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2023/9/25、9/30甲斐駒ヶ岳赤石沢Aフランケスーパー赤蜘蛛〜the 3rd pilgrimage〜

今年、二年ぶりの"巡礼"に行ってきました。


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甲斐駒ヶ岳赤石沢Aフランケ"スーパー赤蜘蛛"は、これまでも何度か訪れている、我が国を代表するビッグルートで、フリー完登を意識し始めてからは早5年、今回で三度目の巡礼となりました。


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日本三大急登にも数えられる黒戸尾根を5〜6時間のアプローチでベースとなる8合目岩屋に到達し、そこから約1時間ほどのアプローチでルート取り付きへ至り、5.11台3ピッチを含む計8ピッチのクライミングとなります。6、7ピッチ目にあたる60〜70mの壮大なクラックが、つなげて登ると5.11dといわれている核心ピッチとなります。2020年にはじめて6ピッチ目の5.11cをリードし、ボロボロだったのですが、今回は6、7ピッチをつなげてトライし、完登出来なかったものの少しだけ成長を感じられました。


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今回のパートナー、ASAKOMANは2018年にワンデイトライしたときのパートナーですが、今回はキッチリ6、7ピッチをつなげて登る"レッジトゥレッジ"でRPし、その数日後には全ピッチをワンプッシュでフリー完登するという快挙を成し遂げました!


1_IMG_5308.jpg久々のカップ麺美味しかったな



二年前の2021年9月、このASAKOMANと「今シーズン赤蜘蛛リベンジしようぜ!」と話していて、そろそろトレーニング開始だな〜、と思っていた矢先に私の妊娠がわかりました。悩み抜いた挙句、「ゴメン、妊娠した・・山に入ってクライミングするのはやめとこうと思う。赤蜘蛛行けなくなっちゃった。ごめん」と伝えたところ、ASAKOMANは快く「もちろん、身体大事にしてな!」と温かい言葉をくれました。そうして二年が経った今年、私の方から「赤蜘蛛行きたい」と誘うと、「ちっぺと行こうと思ってたし!」と言ってくれ、今回の"巡礼"が実現しました。岩の状態がとにかく大事とわかっていたので、いい状態を掴めるよう、二週にわたって2泊3日で入山できるような日程を組み、今回のトライへと繋げることができました。


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核心の6、7ピッチ目のクラックは、やはり長くて面白い、登りごたえのあるルートでした。今回私は完登できませんでしたが、手応えは感じたので、来年絶対リベンジしようと思います。2週間後からのヨセミテ遠征前にとても良いトレーニングにもなったので、色々足りてなくて反省点だらけだったけど、やはり行ってよかったと思いました。


0_IMG_5309.jpgコンディションは2回ともばっちりでした!



そして今回、2日のレストをはさんで2回も二泊三日で入山でき、お留守番してくれた旦那さんと一歳の坊には感謝感謝感謝です。テラスでセカンドビレイをしながら、坊がニコニコしながら踊っているのを妄想してしまうような、全然クライミングに集中してない不届きものですが(笑)、これからもテンション鰻で精進していきたいと思います!

3_IMG_5306.jpg2回目の入山初日は中秋の名月でした


0_IMG_5321.jpgヤマハハコ、マツムシソウが沢山咲いてました!


最後に改めて、ASAKOMAN!圧倒的な完登おめでとう!!ホント〜に強かった。一緒に登れて、モチベーションがめっちゃ上がりました。

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あ〜。楽しかったなあ。早くまた行きたい!


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備忘録:6、7ピッチ目の"レッジトゥレッジ"は70mロープで十分(60mロープで足りるという情報多数)。
持参したギアは#.3〜#1×3セット、#2 ×4、#3×2、ヌンチャク×5、AQD×8、120cmスリング×4。

2022/2/5-6 甲斐駒ヶ岳 大武川 篠沢七丈瀑

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週末はよく一緒に登っているSくんと篠沢七丈爆へ!
私は3週間ぶりにまた黒戸尾根に戻ってきました(笑)。


篠沢七丈瀑はそのうち行きたいなと思いつつ後回しになっていたアイスルートのひとつ。
タイミング諸々が丁度良かったので、Sくんを誘って行ってみました。


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今回はゆったりプランで、初日は入山して七丈小屋にお泊まり。冬にお世話になるのは初めてです。
山岳医療パトロール実行委員会で2020年度にコロナ感染対策に関するマニュアルの作成にも関わらせて頂きましたが、花谷さんをはじめとする小屋スタッフの方々の徹底した対策のお陰で、安心してかつとっても快適に過ごすことが出来ました!

