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今年もWALSコースを見学した。

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主に一般人を対象として野外災害救急法を教えているWilderness Medical Associates Japan(WMAJ)が年に一回開催するWilderness Advanced Life Support(医師向け)コースに、今年もWMAJアンバサダーとして見学という形で参加させて頂きました。


過酷な環境や災害などの状況でも「いのちをつなぐ」救急法、WMA野外災害救急法
https://www.wmajapan.com

このWALSコースは、普段一般人を対象として教えられている救急法を、医師、看護師、救急救命士といった医療従事者たちが実践体験し、最新の医学研究論文に根拠をもとめたり、各職種の臨床経験なども持ち寄りつつ医学的議論を深めていく場でもあります。


昨年は子供がまだ小さく、かつ私一人でみる必要があったので、講習の半分くらいしか見学出来ませんでした。しかし今回はペコマお母さんに来てもらい子供をみてもらえたので、全4日間ともしっかり参加することが出来ました。


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富士山のお膝元、御殿場での濃密な4日間がはじまります!


このコースは、WMA Internationalの前カリキュラムディレクターであるDavid Johnson医師(DJ)が毎年来日して、彼の講義、インストラクションのもと日本人インストラクターが講習を行なってきました。しかし、今年からDJの訪日はなくなり、完全日本版WALSとして開催されることに!2016年からWALSを受講している私としては「一体どんなWALSになるんだろう?」というワクワクもありつつ、DJに会えない寂しさもありつつ。


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でも毎朝"DJ time"があって、オンラインでDJのお顔を拝見できました。70代半ばでも現役バリバリです!


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医療アドバイザー、インストラクター陣は精鋭揃い。完全日本版WALSも大満足の内容でした!


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座学もあるけれど、フィールドで身体を動かす学びがメイン。救急現場では瞬発力が大事です。のっけからいきなり変な体勢の傷病者の評価をさせられる。


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フィールドでの対応には難しい判断が沢山生じる。「ふかふかの斜面でやるCPR(心肺蘇生)には果たしてどの位の意義がありますか?」とインストラクターに問われ言葉に詰まる受講生たち。


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バスケット搬送で悪路をゆく。


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ちっちゃい子供は肩車搬送。


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野外の重症外傷搬送に有効な様々なデバイスの見学。


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「不安定な怪我の固定のポイントは?」お作法ではなく、本質的理解が伴っているから、難しい形の固定にも対応できる。


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暗く寒い、負荷のかかる環境での傷病者対応。WALSでは、コース終了前日の夜に大規模災害シミュレーションがあり、そこへ向け受講生の緊張も徐々に高まっていきます。


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脊椎損傷が疑われる傷病者は全例全脊柱固定!ロードアンドゴー!でもそれは都市部救急の話。野外災害救急法はそうではありません。脊椎の評価もしっかりして、リスクとベネフィットを天秤にかけ、分析的思考をすることで命を守る行動に繋げます。


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WALSでは、病院では見ることのない、野外救急で役立つ様々なデバイスの紹介もあります。


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「ヨットクルーズ○○日間、持っていく医療資機材は?」医療従事者向けのコースなので、持って行く薬剤の具体的な名前もリストアップし、みんなでディスカッションします。


WMAが通常開催しているWFA、WAFA、WFRというコースは、一般人向けに、医学的な内容にも触れつつかなりハイレベルな野外災害救急法を教えています。にも関わらず、このコースを受講すると誰もが同じレベルで傷病者対応できるようになるといいます。医療従事者だけでなく、現場に居合わせた人がこうしたスキルを持っていれば、都市型救急システムが機能しないフィールドにおける救命率は格段に上がります。

また、医療従事者を対象としたWALSコースは、そのカリキュラム自体を更に掘り下げるという点でとても面白いです。そして、野外災害医療、救命といったことに高いモチベーションを持った受講生が集まるので、魅力的な人たちとの出会いも毎年の楽しみです。

これからも、WMAの講習をより多くの人へ広め、自分も常に勉強を続けて、山岳医として精進していきたいと思います!

夫と事業を立ち上げました。

暑い夏を乗り切るため、7月は涼をもとめ彷徨っていましたが、北杜市もなかなかに、どこへ行っても暑いです。


2_IMG_3364.jpg7月からは、山岳医療パトロール(山パト)活動が、今年も尾白渓谷と観音平編笠山で始まりました!


