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鹿島槍ヶ岳北壁氷のリボン敗退。 2021/4/10-11

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2週間前主稜に行ってから、ずっと氷のリボンのことが頭にあった。
みるみる気温が上昇し、あたりが真っ白な雪煙と爆風に包まれる特大スノーシャワーが頻繁に落ちてくる下をトラバースしながら、通り過ぎる時どうにかこうにか「チラ見」した真っ白な氷。


その3日後にこの氷を登った人の記録も読んでしまった。「チラ見」したとき思った通りのスカスカ氷だったようだ。


しかし、もう少し待てばコイツ状態が良くなるのでは?と思えてならなかった。
その期待通りに、そこからの数日間は気温が上がったものの、最後の1週間は冬に逆戻りしたかのように冷え込んだ。
いったん溶けたつららが結合し、きっと登りやすくなっているに違いない。
完璧すぎる天気予報を追い続け、ずっとワクワクしっぱなしで迎えた2週間後だった。


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それなのに、リボン取り付きでのパートナーの降りたいという強い申し出に、何かがぷつんと切れてしまった。
当然かも知れない。パーティで登っているのだし、大きくてリスクもあるこの壁の登攀を無理やり続けるなんて危なっかしい。
それに彼は、1週間前地上でもすでに同じ気持ちを私に打ち明けてくれていた。
それはカモババにスクリューを買い足しに行こうとした矢先のことで、私はその時高田馬場の道端でだいぶゴネてしまった。


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2年もブランクがあるし、自分にはオーバーグレード過ぎて楽しめない。
もっとステップアップを積んでから行きたい。不安しかない。主稜だって一般的なスピードで登れなかったのに。





そんな風に正直な気持ちを伝えてくれていたパートナーに、気象条件が悪ければ絶対に無理はしないと約束して、半ば強引に行く決断をさせてしまった。
だから取り付きでの一悶着は、当然想像できる内容だった。


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天狗尾根第一核心はこのボルダリングと渡渉。

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シュルンドや雪庇、雪のブロックを超えて。

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サイコウのテン場に到着!


主稜から2週間たって、もう4月も半ば。急激に融雪が進んですっかり様変わりした天狗尾根を越え、今回はロケーション最高な天狗の鼻に1泊する。
冷え込むけど気候は穏やかという絶好の登山日和となった週末に、遠く東尾根には一ノ沢の頭にも二ノ沢の頭にもテントが張られ、天狗の鼻も賑わいをみせてちょっとしたテント村ができた。

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暮れなずむテント村。


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そして輝くモルゲンロート。


そうして迎えた翌朝。1時半に起きて、3時前にはテントをでた。
アンザイレンして1番乗りでトラバースを開始するが、フォローのペコマがなかなか来ない。取り付きにつく少し前に夜が明けた。
「全ての後続に抜かれた」と彼は言った。もういっぱいいっぱいだと。明らかに実力が足りていないと。そしてこの先フォローでも登れる自信はないと。


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主稜にとりつかんとする知り合いパーティ。


この時間からまたトラバースを戻って敗退するなら、なるべく早く通過したい。
だけど目の前のリボンは思った通り、透明でつやっとしていて、痩せてぶっ立ってはいるものの氷質はよさそうだ。
パートナーも、氷を目の前に意気揚々としている私にできればそんなことは打ち明けたくなかっただろう。
それでも意を決して言ってくれたのだ。事故るかも知れないし、正しい判断だったと思う。それなのに私は、曇り切ったパートナーの表情をあえて見ようともせず、のらりくらりと「登ってみない?」「大丈夫だよ、いけるよ」などとあしらって、リードの準備を続け、登り始めてしまった。


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氷質はやはり2週間前と比べよくなっていたのだと思う。スクリューはちゃんときいて落ちれる強度はあったと思う。氷は硬くてパンプがひどかったけど、じわりじわりとは登って行けた。だが、サクサクとは上がれなかった。
そして段になったところから、氷が一気にベルグラとなって岩が透けて見えている手前でレストをしているとき、はあはあしている自分の息の音を聴きながら、我に返ったのか。それともただ弱気の虫が顔を出しただけか、分からないけれど、「これ以上進んだらダメかも」と思えてきた。
いったんそう思い始めたら急に不安が押し寄せてきて、2週間あんなに楽しみにしていた気持ちはどこへやら、即効でアックステンションしてアバラコフを作り始めている自分がいた。あまりにもたくさんの思考や感情が渦巻いていて、そのとき本当はどんな気持ちだったのか自分でもよく分からない。