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受付したら各自番号をもらい、食堂スペース、寝室、靴箱は全てその番号のところを使います。銀マットやビニールシートでラッピング、仕切りがしてあってとっても清潔、安心!ちなみに宿泊者も寝袋持参です。

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生姜たっぷり「駒ヶ岳スキレット」さん自家製シロップのホットジンジャー


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美味しすぎる手作り濃厚カレー。お代わり自由って素晴らしい!丸2杯頂いて20分でぺろり。



翌朝もゆっくり6時起床で朝ごはん。

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3色おいなりさん弁当美味しかった!



この週末は冬型が強くて山頂付近はかなり荒れてそうでしたが、他の宿泊客の方々は朝早く起床して山頂を目指し登っていかれてました。


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七丈瀑は5合目からより7合目からアプローチしたほうが断然近いしラクです。
テント装備も無いので、ストックだけデポして吊り橋からアプローチ開始。


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沢地形を降りて滝のふもとへ。硬いモナカの下にスカ雪がたっぷり溜まっているような歩きにくい雪のラッセルで少々手間取りました。


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吊り橋から約20分、200mくらい降りた右手の岩壁に氷瀑が見えてきました。


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過去の記録と見比べると、1P目として登られている部分は半分くらい雪に埋まっていたようでした。
8時半、じゃんけんで勝ったSくんからリード開始!


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落氷を避けられる露岩の基部でピッチを切る。


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1P目のフォロー。

尾根の北側は強風の嵐みたいな天気でしたが、尾根の南側にある七丈爆はそれと比べ超穏やか。
気温も低くかつ雲が多かったので氷が日照を浴びることもなく、よく噂に聞く「濡れる」ということもなく、とてもいいコンディションだったと思います。


2P目は左岸側の壁の左端をリードしました。


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リード中にぱしゃり。寒そうにしてるSくん。


下から見るのと違い、氷部分だけで45mくらいあり登りごたえありました。しかも気温低いから鋼のように硬い(笑)。
IV+〜V-くらいの足で立てる傾斜でしたが打ち込みでパンプ。アイゼンもあまり深く刺さらないのでふくらはぎが疲れました。


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滝上の灌木までは60mギリギリいっぱい。久しぶりの長い氷、楽しかった!長いは正義!


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下降は灌木で60mと、アバラコフつくって残り20mくらい。


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取り付きのザック。この日は貸切!


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なんと二人とも全く同じロープを持ってきてしまったので、引っ張るロープがどっちかめちゃ紛らわしかった(笑)

12時半ころ下降終了。朝の残りのおいなりさん(凍ってなかった!)を美味しく頂いて、登り返しです。


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締まってない雪の再ラッセルで結構疲れました。

あとは惰性(笑)で黒戸尾根下山。でも今回はゆっくり歩いたからノーダメージ。18時前くらいに駐車場に着きました。

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5合目から見える七丈瀑。V字に切れた谷の一番下あたりに見えるのが登った氷瀑です。


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Kくんと甲斐駒ヶ岳ロックグラスでお疲れ乾杯!また遊んでね〜⭐︎

鹿島槍ヶ岳北壁氷のリボン敗退。 2021/4/10-11

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2週間前主稜に行ってから、ずっと氷のリボンのことが頭にあった。
みるみる気温が上昇し、あたりが真っ白な雪煙と爆風に包まれる特大スノーシャワーが頻繁に落ちてくる下をトラバースしながら、通り過ぎる時どうにかこうにか「チラ見」した真っ白な氷。


その3日後にこの氷を登った人の記録も読んでしまった。「チラ見」したとき思った通りのスカスカ氷だったようだ。


しかし、もう少し待てばコイツ状態が良くなるのでは?と思えてならなかった。
その期待通りに、そこからの数日間は気温が上がったものの、最後の1週間は冬に逆戻りしたかのように冷え込んだ。
いったん溶けたつららが結合し、きっと登りやすくなっているに違いない。
完璧すぎる天気予報を追い続け、ずっとワクワクしっぱなしで迎えた2週間後だった。


