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2018 秋 Yosemiteツアー 〜旅のTips〜最後の三日〜

今回4度目のヨセミテですが、備忘録的に、そしてはじめて行く方にも分かりやすい様に改めてまとめてみます。

【Yosemiteでの生活Tips―交通、キャンプ、買い出しなどなど】

1. 交通

・空港:今回ははじめてFresno Yosemite Int. Airport(FAT)を利用しました。

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空港は綺麗で、メタセコイヤの森もある。

San Francisco空港(SFO)を利用する方も多いと思います(私も3回目まではそうでした)が、渋滞がなくても車で4時間はかかるので、特に帰りの運転がいつも核心です。でもFresnoからならほぼ1本道で約2時間。渋滞もほとんど無いのでとても快適です。
アメリカン、ユナイテッド、デルタなどが乗り入れています。
国内乗り継ぎにはなりますが、それを加味しても断然楽でしょう。
今回はアメリカン航空でLos Angels乗り継ぎ。乗り継ぎ時間込みで15 時間でした。

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アメリカン、安いけどアイスとか出てきたし、日本語吹き替えの映画メニューも豊富だし、全体的に満足でした。

田舎の空港ですが(だからなのか)、とても清潔で、がら空きで、小さいので各設備がコンパクトにまとまっていてとても利用しやすいです。たぶん海外旅行初心者にはもってこいです(むしろLAX乗り継ぎが核心になるか?)。レンタカーのカウンターも並ぶ必要なし、スタッフも感じ良かったです。

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また、帰りは早朝便だったので、前夜に空港入りして1ビバークしたのですが、上記の理由から超快適に過ごせました。チャージステーションも貸切状態でした(笑)。

まあ、空港が空いていたのは、とりもなおさず。Camp4ががら空きになるほどにクライマー以外の観光客がYosemiteから居なくなる時期だったというのも大きいでしょう。

・車:レンタカーが断然便利です。アメリカではガソリンスタンドで日本のクレジットカード(正確には、アメリカ国内の住所登録のないカード)が使えません。日中に有人のスタンドで給油しておくのが一番簡単でしょう。Valley内の移動は、朝7時から22時まで無料シャトルバスが運行しているのでこれも相当使えます。

2. キャンプ

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キャンプは楽しいな〜。

・Camp4の受付:これまでは、初日の夜はHalf Dome Village(旧Curry Village)に1泊。翌朝超早起きしてキャンプサイトをとるためCamp4前のキオスクに並ぶという、過酷で半日潰れる作業を毎回やっていました。
でも今年はラッキーなことに10月から”Self-register”、いうなれば”無法地帯(笑)”になっていました。自分であいているサイトを確保したら、キオスクに備え付けの封筒に必要事項を記入してお金を入れ投函するだけ。24時間いつでもOK、並ばなくていいのが最高!

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だけど10月中旬まではCamp4がぱんぱんだったので、この「サイトを探す」という作業が結構ハイレベルでした。
まずFood Rocker(通称クマボックス)を片っ端から開けて空いているところを探す。でもどこも空いていないから、今度はテントをたたんでいる人を見つけて即交渉に行く。でも大抵「次は友達が使うんだよ〜」とか言われて断られる。朝のお茶してる人に「どっかあいてるとこ知らない?」って聞いても「いやー、分かんないけどたぶんいっぱいだよ」って言われ。最終的にはとりあえず適当にテントを張って、”ちょっとこのクマボックスの隅っこだけ貸してくれない?”とシェアを交渉する感じになります。
10月後半にもなるとキャンパーがほとんど居なくなるので、サイトもがらがらになり、楽勝です。
ちなみにこのself regi方式になるのは例年11月からだそうで、今年は何故か早かったみたいですね。

・Camp4のクマボックス:10月の終わりに新しくなりました!