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下山のとき、申し訳なさそうにしているパートナーを見てものすごく申し訳ない気持ちになった。
山登りは本来楽しいもののはずだ。だからこそ2人して山登りにはまったのだ。
それなのに今回の山行はそうじゃなかった。
だからそもそもが成り立っていなかったんだと、やっと気づいて反省した。


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何はともあれ、美しい景色が見られたし、経験値はまた上がったから行ってよかったと思っている。
パーティとしてモチベーションが合致し、実力も上がったなら、またリベンジもありかな。
もっともっと成長しよう。いろいろと!(笑)

2021/3/24 鹿島槍ヶ岳北壁 主稜 ワンデイトライ

旦那さんのペコマと予定を合わせて、3月頭からコンディション待ちをしていた鹿島槍北壁に行ってきました!


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ルート終了点にて!新しいiPhone12 miniで撮影!


1年間イギリス留学をしていたこともあり、ペコマにとっては実に2年ぶりとなる冬期アルパイン。鹿島槍北壁は二人とも初めてだし、今シーズンの情報もないのでそれなりに気合いを入れて望む山行です。
天候や気温、積雪の推移を見つつ、八ヶ岳などでちょこちょこペコマのリハビリ山行もしながら入山タイミングを見計らっていました。
そして、ペコマのお休みもとれていたこの日にワンデイで行くことにしました。

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前夜、大谷原Pに22時前に到着してどうにか1時間半の仮眠。0時出発予定です。日の出が5時半くらいだから、本来ならもう1時間早く出たかったところですが、さすがに仮眠なしもキツすぎる。アプローチ急げばいいだけ!と思っていたものの、実際には渡渉に手間取ったりして天狗の鼻着は5時。北壁基部のトラバースを開始する頃にはもう美しい朝焼けが始まろうとしていました。

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いつもならただただ感動する快晴のモルゲンロート。しかしこのルートに限っては・・・


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全体の概念を確認できたのはまあよかった。


「このトラバース行くのは正気の沙汰じゃないね」とペコマ。2年ぶりということもあり、朝からずっと心配げなパートナーの様子は気掛かりでした。
たしかに恐ろしげなトラバース。でも降雪はここ数日なく、前日の強風が気になるところでしたが雪は大分落ち着いているはずと自分に言い聞かせ。ここで電波が入ったので、毎朝5時頃更新されるJANの雪崩予報も確認。アルパインエリア危険度Moderateでsize1のウインドスラブ崩壊possibleとのこと。その他の留意事項といえば、今日は気温が上がる予報なこと・・。5分程度逡巡して、決行としました。


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南面のキノコの発達具合が壮観。


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トラバース中、太陽が高くなるにつれて南面のガラガラ音が激しくなっていきます。カクネ里はデブリいっぱい。そして氷のリボン取り付き手前のスノーコルから先を見やると、ああ、日が当たっちゃった。しかもトラバースラインの真上に今や悠々と日光浴を楽しむ中くらいサイズのキノコさん。って見てたら、氷のリボンのルンゼから特大チリ雪崩!目の前で大迫力。そしてその先でも落雪に誘発された小さな表層雪崩と、次々不安を煽ってくれます。ここでまた逡巡し、しかし結局前進しました。
アルパインではスピード=安全ですから、こういう現場判断時のタイムロスの"ちりつも"は無視できません。焦りは禁物ですが、判断の早さはやはり重要ですね。


落雪の爆風に身を屈めながら、とにかく早く主稜線上に抜けることだけを考えリード開始。今回は、コンテの場面以外は基本的に全てリードさせてもらいました。核心部はチリ雪崩がひっきりなしで、待っていてもなかなか止んでくれないので、下を向いた状態のままアックスを降り続けました(笑)。

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はじめは60mいっぱい伸ばして、最後少しだけ登ってもらってなんとか前腕の半分くらいの太さの木でビレイ。

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ルートは右だけど左のルンゼからでっかいチリ雪崩が3発くらいきて爆風を浴びました。垂直に見えるところの基部まで30m。

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垂直部からはじまり60m伸ばす。フォローのペコマを見下ろす。天気は最高!