7_FD8B206B-E407-451B-812F-7CFB623D1857.jpg7月最初の週末は、山パト参加者の応援がてら、坊を連れて尾白渓谷へ、そして日向山に登りました。


1_IMG_2581.jpg「はらぺこあおむし」リンクコーデで登頂しましたが綿混のTシャツはびっしょびしょ。でもその汗冷えがちょうどいいくらい暑い日でした。


9_IMG_2600.jpg念願の山頂砂遊び。家族連れも多く、小学生のおねえさんたちに可愛がってもらってご満悦でした。


8_IMG_7650.jpg夫婦で太刀岡山左岩稜タイムアタック。後半部分は簡単だけどフリーソロだとちょっとこわいです。


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3_IMG_3017.jpgたまには友人と連れ立って岩登り。弁天岩は真夏日でも涼しく快適!


1_IMG_7789.jpgお庭で肉を焼きながらビール。

1_IMG_3449.jpg坊はせっせと炭仕事。


9_IMG_3094.jpg猛暑日も小川山はそれなりに登れるからスゴイ。さすがの標高1500m。狐岩は涼しかった。



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明野も連日むっとする暑さですが、それでも朝夕はいくぶんマシなので助かってます。



そして7月といえば、「東北の高校生の富士登山」!今年も山岳医として参加してきました。

今年は26名の高校生が福島と宮城から参加され、全員が順調に登頂しました。お天気も最高でした。


4_IMG_3323.jpg今年も医療班看護師のやいちゃんと、田部井淳子基金の進也さん、その他多数のスタッフのみなさんと楽しくお仕事させていただきました。


5_IMG_3326.jpg軽い高山病症状を呈した高校生もいましたが、呼吸の指導をしたらとても上手に出来ていました。


8_IMG_3303.jpg今年も応援登山隊のみなさんが山頂で高校生たちのゴールを祝福します!



6_IMG_3318.jpgあまりに順調に全員が登頂できたので、剣ヶ峰を往復してさらに時間があまり、スタッフの集合写真を撮る時間がありました。例年にないこと!今年もなすびさん駆けつけてくれました☆(下山後山小屋からリモートでテレビ出演してました笑)


3_IMG_3333.jpg下山後数時間で記事を完成させ、今年もその手腕が光ってた朝日新聞のケンちゃん。自撮りも上手かった!



Time flies.

ということで、またしても飛ぶように過ぎていった7月・・。
何かと忙しく、自分のことは「昨日何してたっけ」と思い出せないこともままあります(笑)が、やはり子供の成長だけはとりのがすことなく全てキャッチし記憶に留めたい親バカです。
気づけば子供も1歳3ヶ月になりました。


7_IMG_3306.jpgココはもう彼の定位置。yogiboでくつろぐのはまだ早い気がするんですけど・・



この数週間で、息子が目覚ましい進化を遂げています。
7月の第3週の時点では、まだ数歩あるくかあるかないか位でヨロヨロしていたのに、その翌週には両手にモノをもってスタスタと歩きはじめ、今や走り出すんじゃないかという勢いです。


0_IMG_3451.jpg「ほっぺ」と「耳」はドヤ顔でやってくれます。


6_IMG_2772.jpgこの世にあるボタンというボタンを押し尽くします。


4_IMG_2917.jpg半年年下のかわい子ちゃんと、すでにロマンスがはじまってます。



喃語も相変わらずの洪水状態ですが、そのなかで、最近我々が話す言葉に近いもの(日本語のようなもの?)も聞かれるようになりました。

大好きなバナナを「ばーーーば!」と言ってせがんだり、
大好きな犬を見かけると指を差して「わんわんわんわんわんわん」が止まりません。
ぬいぐるみとは会話をしているし、絵本をめくりながら何やら一生懸命お話しています。

毎日が空耳アワーで笑いが絶えません。
0_IMG_3023.jpgちなみにこのコツメはこの後全てのヒゲを抜かれてしまいました(合掌)。


そんなこんなで、片時も我が子から目が離せない親バカです。


台風の動向が心配ですが、明日から一泊二日、親子3人で北岳に行ってきます。
はじめての息子との山中テント泊がとっても楽しみです!