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before→after


綺麗になってギーギーいわなくなったし、ロック方式も変わって指を挟みそうになることがなくなりました。かつ背が高くなったので奥まで見渡せ、出し入れ楽チン。とっても使いやすくなりました。

・焚き火:Fire circleがあるのでガンガンやりましょう。これがなきゃキャンプの醍醐味が半減です。しかも焚き火好きな隣人がいると全て任せっきりで火にあやかれます。小川山じゃそうはいかないよね。

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うちのサイトは主に赤いジャンパーの彼のお陰で朝からこのクオリティでした。朝は冷えるので本当に有り難かった(笑)。

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彼が来てからというもの、全て彼任せとなった。彼は小枝や段ボールなど必要としない。最初から巨大な薪だけを組み上げて、そこへ謎の液体をぴゅーっとふりかけ一瞬でどっかーん!とやるのだ。私の出る幕は無いと悟ってからは、肉だけスタンバイして「早く焼きたいな〜、焚き火まだかな〜」って待っていた。

国立公園なのでもちろん薪は(というか何も)拾っちゃいけません。Valley内のスーパーで$9で買えます。でも隣人が勝手に拾ってきて勝手に燃やしてたりはまぁします。

・シャワー:レスト日はシャワーを浴びます。Half Dome Villageにシャワーがあります。一応、有料です。それほど混んでいないし、ボディソープ、シャンプー完備。電源もとれるので髪が長い人はドライヤー持っていくと良いです。

・洗濯:Housekeeping Campにランドリーがあります。夜遅くまでやっています。この時期Housekeeing自体はシーズンオフで泊まれませんが、ランドリーだけがあいています。10月中は、洗濯1回$1.5、乾燥機10分25セントでした。それが11月になったらどちらも倍の値段に変わってました!だからやめました(笑)。

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1ドル札のみ使用可能な両替機があって、25セントコインにかえて使います。


3. 買い出し

・アウトドアショップ:Fresnoの街にREIがあります。ガス缶、ホワイトガソリン、ギア、ウエアなど大体のものはここで揃います。クリフバーなどの行動食類は高いのでスーパーで買いましょう。Parkから一番近いOakhurstという小さな街にも小さなマウンテンショップがありますが、品揃えはあまり良くありませんでした。
Park内、Half Dome Villageにもマウンテンショップがあります。こちらも大抵のものは揃いますが、消耗品など観光地価格になります。

・スーパー:Fresnoには格安スーパーWalmartがあります。

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Walmartはどの店舗も内装(トイレの位置とか)、商品の配置が全く同じなので分かりやすい。

生鮮食品も日用品も安いです。ちなみにWalmartのオリジナルブランド”Great Value”は全部が全部安かろう悪かろうってわけじゃなく、激安で質のいいものもあります。

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白パンとかピーナツバターとか美味しい。

でもGVのチーズは、"チーズのようでチーズじゃないもの"なので、Protein 0gです。など、気をつけたほうがいいものもあります。

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オレオの種類が豊富すぎ!

VonsはSafe Wayと同じ系列のスーパーです。生鮮食品売り場の肉や魚が特にオススメです。会員価格でお買い物できる"Safe Wayカード"は店員に言えば何の手続きもナシに即「ハイ」ってくれるので、絶対Getしましょう。

また、Oakhurstの街には訳あり商品取り扱いスーパーがあり、野菜などが更に安く手に入ります。
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レジが終わると店員さんが「あなたは今日(ここで買い物したことで)○×ドル得したわよ!」って言う謎のシステムあり。

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朝はパンかトルティーヤ。たまにベーグルとかマフィンも♪

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夜の主食はパスタとコメを隔日で。かけるだけのトマトソースが、夜遅くなった日など便利だった。

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レスト日の朝限定パンケーキ。ちなみに、写真左端に写りこんでいるが、包丁を買ってはいけない。なぜなら「北米には切れる包丁は売っていない」が大原則だからだ。分かってたのにまたやっちゃったよ・・

街での買い出しは上記の通りですが、日々の買い出しはValleyのYosemite Villageにあるスーパーでした。何でもあります。

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ところで、アメリカはお肉が安くて美味しいです。分厚くて巨大で調理するのが躊躇われるかも知れませんが、スライスして焼いてもいいと思います(焼き過ぎは禁物)。是非ご賞味ください!