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ろくなアンカーが作れない。スノーバーは2本持参して正解だった。


出だし3mほどははほぼバーチカルで、その後70-80度くらいとなかなかに立ってる脆めの薄い雪氷。アイゼンアックスは効くけど、プロテクションはほぼとれない。というか、チリ雪崩が頻発過ぎてプロテクションをとろうという心の余裕が生じません(笑)。50mほど伸ばすと落ち口近くなり、チリ雪崩攻撃もだいぶ食らわなくなりました。ここで10cmスクリューが根本まで入り感動しましたが、60mいっぱいでプロテクションはこの1本のみ。。なかなかに登り応えあります!


このあとは数100m、雪壁をコンテでひたすら登る。長い。さすが鹿島槍パイセン、bigなguyです。


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稜線まであと標高差200m。絶景のベンチにて。

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トップアウト〜。いちおうポーズ。

全然スピード上がらず、やっとトップアウトする頃には15時半を回ってしまいました。遅!疲れたし眠いし、北峰山頂は4年前に東尾根から登ってるしいいや、ってことで下山開始。


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風もなく穏やかな山頂。絶景かな!二人じめ哉!


「水飲んでお菓子食べて、下山も全集中で行こう!」

って気合い入れたのに、、
天狗尾根と東尾根、間違わないようにって頭にもあったのに、、、

東尾根、4年前まさにココも登ってるのに!!

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降りちゃダメ〜!意気揚々と懸垂しちゃダメ〜〜!


見事に間違えてましたorz


なんか変だと気づいたのは、ぐしゃぐしゃのザラメ壁を長時間かけてクライムダウンした後。
天狗尾根には無いはずの三角ピークのある、遥か下方の尾根を目指している・・。尾根の方角もなんか変です。その場でGeographicaを確認したところ、やはり東尾根を降りている!ということに気がつきました。いやーん!


このまま東尾根を降りちゃうか?しかし天狗の鼻に水と食料の入ったデポザックがあり、手持ちの水はもうわずか。色々考え合わせ、またひとしき逡巡してから、ヘッドライトを点灯。標高差約200mの登り返しをはじめました(笑)。


19時半過ぎ、東尾根核心部の岩場をリード。なにやってるんだか・・・。残りわずかとなった行動食でなんとか血糖値を保ちつつ、美味しいザラメを頬張りつつ正しい下山路へ・・。


天狗尾根降り口は何にも難しいことはありませんでした。きちんと地図読みしなかったことを大反省。ここからも落ち着いて暗闇のルーファイです。地形図に表れない数10mのギャップがいくつもあり、潅木で2回の懸垂と、ダガーポジションでのクライムダウンを繰り返しながら下降しました。

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眠いしスピードもどんどん落ちながら、どうにかザックをデポしたトラバースの取り付きについたのが22時ころ?(記憶不確か)
デポの水をゴクゴクと飲んで潤し、また気の抜けない下山を開始しました。行動食多めに持ってきててよかった。。


しかし前夜の仮眠1時間半も効いてきて、歩きながら寝ている感じになってきました。ん?今どこ歩いてるんだろ。天狗の鼻には南側から尾根上に直行するようなかたちで突き上げた記憶があるのですが、今天狗の鼻からまっすぐに伸びる尾根をもうだいぶ下っています。ここどこ?まぶたが重すぎて目も開いているのか怪しい状態。夢か現実かよくわかりません。どうにかこうにか前を行くペコマを追いかけていますが・・どこを歩いているのかがさっぱり分からない・・・・


「これはやばい!」
と、ペコマに声をかけ、平らな場所ではないけれど、その場で10分寝ることにしました。潅木にセルフとって即気絶。からの10分後、目覚めると頭スッキリ!で、脳みそが機能しだして、やっぱりおかしいということに気がつきました。再度Geographicaを確認。なんと、地形図上で"天狗尾根"と表記のある北東方向へ伸びる尾根に来ちゃってます。しかもすでに150mほども下ってるorz 先に下り始めていたはるか下方のヘッドライトの主を呼び止め、この衝撃の事実を伝えました。もしやペコマも寝てたのか~(汗)。東尾根はまだしも、この間違いは気づくのが遅れていたら遭難レベルの悲惨さでした。危なかった。気を取り直してまたまた登り返します。