ところで、山岳医として本格的に活動を開始しようと模索してきましたが、このたび夫とともに「山岳医療サポート事務所」という名の山岳医事務所を立ち上げました。


まだ内容は薄いですが、事務所ホームページも開設しました。
https://mountainmedicalsupport.com


山岳医療サポート事務所は、こんな感じで運営していく方針です。

理念:
山岳医療に関する知識と技術を用いて登山者の安全と健康を守るとともに、山岳医療の礎を築くことで、日本の山岳医療環境の発展に寄与する

想定している主な活動:

・登山者を医療面でサポートすることでより安全により確実に頂上へ導く
・山岳医療パトロール活動を通じて地域の山岳医療環境を改善する
・山岳診療所設立を進める
・各種ツアー登山に山岳医として帯同する
・活動中に出会う事象について分析し学会発表や論文報告を行う
・各種講習会や勉強会等を実施する


我々の能力の範囲で出来ることで、かつある程度の需要があると思われることをプロとして請け負ってやっていきたいと考えています。


さて。次なる一大イベント(?)は、8月20日、通訳案内士試験の一次試験です。
私は日本歴史の試験を受けます。ペコマは外国語(英語)の試験のみなので、近くの喫茶店とかで坊をみながら、交代で受験しようと思ってます。
そして、6月の登山ガイドの筆記試験には無事合格できたので、8月後半には実技検定を2つ受験予定です。





8月も張り切って行きましょう!

東北の高校生の富士登山に参加してきました。


福島民報
東北の高校生30人、富士山登頂「一番つらかったけど、達成感」



2022年8月27日、今年もまた、東北の高校生たちが自らの意思と自らの足で富士山頂に立ちました。


東日本大震災の翌年、2012年から毎年この時期に開催されている本イベント。私は2017年から山岳医として関わらせていただき、コロナ禍で中止となった2020年を挟んで今回で5度目の参加となりました。


8_IMG_4109.jpg水ヶ塚からの富士宮側富士山


山岳医としてお客さんを山頂へ導くサポートをする仕事は、私が一番やりたい仕事ですが、「東北の高校生の富士登山」は毎度特別な感慨があります。


7_IMG_4110.jpg下山日の朝、見事な影富士!


このイベントは学校主催のイベントではないから強制ではなく、みなさん自分の意思で参加を決意し、親御さんのゴーサインをもらって申込みをします。登山用品は一式レンタルできるため、登山経験はおろか、運動経験のない高校生でも参加は可能です。そして大人のスタッフたちの手厚いサポートのもと、さまざまな思いを胸に山頂を目指します。大人と子供の境目にいる高校生たちが、みな下山後にその顔つきを変えるのもとても印象的です。


6_IMG_4111.jpg駿河湾を臨む


私がはじめて富士山に登ったのは防衛医大1年生のときの訓練(つまり強制)で、その後自分の意思で登山をはじめたのが大学4年生の終わりでした。そんな自分の高校生のころ(完全なる文化系)のことを思い返せば、本イベントに参加した高校生たちが「一生の思い出になる」「自信を増す」「自己肯定感を得る」と口々に言うのを聞くにつけ、さぞかし精神的インパクトの大きな体験であろうと確信するところです。


そうした意味で、このイベントでの山岳医としての仕事には、ただお客さんを山頂へ導く仕事とはまた違った面白さがあります。そして、毎年ここに集う精鋭スタッフの方々とお会いできるのも大きな楽しみの一つでした。


しかし今回は自分自身に不安がありました。開催の3週間前、産後2ヶ月と1週間で登った八ヶ岳編笠山では、かなりゆっくり登ったにも関わらず大きなダメージを受けました。


0_IMG_3925.jpg山岳医療パトロールの登山口での声かけ活動後、登山。編笠山頂は諦めて青年小屋ピストンで帰ってきましたが・・・

階段2段分以上の段差は骨盤が痛くて越えられず、下りもダブルストックに8割くらいの荷重をかけて一歩一歩丁寧に降りないとならないので、コースタイムをオーバーするほど時間がかかり、体力的にもこたえました。翌朝は恥坐骨部の痛みで起き上がるのも辛く、「やってしまった・・」と萎えました(笑)。


一瞬、「無理せずペコマにピンチヒッターをお願いしようか」とも思いましたが、やはり行きたい気持ちがあったので、その翌週には実際に登る富士宮ルートに事前登山に行ってみました。


編笠山を登った経験から、「何度も登っている山でも今の自分にとっては初登山と同じ」ということが分かったので、実際登る富士宮ルートがどのくらい険しいのか、スタッフとして高校生たちをサポート可能なのかを確認する必要があると思いました。
結果、編笠山よりもだいぶ段差が小さいこと、また、高所なので、登るスピードが遅くても周りの登山者とそれほど変わらないスピードになること(笑)などを確認でき、走り回ったり歩荷とかはできないけど、医療班として最低限のサポートなら可能だろうと思えました。また、3500mくらいまでは順化行動も出来ました。


編笠登山では着けるのを忘れてしまった産後ガードルと骨盤ベルトを、富士山では装着していったのも大きな違いでした。

0_IMG_4126.jpg怪我したら固定するのは当たり前!