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アイスはカロリーがやばいから登れた日だけ!

・薬屋さん:今回、思った以上にキズパワーパッドや絆創膏類を消費し、持って行ったものは使い切ってしまったので現地調達する必要がありました。さらに肋骨まで折れて痛み止めも全然足りなくなったので薬屋さんに行ってみました。品揃えは確かにスゴイですが、結論から言うとWalmartなどのスーパーでも十分足りるしその方が安いです。ちなみにPark内のスーパーには絆創膏微妙なのしかありませんでした。

4. トポ
クライミングトポは多数あります。SuperTopoの"Yosemite Valley Free Climbs"が一番スタンダードでしょうか。ただ、Separate Realityとか、載っていないエリア/ルートもあります。Big Wallのルートも載っていません。

一番テンションが上がって、Big Wall含め人気ルートがまとまっているのは、コレでしょう!
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この10月に新版が発売されました。カラー刷りで写真も綺麗でモチ鰻です!

この他に、SuperTopoのBig Wallルート集"Yosemite Big Walls"やBoulderのトポもあります。

5. その他
なんかあるかな?こんなもんか。

それでは本編(?)をお楽しみください。

【最後の三日】
11/5の朝、目が覚めた。ゆっくりと起き上がってみた。深呼吸をしてみる。肋骨はパコパコいっていない!

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ヨーグルトが美味しくて、Valleyのスーパーにあるやつは全種類制覇した。

Sさんは、最後は私が行きたいエリアに行ってくれるという!何から何まで有難い!!
遠慮せず、Nabisco Wall、Crimson Cringe、Tales of Powerをあげた。

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Cookie Cliff、"Nabisco Wall"遠景。

Nabisco Wall(計3ピッチ)は1P目のWaverly Wafer(5.11a)、2P目のButterballs(5.11c)が宿題になっている。3P目のButterfingers(5.11a)は、前回SさんのあとのFLトライで登れていたが、ボルダリーなフェイス系。対してWaverly WaferはOWからのfingerセクションが核心っぽいし、Butterballsは真っ向勝負のfingerだ。どちらも日本じゃなかなか出来ないクライミングだからまたやりたい。特にButterballsは、掴みかけた気がするフィンガージャムの技術をもう一度触って復習したい。

Crimson Cringeは恥ずかしながらもともと名前すら知らなかったルートだが、前回Sさんのトライを見ていて登りたくなった。スーパークラックが日本のヨセミテと言われるゆえんになったルートということで、やはり登っておきたい。

そしてTales of Powerは2年前から憧れていたルートだった。だが、今回1度行って間近でルートを見た時、想像以上に圧倒された。

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Separate Reality を通り過ぎてTalesの下降点に立った時、奈落の底へ落ちるような気がした。
実際、かなりかぶっている上、とりつきのテラスも延々スラブ状に傾斜している。そのためクラックに中間支点をとりながら下降しないと取り付きには降りられない。はじめはそうとは知らず壁を蹴りながら降りたが、結局取り付きには触れることも出来なかった。その後登り返してまた振って・・など散々苦労して、登る前に力を使い果たした。

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Tales取り付きからロストラムがよく見える。

ロケーションも、クラックの美しさも、かぶり具合も威圧的ですごい。これは絶対に登って帰りたいルートだった。

でも、私の頭の中にはすでに帰国後のことも浮かんでいた。Yosemiteで玉砕して日本で使い物にならないんじゃダメだ。
だから、肋骨を悪化させないためにも「1日2便まで」と決めた。それ以上はやらない。登れなかったら実力が足りなかったと思って来年以降またやればいい。

また、とりつく順番もたぶん重要だった。どうやらワイドムーブとロープ操作が一番肋骨に来るみたいだった。それで、ワイドとユマールがどちらも出て来るTales of Powerは最終日、と決めた。

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今回の大きな収穫は、「フィンガーって楽しい」「ワイドって楽しい」と思えるようになったこと!