そんなこんなで、東尾根核心部でセカンドビレイ中に、「もしかしたら24時間オーバーしてワンデイ失敗かな」なんて思っていたのが、いつしか「コレ余裕で日付変わるな」という確信に変わり、そして日付が変わってもまだアラ沢にすらたどり着いておらず、最後には「これ夜が明けるな」になりました(笑)。


沢水すごくおいしかった。ここでまた生き返る。


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FF7の新羅カンパニーを彷彿とさせます。


だがでもしかし、まさか6時過ぎになるとは・・・!しっかり朝じゃん。

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そんなバナな・・・


途中からは、道路標識とか、手帳のシールとか、車とか、雪だるまとか、様々な幻覚が見えたり、ラジオ放送やラップの歌声なんかが聞こえたりしていました。それにしても幻覚ってはじめて見ましたが、あんなにも鮮明に見えるものなんですね。。


帰りの運転は過去最高レベルの危険度でした。2人ともコンビニをみつけるごとに交代。それでも事故寸前。片道270kmを10数ピッチのつるべで、それでも最後の数ピッチはやっとまともな距離を走れるほどに回復してきました。


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ああ、様々な反省の嵐です。
ただ、ミス連発のせいとはいえ、睡眠不足からの30時間行動といういい経験にはなりました。
っていうポジティブシンキンで締めくくりましょう。
リア充アピール(?)ばっかりなんてつまらない、恥を晒してこそのブログ!と思い、書きました(笑)。
氷のリボン、綺麗だったなぁ。


ところで、実に2ヶ月ぶりのブログとなってしまいました。
今年も年始から長い自粛期間に苦しめられた列島ですが、私はずっと自粛していたわけではありません。
仲間と山へ行ったり、スキーをしたりといったアウトドア活動は変わらず続けていました。

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ですが、そういった記録を見て元気や勇気をもらえる人も居れば、「自分は自粛して我慢しているのに」と嫌な思いをされる方もいると思います。私個人的には前者です。でも、様々な価値観や考え方があって当たり前です。
SNSなどでは継続して発信していましたが、上記のようなことも考えると、ブログ記事はしばらく書く気が起こりませんでした。

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私は医師免許を持っており、医療従事者です。ですがもう3年前に前職をやめてフリーとなりました。自分が本当にやりたいことを気兼ねなく追求する生き方をしよう、と決めたからです。だから、コロナウイルスが猛威を振るう世の中となってもそのスタンスは変わりません。もちろん「医療従事者ならコロナ診療に関わるべきだ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。もっともなご意見です。
きっと前職を辞めていなかったら、専門科に関わらず、そうした診療に関わることになっていただろうとも予想しますから、私も一部にはそう思うところもあり、胸を張って「自分の生き方を貫く」と言い切れない部分もあります。
ですが、周囲の方々の意見は人生の参考にはなれど、指針とは違います。
無い脳みそをしぼり、私なりに色々と考えましたが、やはり私は前職を辞めたときに決めた生き方で今後も進んでいこうと思っています。



これからも、テンションうなぎで登っていきます。どうぞよろしくお願いいたします!(^^)

2020/10/3〜4 甲斐駒ケ岳 Aフランケ スーパー赤蜘蛛 〜4度目のトライ備忘録〜

先週末はpecomaとスーパー赤蜘蛛でした。


0_DSCN1075.jpgスーパー赤蜘蛛のハイライトとなる、6〜7ピッチ目、全長70mのクラック。


昨年は10月の台風による登山道崩落で計画していた"赤蜘蛛参詣"を断念したので、今年「待ちに待った」という感じでした。
購入後ずっと山道具部屋の棚に飾ってあった80mロープを開封し、車に積んで、「いざ!」という感じでその日を迎えました。


というほど大げさではないのですが(笑)。


IMG_1279.jpg今年は日本登山医学会公認「甲斐駒ケ岳山岳医療パトロール活動」の一環で、竹宇登山口にて、コロナ感染対策に関する声かけ活動を行っています。
今回は活動終了後、パッキングをして入山!