足が「ずりっ」と滑ったりする瞬間が結構痛いのですが、ガードルとバンドでがっちり固定することで、そうしたダメージもある程度軽減できました。


1_IMG_4090.jpg富士宮ルート6合目雲海に浮かぶ雲海荘


また、授乳中なので、山中2泊の間にお乳を絞る方法も考えなければなりません。山小屋の部屋で搾ることを想定すると手動の搾乳機を使うのがいいと思い、ピジョンの搾乳機を購入しました。

1_IMG_4106.jpgピジョンの手動搾乳機。コンパクト、構造もシンプルで使いやすい。これからも山中泊で重宝するかも!

さらに、2泊もあるとさすがに水洗いとかしなければ臭くなりそうです。使うごとに軽く水洗いしたいところです。富士山には水がないので、いつもより多めに水を歩荷する必要があるだろうと思いました。そこで合計3リットルの水道水を水洗い用に歩荷しましたが、結局2泊で500ccほどで足りました。5合目登山口から宿泊する6合目の小屋までは幸いすぐなので、産後最高に重い荷物でしたがなんとかなりました。


5_IMG_4112.jpgアタック日、悪天候の1日を乗り越え、日暮れ迫る下山中。雨上がりの特大ご褒美が!


登山日は結構な荒天でしたが、高校生たちは粘り強く登り続け、途中降りたいと言い出す子もなく、最終的には30名全員が剣ヶ峰に到達しました。途中、フラフラの学生をサポートする場面では、いつものように荷物を持ってあげたり出来ないし、ダブルストックが手放せないので支えてあげることも満足に出来ず、もどかしかったです。常に隣にいた同じ医療班看護師のやいちゃんに色々お任せしてしまいましたし、私自身のことも気遣ってもらってありがたかったです。本当に感謝感謝でした。


4_IMG_4113.jpg8合目を過ぎた頃、一瞬青空がのぞいた瞬間があった。しかしこのあとまた激しい風雨に。


0_IMG_4060.jpg「今年はやめておこう」と思っていた剣ヶ峰。最後尾になった学生に付き添う形で、結局今年もやってきた。フラフラだったその子は感動して泣いていた。よくがんばったね。


3_IMG_4114.jpgでも剣ヶ峰直下のザレの下りがガクガク足にはけっこう核心だったりするのよね。


2_IMG_4115.jpg富士山頂の大火口にも感動の歓声。そういう新鮮な感動を感じづらくなっていくのが、アルパインの深みにはまっていく一因か。


逞しい顔つきになって東北へ帰っていく高校生たちのバスを見送るとき、子を持って昨年までとはまた明らかに違った目で彼らを見る自分にも気がついたのでした。


9_IMG_4107.jpg今年もなすびさん駆けつけました!疲れた子の荷物も持ってくれましたよ!


そんなこんなで、今年もとても楽しい3日間でした。お世話になった皆さん、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました!

山岳医療パトロール始動。「東北の高校生の富士登山」開催。

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世間では変異株が猛威を振るっていますが、あらゆるイベントごとが疑問の余地なく中止となった昨年と違い、2021年は東京オリンピックをはじめ様々な"イベントごと"が試行錯誤のもと開催されはじめています。


ワクチン接種しても感染は防げない、若年者も重症化する、感染力は水ぼうそうに匹敵する、など、またも新たな難問をつきつけてくる自然の脅威に、人間社会は果たして対抗できるのでしょうか。

8_IMG_6866.jpg尾白川の不動滝


未曾有の大災害といえば、日本中にかつてない被害をもたらした東日本大震災のあとも、日本中が「自粛」して水を打ったように静まりかえっていました。
でも、早い段階から、被災した方とそうでない人々との温度差はやはりありました。当時東北にいたのでそれは強く感じていました。
今回も当時とほぼ同じ状況になっているように思います。
日夜コロナ病棟で壮絶な戦いを強いられている医療従事者からしてみれば、日本国民の危機感が不足していると感じられることでしょう。