結論からいうと、どのルートもその日1便目で登れた。
この頃になると私たちの行動パターンもこなれていて、暑い時間に真っ向勝負をかけるのはやめた。早朝と14時半過ぎからのトライに限定して、お昼はCamp4で優雅に過ごすのだ。その作戦も功を奏した。また、汁手の私の感触では、夕方よりも朝一の方が良かった。たとえタイムアップでルートに陽が当たり出しても、岩自体がまだ冷たいので、陽が陰ってすぐの午後よりもだいぶ良い感じだった。

とくにここ数年で一番出し切ったトライになったのがCrimson Cringeだった。かなり早い時間から陽が当たり始めるルートなので、トライ中はずっと照りつけられていた。かつ、前回のTRトライは痛すぎて途中から各駅停車エイドだった。ムーヴもプロテクションもほとんど覚えていない。

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"テーピングはズレるもの"だと思って諦めるしかない。

核心であるはじめのフィンガーを超えたあとも、その後のハンドセクションは長いだけでなく、少しかぶっているしレストポイントもない。ぬめってめくれあがったテーピングはジャムの邪魔するし。ランナウトせざるを得ないセクションながら、もういつ落ちてもおかしくない必死さ。重心が下がり、スメアした左足が滑り、ハンドがずり落ち、激しく肩で息をする。

そしてそこを抜けても、まだ終わりじゃない。最後のフレーク部分はムーヴを起こすのすらはじめてだ。
Sさんの、「レイバック」「ニーバーきめたらもう落ちる気がしない」という言葉を信じて突っ込むが、すでに前腕にも太ももにもふくらはぎにも体幹にも余力というものが残っていない。ニーバーががっつりきまっても落ちそう。レイバックも超全力。
身体張力が使えない。フリクションというフリクションを駆使して留まる。
きっとものすごく滑稽にもがき苦しんでいたと思う(笑)。

だから最後のノブを掴んだ瞬間、「やった!やった!」と叫んだ。

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せっかく撮ってもらったのに自分が小さ過ぎて見えない・・(笑)。


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Tales of Powerは、下半分はアプローチ。上半分のシンハンドが核心なのだが・・・、うん。たぶん「サイズ問題」だと思う。

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中間のテラスでテーピングを剥がす作戦が良かった。前日のCrimsonの傷もあったので、どちらにせよ1便が限界だったかも。

こうしてYosemiteの3週間半は終わった。

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このピザ美味しかったなー!

最終日も真っ暗になるまで登った後、Half Dome Villageで、このツアー最初で最後のピザを食べ、シャワーを浴びた。
Parkを出る前、Camp4へ寄り、まだあと数週間滞在する仲間たちに別れを告げた。


いつものように走る道すがら見えたEl Capの黒い影には、いつものように無数のヘッドライトの星たちがきらきらと瞬いていた。

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<完>

2018/11/2〜11/4 John Muir Trail Section Hike 〜Silver Lakes-Yosemite Valley〜 Day2-3

【Donohue Passを超えて】
11/3、4時半起床。少し寒いが、ぐっすり眠れて頭はすっきりとしている。心配された高所障害も全く出ていないようだった。
起き上がり、シュラフに入ったままの状態でまずバーナーに火をつけた。座ったまま微睡んでいるとテント内はすぐに温まった。シュラフを出る決心がつき、テントを出てBear Canisterを取りに行く。風はなく、辺りは静まり返っていた。

テントに戻ると今度は湯を沸かす。ひとりだと全てがマイペースで良いので気楽だ。朝ごはんはスーパーで買ったドライマッシュポテト。いくつもフレーバーがあって、お湯だけでマッシュポテトになる。安いし軽い。カロリーは1袋で約440kcalと、山の朝食にちょうどいい。