結論から言うと、レッジトゥレッジでの完登は自分にはまだかなりハードルが高い。
でもチャンスとやる気次第で十分可能性はあるし、達成できたら自分の人生でもなかなかのビッグイベントとなる。
そんな風に感じた、人生4度目のスーパー赤蜘蛛でした。


8_IMG_7949.jpg入山後、8合目の岩小屋に荷物をデポしてAフランケ取り付きまでの下見。途中で見えた北岳!


↓これまでのスーパー赤蜘蛛参詣、その遍歴↓

2013年7月:初スーパー赤蜘蛛→Yosemite遠征前のビッグウォール練習のため、全装備持って登り大テラスビバークというスタイルで。クライミング内容はけっこう破茶滅茶(笑)。

2015年9月:ちゃんと登りに行った2度目のスーパー赤蜘蛛→岩のコンディション悪く実力も足りず、クライミングはやはり散々な内容。私はリードしたどのピッチも満足に登れていない。

2018年10月:ワンデイスーパー赤蜘蛛→Asakoと女子2人でスーパー赤蜘蛛、駐車場から往復20時間22分。つるべで登り、私は奇数ピッチを担当。スーパークラック1P目以外はチームRPというまずまずの内容。次回、レッジトゥレッジでの完登を胸に下山する。


7_IMG_1196.jpg8合目岩小屋から望む北岳。この週末は他にもクライマーパーティが入山しており、しかも知り合いでした(笑)


こうして見ると、2〜3年おきに1度行きたい気持ちが湧いてくるようですね。
たぶん黒戸尾根の長い長いアプローチが、下山後「しばらくいいや」って思わせるのでしょう・・。
思えば、2年前はワンデイだったので荷物が軽くて黒戸は楽だった(下山も走ってたし)。そう考えると、たった1泊しかしないのに重荷に喘ぐのと比べてワンデイも合理的なのかも知れません。


5_GPTempDownload 2翌朝は3時起床、4時前アプローチ開始。2年前、FIXロープが大岩の下敷きになっていてロープを出したところは、新しいFIXが張られていたので、それを使って懸垂出来ました。整備に感謝!


2_IMG_1253.jpg取りつきに5時前には着いてしまって、真っ暗過ぎ。しかし5時半を過ぎてもなかなか明るくならず、複数パーティ居るのもあって、しびれをきらしてヘッデンでスタート。今回はpecomaが荷物係さんを引き受けてくれたのでchippeがオールリードです。


6_GPTempDownload 2ほんの少し、「あわよくばワンプッシュオールRPを・・」という邪念もありました。しかし1P目、核心と思われる部分で躓いて再登ならず!そしてモタモタしているうちにすっかり明るくなりました^^;


3_DSCN1069.jpg9_DSCN1074.jpg期待通りの紅葉と白い岩!まだ手がかじかむような寒さではなく、止まっていると少々肌寒い程度の、クライミングには丁度良い気候でした。



2_GPTempDownload.jpg5ピッチ目、ロープを伸ばしながら、下部ピッチをユマール中のpecomaを見下ろす。まず落ちないようなところはノンビレイで登りました。


1_GPTempDownload.jpgオールリードは疲れたけど、気力体力ともに良いトレーニングになりました。pecoma荷物係さんありがとう!



今回、レッジトゥレッジでの完登はそう簡単なものじゃない、と気付いてしまいました(笑)。6ピッチ目5.11cのクラックをワークして、ムーヴもギアももっと洗練させる必要がありそうです。このピッチ、長さも内容も、この間1撃した錫杖「深夜特急」の核心ピッチより数段難しく感じます。今回はワークする気満々で取り付いたにも関わらず、「雨が降って来た」とか「後続もいるし」とか色んな雑念に豆腐メンタルが負けて、結局ヨレヨレで6ピッチ目を抜けた後、降りて2便目を出す気力は消えてしまいました。


0_DSCN1072.jpg残置ハーケン等も使った上で、持参した2セット+αのギアをほぼ全て使い切った6ピッチ目・・。


8_DSCN1077.jpg6ピッチ目ワークはせず、そのまま7ピッチ目スーパークラックへ。こちらは再登できましたがやはり出だしは悪かった!中間部は内部が3番サイズに広がったハンドクラックで、私にとってはワイドぎみハンド。ランナウトしなければならないこともあってなかなかに消耗します。


IMG_1285.jpgそれにしても似てますね。YosemiteのCrimson Cringeに。この写真は2018年の遠征時のものですが、2018年にはじめてココを登ったとき、あらためて日本のCrimson Cringeへの思いが募ったのを覚えています。


7_DSCN1080.jpg後続パーティをかなり長いことお待たせしてしまって申し訳なかった!