2_IMG_7174.jpg日向山山頂


しかし人流を止めるには法的措置しかないと個人的に思います。個人の裁量に任せる方法では無理です。
法的に制圧されているわけではない世の中で人々が日常を取り戻そうとするのはごくごく自然のことと思います。
感染対策などの考えを尽くした上で行われる"イベントごと"に関しては、批判はあって当然ですが、誰にも中止を迫る権利など無いのです。

7_IMG_7244.jpgドンドコ沢の五色滝

私はコロナ病棟で働いている医療従事者ではありません。特効薬を開発出来るわけでもないし、ただただ無力な存在です。それでも、変異株に対しても重症化はほぼ確実に防ぐことができるといえるワクチンの接種率を上げる業務には貢献できます。というわけで最近は、自治体の接種会場や国の大規模会場など、様々な会場へ行ってワクチン接種業務に関わっています。


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2017年から、地域の安全登山への貢献のため、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根ではじまった山岳医療パトロール活動。昨年から、山小屋に泊まっての活動は避け、登山口での声かけのみに活動を縮小して継続しています。
今年も北杜市の協力のもと、7月から活動を開始し、今年からは編笠山の登山口である観音平でも活動をはじめました。


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こうした活動も、県をまたいだ移動を行い、登山者と会話をするので、中止したほうが良いでしょうか?
でも、日常を取り戻そうとする動きは止めようがありません。あわせて行っているアンケート調査の結果からは、3密を避けてか、昨年よりもむしろ登山頻度が上がっているという方もいるようです。

0_IMG_6855.jpg水遊びに来た家族連れで賑わう尾白渓谷


9_IMG_6860.jpg午前中の声かけ活動後は、尾白渓谷登山道などのパトロールも行っています。軽装で険しい登山道を行こうとする方などに注意喚起をする場面も多々あります


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アンケート結果を見ると、「山は街より安全だ」と気がゆるんでしまう方も多いようです。声かけを行い、街中と同様に感染対策意識を高めてもらう活動は有意義だと私は信じています。


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また、昨年中止となった「東北の高校生の富士登山」も今年厳重な感染対策のもと開催されました。
東日本大震災被災当時幼稚園生だった高校生たちが、今年も参加14名全員で登頂を果たしました。

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一歩一歩前に進めば必ず山頂に辿り着くという貴重な経験をし、山岳のダイナミックな景観に心打たれ、さまざまな経歴の大人たちと触れ合って価値観を豊かにし・・・。そんな得難い3日間を満喫してもらえたと思います。彼らが大人になって、また未来の東北を、未来の日本を担っていくのです。

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今回は開催前から、感染対策などについてのアドバイスをさせていただき、開催中は医療班医師として、ごくごく微力ながらもお力添えさせていただきました。
開催を中止するのは簡単でも、この世情において開催を決め、遂行するのは非常に困難なことだったと思います。
どのような対策をして開催されたのか、アウトドアツアー業界においてひとつのモデルケースが出来たかも知れません。コロナによる貧困も無視できない問題となっている今、こうした活動もまた有意義なものだと思います。


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東京オリンピックでは、今大会から新種目となったスポーツクライミングにおいて選手用医療ボランティアとして参加させていただきました。日本選手はじめ、各国の選手の力強い登りは世界中に勇気と元気を与えてくれたと思います。
卓球やマラソンなど、他の種目もテレビ観戦していましたが、普段感じることのできない種類の感動をいただきました。
アスリートって、やっぱりかっこいいな。

2_IMG_6881.jpg北杜市移住計画進行中。お家が順調に出来てきています


9_IMG_7211.jpgリビングからの南アルプスの眺め。先日行ったら床暖房の設置が終わってました


0_IMG_7155.jpg外装はほぼ完了し、そろそろ足場と青ネットが外されるみたいです。ベルバーンに陽が当たるのを見るのが楽しみ!


8_IMG_7214.jpgロフトに上がれました。ここは吹き抜けになる予定で、階下のムーンボードを見下ろせる予定です


「山岳医」って、何者?"コメンテーター"とか"評論家"とか、そういう「自称」の肩書きなのは否めません。「ただの山好きでしょ」と言われても否定はできないし、「登山道に医者が居てなにか役に立つの?」と問われたら納得させられる自信もまだ無いです。でも、私には私にこそ出来ることが何かあるはず。こんなご時世だからこそ、自分なりに「山岳医」とは何か、を追求していきたいと改めて思います。

1_IMG_7173.jpgWilderness Medical Associates Japanのアンバサダーにも就任しました!WMAの講習は山のファーストエイドに非常に役に立つので、どんどん広めていきたいと思います!