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でも作り方は大切。まず器に熱湯を注ぎ、そこへかきまぜながら少しずつ粉を入れていく。そうすることでしっとりとした美味しいマッシュポテトになるのだが、この逆順、つまり粉にお湯をかけるやり方では大抵うまくいかない。
しかし、朝から芋だけで440kcalを摂取するのは意外と大変だった。
この日は1袋分作ってしまったのに、食べきれず半分残した。そのせいで軽くなるはずの荷物がむしろ少し重くなったかも知れない。
ゆっくり準備し、テントを出たのは6時。それでもまだ辺りは真っ暗だった。

ここのところどんどん日が短くなっていて、明るくなる時刻は6時半を過ぎている。
テントを撤収していると、不意に人の声が聞こえた。同時に、揺れるヘッドライトの光がどんどんと近づいてくるようだった。
真っ暗なので顔は見えないが、どうやら15Lほどの小型ザックを背負ったトレラン風の2人組だった。スピードを保ったままの彼らと挨拶を交わす。一体どこから来て、どこまで行くのだろう。テント泊装備は持っていないように見えた。2人はそのまま足早に通り過ぎて行った。


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6時半過ぎ、私も出発した。東の空は今まさに昇らんとする太陽の陽で赤く燃え上がっていた。


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日がすっかり昇った頃にDonohue Passを通過した。ここから先はYosemite National Park内となる。

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稜線上には万年雪の残る高峰の姿が。

今日の行程は基本的に下りだ。当初の予定ではTuolumne Meadowsの手前で幕営するつもりだった。でも昨日予定よりだいぶ歩いたせいで、それだと今日の行程がかなり短くなってしまう。しかし問題なのは、「Tuolumne Meadowsの半径4マイル以内ではキャンプ禁止」というルール。Tuolumneの4マイル圏内に入ってしまったら最後、Meadows内の有料キャンプ場に泊まるか、通過して更に4マイル以上離れた、翌々日のキャンプ予定地まで行くしかない。でも昨日の感じなら、それも十分可能そうだ。

それに、昨日は念のため水を3リットル担いでいた。昨日1日歩いてみて、大体アプリの示す通りに水がとれることが分かったから、今日は思い切って1リットルに減らしている。
とりあえず行けるところまで行ってみるとしよう。

【休日で賑わうTuolumne Meadows】

標高約3370mのDonohue PassからTuolumne Meadowsまでは標高差約900mの下りになる。Tuolumneを通過することを考えると今日の行程は20マイル(32km)で、昨日の倍になる。得意な下りはスピードの稼ぎどころ、快適なトレイルを駆け下った。

岩場をひとしきり下りきって谷底へ。そこは、さながら尾瀬だった。

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尾瀬の歌を口ずさむ。


氷河が削り出した谷は、水流が削り出す日本のそれと違って広大で平らになる。
こんな谷底の大平原も国内では見られない珍しい光景だ。

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1時間に1回くらいは、ちょうどいい段差を見つけて座り、数十秒ザックの負荷を抜く。2時間に1回くらいはザックを下ろして補給する。そんな感じでマイペースに歩き続ける。この”1時間に1回くらいの数十秒レスト”がなかなか効率的で、大したタイムロスにならない割にその後のペースは上がる。こういうちょっとしたレストやウエアの着脱などは、誰かと歩いているときは「好きな時にいつでも」というわけにはいかず、時としてそれがスピードダウンに繋がる場面もある。ひとりの気楽さはこうした面でもプラスに働くところがある。

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景色に感動しながら楽しく歩いていたら、お昼頃にはTuolumne Meadowsに到着した。朝すれ違って以降人には会わなかったが、このエリアへ近づくにつれ急に人気が増した。土曜日だからか、観光客やトレッカーが沢山いた。人里に降りてきた、という気分だった。