何はともあれ、何となく響きがかっこいいから口走っていた「スーパー赤蜘蛛レッジトゥレッジ」がどういう姿形のモンスターなのか、その全貌や攻略法が自分の中でだいぶ明確になった二日間でした。


6_GPTempDownload.jpg5ピッチ目の途中からはずっと雨が降ったり止んだりの天気となりました。


5_GPTempDownload.jpgでも最後の5.10b/cのスラブは不思議と濡れてなくて良かった!



4_GPTempDownload.jpg久しぶりの終了点岩小屋。


今シーズン2度目はあるのかないのか・・・(笑)。
天気とパートナー次第ですね〜💪


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※今回持参したギア※
カム(キャメとトーテム)#.2×1、#.3〜#.5×2セット、#.75〜#1×3セット、#2×4個、#3×3個、ナッツ1セット(使わず)、OZクイックドロー×5、アルパインクイックドロー(60cm)×8、120cmスリング×4、80mシングルロープ(9.5mm)×1、捨て縄2本(使わず)、アセンダー(フォロー用)

2020/09/15〜16 錫杖岳 注文の多い料理店 & 深夜特急

天気とタイミングがばっちり合って、この二日間は錫杖の乾いた岩を楽しんできました!


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今回のパートナーはEl Cap「フリーライダー」のワンプッシュオールRPという偉業を成し遂げているつよつよガール、Sayakaちゃん!
数年前に知り合って以降、最近はメラメラガールズの集まりでもよく一緒に遊んでもらっています。しかも同い年で気が合う!


ということで、兼ねてから行きたいと思っていた深夜特急を一緒に登りました。


Sayakaちゃんは今回が始めての錫杖岳!まず初日は注文の多い料理店で足慣らしです。


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私はといえば、ものすごく昔に3ピッチ目のハング下で大雨敗退して以来登ったことがなかったので、今回はじめて上まで抜けました。


IMG_0727.jpg最近メラメラガールズで勉強会などしているので、いつも面倒がって流動分散にしてしまうところを固定分散にしてみたり、"shelf"(マスターポイントを段違いにする方法)を使ってみたりなどしました。コードレットを入手したら、クアッドアンカーなども積極的に作っていこうと思います。



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秋晴れで気持ちいい!全ピッチ通して楽しいクライミング。とくに3ピッチ目はとても面白かったです。大人気ルートだけありますね!


IMG_0731.jpg前衛壁の頭へ行くのはまあまあ大変そうだったので、今回は割愛。


IMG_0739.jpgお天気サイコーです!


降りてきてから深夜特急の取り付きを確認しに行きましたが、地形や岩の形状などよーーくトポと照らしあわせるも確信が持てない・・。

私は今年の1月に1ルンゼを登りに来ているのですが、分からない・・。季節が違うと景色が全然違う!って当たり前ですが、冬の方がしっかり白い筋が現れて地形の特徴がつかみやすいです。自分がいかにざっくりとしか地形を把握できていないか、痛感させられました^^; 岩から離れて見ようにも、冬は全部埋まっている薮も濃くて、そう簡単に行動範囲が広がりません。。

最終的に、「たぶんココが1ルンゼ・・?」とあたりをつけたルンゼ状の、さらに左にあるルンゼ状に目星をつけました。
水したたるぶったち草付きルンゼでかなり怪しいけど・・。ひとまず「1ルンゼ」としたルンゼも、地形がなんか違う気するけど・・。
Sayakaちゃんとも相談し、「たぶん、ココで良いよね!」と、ひとまずギアを残置して下りました。


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錫杖沢出合をベースに、初日のお夕飯は鶏味噌鍋!Sayakaちゃん家でとれたおナスは牛脂炒めにしたらめちゃ旨でした〜。ご馳走様でしたっ!!

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次第に夜も更けていき、満点の星空の下で女子トークを炸裂させました。楽しかった!


