧友と飲んだり、山岳医の活動をしたり、ボルダージムで登ったり、雑務ノマドワークをやっつけたりと、忙しくも充実した日々を過ごしています。


これから1年は、電車かレンタカーか、両親のお車を借りて山へ。

IMG_8026.jpg
ボルボくんとも少しずつ仲良くなれてきた


とある平日、貸切の南沢小滝でロープソロ練習。

GPTempDownload 22
短いながら1本登りきり、学ぶことが多かった。このあとロープがバリバリに凍ってタイヘンだった・・(笑)
GPTempDownload 32
パートナーが見つからない日は簡単なルートで練習をつづけよう


先週末は第9回アイスキャンディフェスティバルで救護待機。
山岳医としての活動の場もありがたいことに徐々に増えつつあります。

IMG_8101.jpg
IMG_8100.jpg
友人がたくさんボランティアスタッフやブース出店で参加していて、すごく久しぶりに会えた方も多数。病人怪我人もなく、とても楽しい二日間でした



みきてぃ家改め佐久青鬼支部にも久しぶりにお邪魔。突然の部活開始にバンザイ!

IMG_8173.jpg
モリーユパスタからの・・・

IMG_8174.jpg
ロービー握り!!


ちなみに"8 Peaks"は八ヶ岳山麓で作られているクラフトビールです。とても美味しいのでぜひおためしを。


そして、はじめて冬の宝剣にも行きました。


IMG_8168.jpg
パートナーのSくんは綺麗な写真を撮ってくれます


DSC01658.jpg
中央ルンゼ右壁ルートあたりを登ったみたいです


DSC01680.jpg
プロテクションがとりずらくて緊張しました


DSC01696.jpg
状態やライン取りによってもっと様々に楽しめそう。宝剣また行きたいな!



そしてもう先月のことになりますが、週1非常勤でお世話になっていた医院をやめ、完全なる無職になりました。

IMG_8019.jpg
白衣、脱ぎます。しばしのお別れ


ありがたいことに、スケジュール帳にはフリークライミング仲間との外岩の予定と山仲間との山の予定が混在し、山岳医の活動予定もちらほら混ざっていて盛りだくさん。


ひとまずは直近の遠征、3月のシャモニへ向けてミックス練習に勤しみます!

DSC01709.jpg
太陽サイコー!

プロフィール

chippe

Author:chippe
chippeのブログへようこそ!
2006.10 山歩きをはじめる。
2007.9 クライミングをはじめる。
山岳同人「青鬼」所属。国際認定山岳医。
好きな食べ物:肉。
カリマージャパンアンバサダー。

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

カレンダー

07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

月別アーカイブ

ブログ内検索

カウンター