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次々あらわれる巨岩。

はじめてクライミングでヨセミテを訪れた6年前、1週間滞在して以来のTuolumneは何だか懐かしかった。一番印象に残っているのはFair View Domeだ。Regular Routeという5.9、12ピッチの素晴らしいマルチがある。だがこの道中でその姿を見定めることはついにかなわなかった。


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快活そうな老夫婦が、大きいザックに興味を持って話しかけてくれる。
“2日前までValleyでクライミングしてたんだけど、今はBackpackingしてるの!”
簡単に説明したらそうなった。そして、ただそれだけのことなんだと気が付いた。
怪我をしたからとか、そんな理由は些細なことで、どうでもいいことだった。

【Cathedral Lakes、絶景のテント場へ】
Meadowsを無事早い時間に通過、本日の目的地であるCathedral Lakesまであと4.4mileの標識が現れた。時刻は13時過ぎ。十分明るいうちに着けるだろう。
最後の3マイルはまた登りだ。といっても至極緩やか。ここら辺でやっと、持参した1リットルの水を飲みきった。最後の樹林帯では、アプリで「水場」と表示されているところでも干上がっているポイントがあった。
Cathedral Lakesから3.5kmのポイントで、豊富な水流にあたる。テン場から一番近い水場はまだ上にあるのだが、ここで念のためまた1リットルを補給した。


多くのトレッカーとすれ違い、会話をした。大荷物を見て”JMTかい?Niceだね!”と言う人や、”もしかしてLakesで泊まるの?”と尋ねる人。その誰もが、”Cathedral Lakesはamazingだったよ!本当に!きっとsuper gorgeousな夜になるね!”と口を揃える。やたらと期待を持たせてくれるじゃないか・・。早く行ってゆっくりしたい!と思うと、歩速は自然に早まった。

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特徴的な形のCathedral Peaksがあらわれはじめる。

16時ちょっと前、テン場から約1kmのところにある最終水場にたどり着いた。しかし・・ここで不安が的中。沢は枯れていた。沢床は比較的面積がありしっかりとした水流だったはずだが、水音は皆無、湿り気すらない。
しかしさっきの水場までは往復5kmで、今から行くには遠すぎる。仕方なく、トレイルを外れて少し沢筋を遡ってみた。すると、数メートル上流に氷を発見した。

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テン場は湖のほとりの様だが、地図にもアプリにも水場マークはない。ここで水を作って持って行くのが無難だろう。ザックを下ろし、水作りをはじめた。

ナイフで氷を割って、呼び水を入れたウインドバーナーで温める。ここで濾過式浄水器が活躍した。松の葉や砂だらけの氷が溶けた水を、溶かしてすぐに浄水器に詰める。浄水器があるから煮沸する必要がなく、ガスの節約になる。そして浄水器の口からナルゲンボトルへ移し替える。これにより、人力で取り除くのはほぼ不可能に等しい大量の葉や砂も綺麗さっぱり除去することが出来た。

水2リットルを作るのに20分とかからなかった。合計3リットルの水を担いでまた歩き始めた。最後の登りだ。
この時間になると、もうあたりに人の気配はなかった。

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着いた。ここが今日のテン場だ。またしても一人っきり。
静かな湖の向こうで、白い花崗岩の大岩峰が悠々と虚空を支配している。
今夜もここら一帯、ざっと5km四方くらいの贅沢な空間を独り占めだ!


【湖と針峰、夕日にコーヒー】
17時、行動終了。本日は行動時間10時間半、移動距離は32kmだ。靴の中が蒸れてかかとの皮膚が少し痛い。靴下はもう少し薄手のものでも良かったかも知れない。

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湖のほとりにテントを張った。本来、JMTには”キャンプ指定地”なるものがあって、そこ以外の場所でテン泊してはいけない。だが地図(縮尺が大きすぎる)に示されている位置はざっくりだし、実際に囲いや看板があるわけでもない。シーズンオフで人が居ないのもあって細かい位置は分からない。適当に、あまり環境に影響がなさそうな場所を独断で選定した。