翌朝は5時起床。前日のお鍋の残りをおうどんにしていただき、6時半ころアプローチ開始しました。


昨日目星をつけたルンゼ状を目指し、少し登りやすそうな右寄りから登って行きますが、明らかに様子がおかしい。
草が生えすぎのワイドと水が流れすぎのぶったちルンゼの間のフェイスを、ボロい残置でエイドして抜けました。


IMG_0752.jpg北沢フェースルートから右上してテラスへ。


そのままもう1ピッチ伸ばし右上のテラスまで抜けてはじめて、「北沢フェースルート」というエイドルートから取り付いてしまったことに気がつきました。昨日「1ルンゼ」としたルンゼ状がまさに深夜特急の取り付きでした^^;


ということで、3ピッチ目から本来のラインに合流しました。気を取り直して快適なクライミング開始です!


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今にも発射しそうなミサイルにプロテクションをとり、乗っかって登っていくSayakaちゃん(笑)。実際、地震の後だし怖いよね・・・。


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そして箱型ハングの右下まで。白壁が覆いかぶさるようにそそり立っていて威圧感あります。そして高度感満点!


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次の5.11aのピッチは私のリード。プロテクションや傾斜、長さなどを考えるとこのグレードで妥当な感じがしました。登りごたえありました。


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終了点は快適なテラス!眺めも最高です。


そしてお次が核心ピッチです!5.11+となっている、傾斜のあるコーナークラックです。ここはせっかくだから2人ともリードしようと話していましたが、昨日の夜のじゃんけんで勝ったSayakaちゃんからOSトライ開始!


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出だしはマイクロナッツしかうけつけません。上部も傾斜があって足も悪くバランシー、ストレニです。Sayakaちゃんはさくっとさらりと超えていきました。流石つよっ!


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1度おりてきてもらい、今度は私のFLトライ!範馬勇次郎ばりに足を開いてふくらはぎがつりそうでした。
最後もヨレヨレで落ちそうになりながら、どうにかこうにか完登!ふ〜。


IMG_0742.jpg三角テラスからフォローのSayakaちゃんを見下ろす。高度感抜群!



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やったねー!焼岳と!


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ナイスOS!槍穂と!!


グレード感は、二人とも「5.11cくらいかね?」と同意見でした。


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三角テラスから見下ろすと1ルンゼ全体が見渡せ、やっと概念がよく分かりました。。


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ラストはLittle Wingと合流するピッチです。「傾斜の強いスッキリとしたフェイスに走るクラックを繋げて登る、非常におもしろいピッチ(ロクスノChronicleの今井さんの記事より)」という記述とちょっと合わない気もしましたが、ラインは間違ってないハズ。。


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登攀終了〜!核心ピッチを二人とも登れたのは嬉しいね!お疲れさまでした〜〜!


懸垂も大きな問題なくスムーズに降りられました。

IMG_0743.jpg途中のアンカーにアメリカンデストライアングルがあったりしたので少し整理してきました。


IMG_0744.jpg本来の深夜特急1、2ピッチ目を懸垂しながら見ましたが、コチラは乾いていて快適そうなワイドでした。5番サイズもあったら安心そうでした。



終日ちょうどよい気候で、雨にも降られず、登攀も女子トークも存分に満喫できた二日間でした!
マルチは今年の6月ぶりでしたが、やはり気持ちが良いものです。
クライミングして高いところに達して、良い景色を見る!最高の贅沢ですね^^
Sayakaちゃんありがとう!また遊んでね〜。


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※今回持参したギア(深夜特急)※
カム#4×1、#.1〜#3×2セット、マイクロナッツと小さいサイズのナッツを数個、スポート用ヌンチャク×2、アルパインクイックドロー(60cm)×3、60cmスリング×2、120cmスリング×3、60mシングルロープ×1、60mダブルロープ×1(バックロープ)、捨て縄4本

2020/09/05〜06 奥穂南稜 〜久しぶりの3000mでゆったり休日〜

この週末は、久々に乾いた岩と高所の絶景を満喫したくて穂高に行って来ました。
もともと滝谷とかを予定していたのですが、今シーズンの群発地震の影響を思うと行くに行かれず、かつ高い所に泊まりたい欲も出てきて、1泊で奥穂高岳南稜という何だかゆるふわな週末になりました。
ま、たまにはいっか!