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それなのに、リボン取り付きでのパートナーの降りたいという強い申し出に、何かがぷつんと切れてしまった。
当然かも知れない。パーティで登っているのだし、大きくてリスクもあるこの壁の登攀を無理やり続けるなんて危なっかしい。
それに彼は、1週間前地上でもすでに同じ気持ちを私に打ち明けてくれていた。
それはカモババにスクリューを買い足しに行こうとした矢先のことで、私はその時高田馬場の道端でだいぶゴネてしまった。


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2年もブランクがあるし、自分にはオーバーグレード過ぎて楽しめない。
もっとステップアップを積んでから行きたい。不安しかない。主稜だって一般的なスピードで登れなかったのに。





そんな風に正直な気持ちを伝えてくれていたパートナーに、気象条件が悪ければ絶対に無理はしないと約束して、半ば強引に行く決断をさせてしまった。
だから取り付きでの一悶着は、当然想像できる内容だった。


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天狗尾根第一核心はこのボルダリングと渡渉。

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シュルンドや雪庇、雪のブロックを超えて。

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サイコウのテン場に到着!


主稜から2週間たって、もう4月も半ば。急激に融雪が進んですっかり様変わりした天狗尾根を越え、今回はロケーション最高な天狗の鼻に1泊する。
冷え込むけど気候は穏やかという絶好の登山日和となった週末に、遠く東尾根には一ノ沢の頭にも二ノ沢の頭にもテントが張られ、天狗の鼻も賑わいをみせてちょっとしたテント村ができた。

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暮れなずむテント村。


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そして輝くモルゲンロート。


そうして迎えた翌朝。1時半に起きて、3時前にはテントをでた。
アンザイレンして1番乗りでトラバースを開始するが、フォローのペコマがなかなか来ない。取り付きにつく少し前に夜が明けた。
「全ての後続に抜かれた」と彼は言った。もういっぱいいっぱいだと。明らかに実力が足りていないと。そしてこの先フォローでも登れる自信はないと。


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主稜にとりつかんとする知り合いパーティ。


この時間からまたトラバースを戻って敗退するなら、なるべく早く通過したい。
だけど目の前のリボンは思った通り、透明でつやっとしていて、痩せてぶっ立ってはいるものの氷質はよさそうだ。
パートナーも、氷を目の前に意気揚々としている私にできればそんなことは打ち明けたくなかっただろう。
それでも意を決して言ってくれたのだ。事故るかも知れないし、正しい判断だったと思う。それなのに私は、曇り切ったパートナーの表情をあえて見ようともせず、のらりくらりと「登ってみない?」「大丈夫だよ、いけるよ」などとあしらって、リードの準備を続け、登り始めてしまった。


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氷質はやはり2週間前と比べよくなっていたのだと思う。スクリューはちゃんときいて落ちれる強度はあったと思う。氷は硬くてパンプがひどかったけど、じわりじわりとは登って行けた。だが、サクサクとは上がれなかった。
そして段になったところから、氷が一気にベルグラとなって岩が透けて見えている手前でレストをしているとき、はあはあしている自分の息の音を聴きながら、我に返ったのか。それともただ弱気の虫が顔を出しただけか、分からないけれど、「これ以上進んだらダメかも」と思えてきた。
いったんそう思い始めたら急に不安が押し寄せてきて、2週間あんなに楽しみにしていた気持ちはどこへやら、即効でアックステンションしてアバラコフを作り始めている自分がいた。あまりにもたくさんの思考や感情が渦巻いていて、そのとき本当はどんな気持ちだったのか自分でもよく分からない。


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下山のとき、申し訳なさそうにしているパートナーを見てものすごく申し訳ない気持ちになった。
山登りは本来楽しいもののはずだ。だからこそ2人して山登りにはまったのだ。
それなのに今回の山行はそうじゃなかった。
だからそもそもが成り立っていなかったんだと、やっと気づいて反省した。


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何はともあれ、美しい景色が見られたし、経験値はまた上がったから行ってよかったと思っている。
パーティとしてモチベーションが合致し、実力も上がったなら、またリベンジもありかな。
もっともっと成長しよう。いろいろと!(笑)

2021/3/24 鹿島槍ヶ岳北壁 主稜 ワンデイトライ

旦那さんのペコマと予定を合わせて、3月頭からコンディション待ちをしていた鹿島槍北壁に行ってきました!