ここも標高約2900mと高めではあるが、昨日のテン場よりは暖かいし風もなかった。だーれも居ないから、大空の下で伸び伸びと着替えをする。楽だしとても気持ちが良い。

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防寒仕様にすっかり着替えたら、テントの外にマットを敷いてコーヒーのための湯を沸かした。食べきれなかった今日分の行動食をつまみながらCathedral Peaksを見上げる。湖畔には小鳥がつがいで居て、熱心にずっと地面をつついていた。

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熱々のコーヒーを舌の上で転がしながら、1日が終わりを告げる刻、その空色の変化を楽しむ。地平線に近づいた太陽光が複雑に屈折して生じたその橙色が飛行機雲を深く染め上げてゆく。刻々と変化するその様子をただ見つめるだけの時間。感覚が研ぎ澄まされ、頭は冴え渡る。でも心は穏やかだ。Wifiルーターを持ってきたものの、ずっと圏外。それでいい。こんな景色を見せてくれようとして、岩のことばかり考えていた私に、何らかの力が働いた。そう信じ込んでしまうほどに、この景色とこの時間は得難いものだった。


【Valleyへ】
翌朝、11/4は4時に起きた。昨日より30分早く起きて、30分早く出るつもりだった。昨日のペースで歩ければ、昼過ぎにはCamp4に戻れる。そうして5日、6日、7日と三日間をクライミングにあてられる。心なしか肋骨のパコつきも少なくなっているようだった。

今朝は昨日ほど寒くなかったからか、起きてすぐテントを出られた。朝一でもよおして、トイレ穴を掘ろうとスコップを地面に突き立てる。地面は凍っており、植物の根も張っていて硬かった。次の瞬間、まだ一打目だというのに、ぼきっという音をたててスコップはあっけなく折れた。

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やっぱりプラスチックじゃ駄目らしい。ま、$2だったし、いっか。
その後は、折れたスコップの先と石とを上手く使って何とか用事を済ませた。

今朝はマッシュポテトも随分うまくいった。あらかじめ熱湯を注いだ器に、粉を少しずつ振り入れながらかきまぜる。やはり半分くらいを残して丁度いい量のマッシュポテトが出来上がった。テント撤収をすませると、昨日より30分以上早く出発できそうだった。
しかし、何故だろう。すでに空が白み始めている。時刻はまだ5時半で、昨日は真っ暗だったはずだ。

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だがこの時は、11月第1週日曜日の午前2時に人知れずサマータイムが終わり、スマホの時計も自動的に1時間ずれるという事実を全く知らなかった。
そして日に日に日の出時刻が遅くなっているのも相まって違和感の域を超えず、気づけば朝焼けの美しさの前にすぐさま忘れてしまった。

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今日の行程は、Happy Islesまで17.5マイル。はじめに標高差150mほどのCathedral Passまでの登りがあり、一旦下ったあとに再度同じくらいの高度を登り返す。その後はYosemite Valleyの谷底まで標高差1600mを一気に下って行く。

Valleyが近づくにつれて、景観はこれまで見慣れていたものへと変わっていった。大きな山火事跡を通過すると、Half Domeの後ろ姿が見え始めた。

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此処まで来ると、もう冒険は終わったという感じがした。そうなると「のんびりひとり旅」は、ただの「下山作業」になった。ペースはどんどん早くなり、ザックを下ろす回数も意識的に少なくした。周りにトレッカーが現れ始めたらもう、自分のペースでは歩けない。今日何時までに着ければ、あれをして、これをして・・と雑念だらけになった。
そんな調子だから、最後のMist Trailの下りは一番キツかった。数日前も一度ぐるっと歩いており、知っている道だというのに矢鱈と長く感じられた。