そんな今日この頃。怪我と感染に気をつけて、これからも毎日を充実させたいと思います。

アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5895m)登山~山岳医として自身初の海外高所ツアーに学ぶ

クラブツーリズムさんという大手旅行会社さまのツアーでキリマンジャロに行ってきました!


知人を通じて頂いたこのお話、"山岳医"としての参加依頼です。


こんなに嬉しいことはありません!


ジャイアントセネシオとキリマンジャロ本峰であるキボ峰。天気にも恵まれ、"ザ・キリマンジャロ!"という景色を沢山見ることが出来ました。


"世界最高のトレッキングピーク"として、世界中の一般登山者やトレッカーが挑戦するキリマンジャロ、Maranguルート。特別な登山技術や道具を要しないということで、比較的簡単に登れる高山と見なされているようです。

火山であるキリマンジャロの2つ目の峰、マウェンジ峰と白首鴉。


しかし実際は少し違います。山小屋のキャパシティ等の関係から、通常行程でかなりの弾丸登山を強いられます。1000m以上の睡眠高度上昇はほぼ毎日で、更にアタック日には夜間行動からの標高差1200mの登高。しかも登頂後はそのまま一気に標高差2200mを下ります。山慣れしている人ならいざ知らず、登山歴がほとんど無い人や、そもそも運動習慣のない人、持病のある人などにとっては非常に厳しい"ハイキング"と言わざるを得ません。




山小屋でのアフタヌーンティータイム。高山病予防のため、沢山水分をとってガンガントイレに行きます。



しかし、そうした人々も多数チャレンジするのがこの山で、それ故に高山病関連疾患や死亡事故の起こる潜在的危険性が高い山とも言えます。


ミウラドルフィンズの安藤さんと!




これまでキリマンジャロのことをあまり知らなかった私は、色々と調べていくうちに「こうした登山こそ、山岳医の介入する余地があるのではないか」と思いました。今回は計5名、平均年齢65歳超のお客様方に安全に登山を楽しんでいただき、笑顔で無事帰国していただくことがミッションです。対応するスタッフは、添乗員のHさんと、高所の専門家であるミウラドルフィンズの安藤さん、そして私の3名です。「とにかく安全第一」とクラブツーリズムさんが言って下さったこともあり、これはやりがいのある仕事になるぞ、と思いました。


今回のメインガイド、Kimと。


東北の高校生の富士登山でも、高校生たちとの間には歳の差がかなりありますが、今回のお客様方とはそれ以上の年齢差があります。成田空港にそれぞれいらした際、ご挨拶しただけでは人となりもまだ分からず、はじめはどう接するのが良いか少し戸惑いもありました。しかしそんな不安はすぐに吹き飛んでしまうほど、とても優しくて楽しい方々ばかりでした。初ツアーで本当にお客様に恵まれた、というのが正直な感想です。そしてスタッフの安藤さんの明るさと添乗員のHさんのユーモア溢れるキャラクターも相まって、全員がすぐ打ち解けていったような気がします。


バス車内!


登山はやはり生易しいものではありませんでした。それでも、普段からお身体を鍛えている方や個人山行で練習してこられた方もあり、皆さんが事前にミウラドルフィンズの低酸素室で高所順応もされていました。力足らずで、全員とはいきませんでしたが、多くのお客様が登頂され、そして皆さんが元気で下山されました。帯同医としてこれ以上ない成果と思っています。


頂上台地を進む!


しかし、課題は山積みです。登山中、お客様の健康状態把握ためにも、そして今後の山岳医療の発展のためにも、様々なデータをとらせてもらいました。現場で現地ガイドの要請も聞きながら、お客様に対して難しい判断をしなければならない場面もありました。長い長い下山中、さまざまな反省点や改善点やアイデアが頭の中をグルグル回っていました。キリマンジャロ登山について、考えることはいっぱいです。


ご来光!


そうした意味でとても面白い山だと思います。この6日間は山岳医として本当に多くの学びを与えてくれました。


みなさん本当に本当に良い時間をありがとうございました!


さて、そのデータやアイデアを整理する時間も無いまま、今日からまたカナダに行きます。あと1時間後にフライト。今度はカリマーのお仕事です。カナディアンロッキーでスノーハイクやアイスクライミングの撮影です。


Canmore訪問はこれで3度目ですが、アイスクライミングで行くのは2度目、2017年のお正月ぶりです。


テンション鰻です!!お買い物もするぞ!

プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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