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ルート終了点にて!新しいiPhone12 miniで撮影!


1年間イギリス留学をしていたこともあり、ペコマにとっては実に2年ぶりとなる冬期アルパイン。鹿島槍北壁は二人とも初めてだし、今シーズンの情報もないのでそれなりに気合いを入れて望む山行です。
天候や気温、積雪の推移を見つつ、八ヶ岳などでちょこちょこペコマのリハビリ山行もしながら入山タイミングを見計らっていました。
そして、ペコマのお休みもとれていたこの日にワンデイで行くことにしました。

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前夜、大谷原Pに22時前に到着してどうにか1時間半の仮眠。0時出発予定です。日の出が5時半くらいだから、本来ならもう1時間早く出たかったところですが、さすがに仮眠なしもキツすぎる。アプローチ急げばいいだけ!と思っていたものの、実際には渡渉に手間取ったりして天狗の鼻着は5時。北壁基部のトラバースを開始する頃にはもう美しい朝焼けが始まろうとしていました。

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いつもならただただ感動する快晴のモルゲンロート。しかしこのルートに限っては・・・


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全体の概念を確認できたのはまあよかった。


「このトラバース行くのは正気の沙汰じゃないね」とペコマ。2年ぶりということもあり、朝からずっと心配げなパートナーの様子は気掛かりでした。
たしかに恐ろしげなトラバース。でも降雪はここ数日なく、前日の強風が気になるところでしたが雪は大分落ち着いているはずと自分に言い聞かせ。ここで電波が入ったので、毎朝5時頃更新されるJANの雪崩予報も確認。アルパインエリア危険度Moderateでsize1のウインドスラブ崩壊possibleとのこと。その他の留意事項といえば、今日は気温が上がる予報なこと・・。5分程度逡巡して、決行としました。


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南面のキノコの発達具合が壮観。


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トラバース中、太陽が高くなるにつれて南面のガラガラ音が激しくなっていきます。カクネ里はデブリいっぱい。そして氷のリボン取り付き手前のスノーコルから先を見やると、ああ、日が当たっちゃった。しかもトラバースラインの真上に今や悠々と日光浴を楽しむ中くらいサイズのキノコさん。って見てたら、氷のリボンのルンゼから特大チリ雪崩!目の前で大迫力。そしてその先でも落雪に誘発された小さな表層雪崩と、次々不安を煽ってくれます。ここでまた逡巡し、しかし結局前進しました。
アルパインではスピード=安全ですから、こういう現場判断時のタイムロスの"ちりつも"は無視できません。焦りは禁物ですが、判断の早さはやはり重要ですね。


落雪の爆風に身を屈めながら、とにかく早く主稜線上に抜けることだけを考えリード開始。今回は、コンテの場面以外は基本的に全てリードさせてもらいました。核心部はチリ雪崩がひっきりなしで、待っていてもなかなか止んでくれないので、下を向いた状態のままアックスを降り続けました(笑)。

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はじめは60mいっぱい伸ばして、最後少しだけ登ってもらってなんとか前腕の半分くらいの太さの木でビレイ。

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ルートは右だけど左のルンゼからでっかいチリ雪崩が3発くらいきて爆風を浴びました。垂直に見えるところの基部まで30m。

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垂直部からはじまり60m伸ばす。フォローのペコマを見下ろす。天気は最高!

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ろくなアンカーが作れない。スノーバーは2本持参して正解だった。


出だし3mほどははほぼバーチカルで、その後70-80度くらいとなかなかに立ってる脆めの薄い雪氷。アイゼンアックスは効くけど、プロテクションはほぼとれない。というか、チリ雪崩が頻発過ぎてプロテクションをとろうという心の余裕が生じません(笑)。50mほど伸ばすと落ち口近くなり、チリ雪崩攻撃もだいぶ食らわなくなりました。ここで10cmスクリューが根本まで入り感動しましたが、60mいっぱいでプロテクションはこの1本のみ。。なかなかに登り応えあります!


このあとは数100m、雪壁をコンテでひたすら登る。長い。さすが鹿島槍パイセン、bigなguyです。


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稜線まであと標高差200m。絶景のベンチにて。

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トップアウト〜。いちおうポーズ。

全然スピード上がらず、やっとトップアウトする頃には15時半を回ってしまいました。遅!疲れたし眠いし、北峰山頂は4年前に東尾根から登ってるしいいや、ってことで下山開始。


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風もなく穏やかな山頂。絶景かな!二人じめ哉!