そしてたまには公共交通機関の旅を・・ということで、夜行バスで上高地へ。

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朝5時半ころ上高地着!上高地はホントに久しぶり。これが私の登山人生の原風景です。


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河童橋を渡って岳沢を登ります。途中岳沢小屋に立ち寄って給水。登山道を外れ、そのままガレた沢を詰めていきます。"トリコニー"と呼ばれる南稜の三つのコブがよく見えます。


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雪渓が恐ろしげに口を開けてます。左岸のガレを詰めあがり、途中で軽アイゼンをつけて雪渓の上へ。アプローチシューズだったので軽アイゼンがないと歩きにくかったと思います。


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途中で右岸へ渡り、ルンゼ取り付きへ。岳沢小屋から30分くらいでした。


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久しぶりの乾いた岩気持ちいい!といいながら、快適なIII級程度の硬い岩を登っていきます。


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結構傾斜があるのでグングン高度が上がり、景色もどんどん広がっていきます。最近谷底を這いまわって低山に登ってばかりだったのもあって気分爽快!これが見たかったんだ!


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そのままルンゼを右上ぎみに詰めていくと、なんだか怪しい雰囲気が漂ってきて、、


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案の定、こんなことになったりしながら、


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敢えて踏み跡を外して、ハングして露出度満点のクライミング(私が登ったラインは5.8程度のワイド)をしたりしていると、


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"モノリス"?と思われるピナクルが見えてきました。


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ここら辺から藪は薄くなってきて、岩登り主体になります。


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ポイントでIV級程度の難しさのところもありますが、お助け残置があったり。


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南稜を見下ろす。背後に焼岳と乗鞍も。素晴らしい高度感!


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岩だらけの素晴らしい山岳風景!


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4〜5mの懸垂下降が必要というところは悪くてクライムダウン出来ないけど、その右のリッジを辿っていくとクライムダウンできるところがありました。


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3つあるトリコニーはどれがどれかわからないままに通過。トリコニー地帯を過ぎると南稜上部はほぼ歩きで、酸素が薄くなってきたのを感じつつガシガシ登って心拍数を上げていきます。


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ほどなくして吊り尾根が近づいてきて、我々の存在に気づいた登山者との「やっほー!」合戦(笑)。


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で、登山道に合流。南稜取り付きから3時間20分ほどでした。


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奥穂高岳の初登ラインから無事登頂!と思ったけど、ペコマは私の写真撮影だけして登頂するの忘れちゃった。残念!


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山頂にザックを置いて、そのまま空身でジャンダルム往復。何気にまだ2度目のジャン頂上。気持ちが良すぎて、寝転がったらすぐ寝られました。しばらくまどろんで、そのままビバークする勢いでしたがペコマに促されて渋々起きました。


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それにしても、一般道(じゃないって書いてあるけど)にしてはすごい道ですよね。西穂から縦走してきたパーティも沢山いました。


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で、ずっと憧れていた穂高岳山荘に今日は泊まります!!


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テントだったけど、このご時世なので事前予約しました。


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水場がカワイイ!ハーケンの使い方がお洒落。


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さぁ、待ちに待ったぷしゅの時間です。ちなみにビールは冷やせないし、買えるから歩荷しませんでした!ゆるふわだなぁ。


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明るいうちから飲んだくれていると、雨雲が晴れて前穂に虹がかかりました。


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ここには山が好きな人しかいないんだね。ってことに感じ入りながら、更に飲み続けました。飲みすぎたと思います。つい、幸せで。


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翌朝。憧れのテンバからの朝焼けです。


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奥穂も燃え始めました。


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当初、前穂と明神の間あたりで寝て、明神経由で下山する予定でしたが、雷とか怖くて穂高岳山荘にしました。で、ここからまた奥穂に登って岳沢を降りるのは明らかに面倒なので、涸沢へ降りることにしました。前穂北尾根も燃えてます。


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映画"涸沢で朝食を"のワンシーン。高所に弱いペコマが朝テンバで「気持ち悪い」って言ってたので、朝ごはんは少し高度を下げてから食べることにしました。食パン専門店の食パンを焼いて食べました。


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上高地には11時前に到着。ペコマがお蕎麦を食べたいと言ったのでカフェに入りました。下山途中、小梨平付近で大きめの岩魚ちゃん見ました。



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このプリンはすごく美味しかったけど高かったです。楽しい週末でした!


プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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