「水飲んでお菓子食べて、下山も全集中で行こう!」

って気合い入れたのに、、
天狗尾根と東尾根、間違わないようにって頭にもあったのに、、、

東尾根、4年前まさにココも登ってるのに!!

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降りちゃダメ〜!意気揚々と懸垂しちゃダメ〜〜!


見事に間違えてましたorz


なんか変だと気づいたのは、ぐしゃぐしゃのザラメ壁を長時間かけてクライムダウンした後。
天狗尾根には無いはずの三角ピークのある、遥か下方の尾根を目指している・・。尾根の方角もなんか変です。その場でGeographicaを確認したところ、やはり東尾根を降りている!ということに気がつきました。いやーん!


このまま東尾根を降りちゃうか?しかし天狗の鼻に水と食料の入ったデポザックがあり、手持ちの水はもうわずか。色々考え合わせ、またひとしき逡巡してから、ヘッドライトを点灯。標高差約200mの登り返しをはじめました(笑)。


19時半過ぎ、東尾根核心部の岩場をリード。なにやってるんだか・・・。残りわずかとなった行動食でなんとか血糖値を保ちつつ、美味しいザラメを頬張りつつ正しい下山路へ・・。


天狗尾根降り口は何にも難しいことはありませんでした。きちんと地図読みしなかったことを大反省。ここからも落ち着いて暗闇のルーファイです。地形図に表れない数10mのギャップがいくつもあり、潅木で2回の懸垂と、ダガーポジションでのクライムダウンを繰り返しながら下降しました。

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眠いしスピードもどんどん落ちながら、どうにかザックをデポしたトラバースの取り付きについたのが22時ころ?(記憶不確か)
デポの水をゴクゴクと飲んで潤し、また気の抜けない下山を開始しました。行動食多めに持ってきててよかった。。


しかし前夜の仮眠1時間半も効いてきて、歩きながら寝ている感じになってきました。ん?今どこ歩いてるんだろ。天狗の鼻には南側から尾根上に直行するようなかたちで突き上げた記憶があるのですが、今天狗の鼻からまっすぐに伸びる尾根をもうだいぶ下っています。ここどこ?まぶたが重すぎて目も開いているのか怪しい状態。夢か現実かよくわかりません。どうにかこうにか前を行くペコマを追いかけていますが・・どこを歩いているのかがさっぱり分からない・・・・


「これはやばい!」
と、ペコマに声をかけ、平らな場所ではないけれど、その場で10分寝ることにしました。潅木にセルフとって即気絶。からの10分後、目覚めると頭スッキリ!で、脳みそが機能しだして、やっぱりおかしいということに気がつきました。再度Geographicaを確認。なんと、地形図上で"天狗尾根"と表記のある北東方向へ伸びる尾根に来ちゃってます。しかもすでに150mほども下ってるorz 先に下り始めていたはるか下方のヘッドライトの主を呼び止め、この衝撃の事実を伝えました。もしやペコマも寝てたのか~(汗)。東尾根はまだしも、この間違いは気づくのが遅れていたら遭難レベルの悲惨さでした。危なかった。気を取り直してまたまた登り返します。


そんなこんなで、東尾根核心部でセカンドビレイ中に、「もしかしたら24時間オーバーしてワンデイ失敗かな」なんて思っていたのが、いつしか「コレ余裕で日付変わるな」という確信に変わり、そして日付が変わってもまだアラ沢にすらたどり着いておらず、最後には「これ夜が明けるな」になりました(笑)。


沢水すごくおいしかった。ここでまた生き返る。


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FF7の新羅カンパニーを彷彿とさせます。


だがでもしかし、まさか6時過ぎになるとは・・・!しっかり朝じゃん。

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そんなバナな・・・


途中からは、道路標識とか、手帳のシールとか、車とか、雪だるまとか、様々な幻覚が見えたり、ラジオ放送やラップの歌声なんかが聞こえたりしていました。それにしても幻覚ってはじめて見ましたが、あんなにも鮮明に見えるものなんですね。。


帰りの運転は過去最高レベルの危険度でした。2人ともコンビニをみつけるごとに交代。それでも事故寸前。片道270kmを10数ピッチのつるべで、それでも最後の数ピッチはやっとまともな距離を走れるほどに回復してきました。


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ああ、様々な反省の嵐です。
ただ、ミス連発のせいとはいえ、睡眠不足からの30時間行動といういい経験にはなりました。
っていうポジティブシンキンで締めくくりましょう。
リア充アピール(?)ばっかりなんてつまらない、恥を晒してこそのブログ!と思い、書きました(笑)。
氷のリボン、綺麗だったなぁ。


ところで、実に2ヶ月ぶりのブログとなってしまいました。
今年も年始から長い自粛期間に苦しめられた列島ですが、私はずっと自粛していたわけではありません。
仲間と山へ行ったり、スキーをしたりといったアウトドア活動は変わらず続けていました。

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ですが、そういった記録を見て元気や勇気をもらえる人も居れば、「自分は自粛して我慢しているのに」と嫌な思いをされる方もいると思います。私個人的には前者です。でも、様々な価値観や考え方があって当たり前です。
SNSなどでは継続して発信していましたが、上記のようなことも考えると、ブログ記事はしばらく書く気が起こりませんでした。

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私は医師免許を持っており、医療従事者です。ですがもう3年前に前職をやめてフリーとなりました。自分が本当にやりたいことを気兼ねなく追求する生き方をしよう、と決めたからです。だから、コロナウイルスが猛威を振るう世の中となってもそのスタンスは変わりません。もちろん「医療従事者ならコロナ診療に関わるべきだ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。もっともなご意見です。
きっと前職を辞めていなかったら、専門科に関わらず、そうした診療に関わることになっていただろうとも予想しますから、私も一部にはそう思うところもあり、胸を張って「自分の生き方を貫く」と言い切れない部分もあります。
ですが、周囲の方々の意見は人生の参考にはなれど、指針とは違います。
無い脳みそをしぼり、私なりに色々と考えましたが、やはり私は前職を辞めたときに決めた生き方で今後も進んでいこうと思っています。



これからも、テンションうなぎで登っていきます。どうぞよろしくお願いいたします!(^^)

2020/10/3〜4 甲斐駒ケ岳 Aフランケ スーパー赤蜘蛛 〜4度目のトライ備忘録〜

先週末はpecomaとスーパー赤蜘蛛でした。


0_DSCN1075.jpgスーパー赤蜘蛛のハイライトとなる、6〜7ピッチ目、全長70mのクラック。


昨年は10月の台風による登山道崩落で計画していた"赤蜘蛛参詣"を断念したので、今年「待ちに待った」という感じでした。
購入後ずっと山道具部屋の棚に飾ってあった80mロープを開封し、車に積んで、「いざ!」という感じでその日を迎えました。


というほど大げさではないのですが(笑)。


IMG_1279.jpg今年は日本登山医学会公認「甲斐駒ケ岳山岳医療パトロール活動」の一環で、竹宇登山口にて、コロナ感染対策に関する声かけ活動を行っています。
今回は活動終了後、パッキングをして入山!



結論から言うと、レッジトゥレッジでの完登は自分にはまだかなりハードルが高い。
でもチャンスとやる気次第で十分可能性はあるし、達成できたら自分の人生でもなかなかのビッグイベントとなる。
そんな風に感じた、人生4度目のスーパー赤蜘蛛でした。


8_IMG_7949.jpg入山後、8合目の岩小屋に荷物をデポしてAフランケ取り付きまでの下見。途中で見えた北岳!


↓これまでのスーパー赤蜘蛛参詣、その遍歴↓

2013年7月:初スーパー赤蜘蛛→Yosemite遠征前のビッグウォール練習のため、全装備持って登り大テラスビバークというスタイルで。クライミング内容はけっこう破茶滅茶(笑)。

2015年9月:ちゃんと登りに行った2度目のスーパー赤蜘蛛→岩のコンディション悪く実力も足りず、クライミングはやはり散々な内容。私はリードしたどのピッチも満足に登れていない。

2018年10月:ワンデイスーパー赤蜘蛛→Asakoと女子2人でスーパー赤蜘蛛、駐車場から往復20時間22分。つるべで登り、私は奇数ピッチを担当。スーパークラック1P目以外はチームRPというまずまずの内容。次回、レッジトゥレッジでの完登を胸に下山する。


7_IMG_1196.jpg8合目岩小屋から望む北岳。この週末は他にもクライマーパーティが入山しており、しかも知り合いでした(笑)


こうして見ると、2〜3年おきに1度行きたい気持ちが湧いてくるようですね。
たぶん黒戸尾根の長い長いアプローチが、下山後「しばらくいいや」って思わせるのでしょう・・。
思えば、2年前はワンデイだったので荷物が軽くて黒戸は楽だった(下山も走ってたし)。そう考えると、たった1泊しかしないのに重荷に喘ぐのと比べてワンデイも合理的なのかも知れません。


5_GPTempDownload 2翌朝は3時起床、4時前アプローチ開始。2年前、FIXロープが大岩の下敷きになっていてロープを出したところは、新しいFIXが張られていたので、それを使って懸垂出来ました。整備に感謝!


2_IMG_1253.jpg取りつきに5時前には着いてしまって、真っ暗過ぎ。しかし5時半を過ぎてもなかなか明るくならず、複数パーティ居るのもあって、しびれをきらしてヘッデンでスタート。今回はpecomaが荷物係さんを引き受けてくれたのでchippeがオールリードです。


6_GPTempDownload 2ほんの少し、「あわよくばワンプッシュオールRPを・・」という邪念もありました。しかし1P目、核心と思われる部分で躓いて再登ならず!そしてモタモタしているうちにすっかり明るくなりました^^;


3_DSCN1069.jpg9_DSCN1074.jpg期待通りの紅葉と白い岩!まだ手がかじかむような寒さではなく、止まっていると少々肌寒い程度の、クライミングには丁度良い気候でした。



2_GPTempDownload.jpg5ピッチ目、ロープを伸ばしながら、下部ピッチをユマール中のpecomaを見下ろす。まず落ちないようなところはノンビレイで登りました。


1_GPTempDownload.jpgオールリードは疲れたけど、気力体力ともに良いトレーニングになりました。pecoma荷物係さんありがとう!



今回、レッジトゥレッジでの完登はそう簡単なものじゃない、と気付いてしまいました(笑)。6ピッチ目5.11cのクラックをワークして、ムーヴもギアももっと洗練させる必要がありそうです。このピッチ、長さも内容も、この間1撃した錫杖「深夜特急」の核心ピッチより数段難しく感じます。今回はワークする気満々で取り付いたにも関わらず、「雨が降って来た」とか「後続もいるし」とか色んな雑念に豆腐メンタルが負けて、結局ヨレヨレで6ピッチ目を抜けた後、降りて2便目を出す気力は消えてしまいました。


0_DSCN1072.jpg残置ハーケン等も使った上で、持参した2セット+αのギアをほぼ全て使い切った6ピッチ目・・。


8_DSCN1077.jpg6ピッチ目ワークはせず、そのまま7ピッチ目スーパークラックへ。こちらは再登できましたがやはり出だしは悪かった!中間部は内部が3番サイズに広がったハンドクラックで、私にとってはワイドぎみハンド。ランナウトしなければならないこともあってなかなかに消耗します。


IMG_1285.jpgそれにしても似てますね。YosemiteのCrimson Cringeに。この写真は2018年の遠征時のものですが、2018年にはじめてココを登ったとき、あらためて日本のCrimson Cringeへの思いが募ったのを覚えています。


7_DSCN1080.jpg後続パーティをかなり長いことお待たせしてしまって申し訳なかった!


何はともあれ、何となく響きがかっこいいから口走っていた「スーパー赤蜘蛛レッジトゥレッジ」がどういう姿形のモンスターなのか、その全貌や攻略法が自分の中でだいぶ明確になった二日間でした。


6_GPTempDownload.jpg5ピッチ目の途中からはずっと雨が降ったり止んだりの天気となりました。


5_GPTempDownload.jpgでも最後の5.10b/cのスラブは不思議と濡れてなくて良かった!



4_GPTempDownload.jpg久しぶりの終了点岩小屋。


今シーズン2度目はあるのかないのか・・・(笑)。
天気とパートナー次第ですね〜💪


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※今回持参したギア※
カム(キャメとトーテム)#.2×1、#.3〜#.5×2セット、#.75〜#1×3セット、#2×4個、#3×3個、ナッツ1セット(使わず)、OZクイックドロー×5、アルパインクイックドロー(60cm)×8、120cmスリング×4、80mシングルロープ(9.5mm)×1、捨て縄2本(使わず)、アセンダー(フォロー用)

プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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