Happy Islesのバス停が見えると、ほどなくしてバスがやってきた。空身の観光客たちが続々駆け寄って行く。何故かつられて私も走ってしまった。

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バスは休日を楽しむ人たちで大にぎわいだった。

【スイートホームに帰還】
Camp4へ戻ると、ボルダーをしていたGachioくんたちに会った。Silver Lakeで別れてからたった3日しか経っていないとは何とも不思議な感じだった。
その後、夕方になって他のクライマーたちもSさんもCamp4に戻ってきた。
みなこの3日間も変わらずクライマーで居て、クライミングをしていたんだな。当たり前のことがどれも新鮮に感じられる。
ツアーは泣いても笑っても、あと3日。たとえ明日の朝、まだ肋骨がパコパコしていても、私はもうくよくよしたりしないだろう。

今回、John Muir Trailへ行く決断をしたのはとても良かったと思う。小さなことがどうでも良くなったし、怪我をするたびに訪れるメンタルとの戦いに勝利するためのヒントを得られた気がする。そしてTuru-Hikeをしてみたいという気持ちもより一層強くなった。更に、この体験が私にとって特別なものになったのは、「一人だった」ということにあるだろう。シーズンオフで”solitude”を満喫出来たことが、自然との一体感をより強くしたと思われる。
ありがとう、ビッグアメリカの大自然。残り3日間も精一杯楽しむよ!

<JMT編完。「最後の三日〜Yosemiteまとめ」につづく>

2018/11/2〜11/4 John Muir Trail Section Hike 〜Silver Lakes-Yosemite Valley〜 Day1

【パコつく肋骨】
10/31、目が覚めた。肋骨は・・まだぱこんぱこん言ってたorz
患部にタオルをあてて、テーピングを貼り直す。すでにテープかぶれが出来ていてヒリヒリした。
起き上がる動作、背中側にあるものを取ろうと手を伸ばす動作、立ち上がる時のプッシュ動作、全部痛かった。だめだこりゃ。

Sさんには、改めて、クライミング自体無理っぽいこと、しっかり数日休むことを告げた。
幸い、日本人クライマーや同じキャンプサイトで毎日顔を合わせている他のクライマーなど、Sさんのパートナー探しは問題なかった。
Salatheのみならず、Free Riderも行けなくなったのは本当に申し訳なかった。でもSさんはむしろすごく気遣ってくれて、それがまた申し訳なかった。

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Valleyに新しくオープンしたスタバへ行った。でも普通のスタバで、とくに面白いものはなかった。


私が本格的にレストすることになったので、そうした周りのひとたちにも肋骨骨折のことを話した。
これまでも特に隠していたわけではなかったが、話す必要もないので黙っていた。でも、みんなに話したらなんだかすっきりした。みんな優しく励ましてくれた。クライマーなら誰しも何かしらの怪我とか経験していて、お互い辛い気持ちは共有できるものだ。
ひとりじゃない、と思った。

残りの日程を可能な限り有意義に過ごすこと、それがこれからの最大目標になった。
よし、そのためにどうするかをじっくり考えよう。


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ひとりMist Trailを歩きながら、これからどうしようか、考えた。こういう1day hikeをしてValley内でダラダラ過ごすのは楽しくなさそうだった。どうせならまとまった時間がないと出来ない、もっとワクワクするようなことがしたかった。


【憧れのJMT】
Sさんは「John Muirとか、もし行くならスタート地点まで車で送って行くことも出来るよ」と言ってくれた。そうか・・憧れのJohn Muir Trail。それなら失意のレストもさぞかし充実するだろう。

pecomaはLINEで「ヨセミテにいるんだからメソメソするなんてずるいよ!」と、pecomaらしい激励の言葉をくれた。
同じく大学時代からの山仲間、変態ソロクライマーのRickyにも相談してみた。いちおう私より真面目に医者やってる整形外科医だし。
Ricky医師は、
「介達外力(直接ぶつけたのではない、間接的な力)による肋骨骨折なら、痛みの我慢できる範囲内でクライミングしても悪化はしないと思うよ」とアドバイスをくれた。

Astromanのあと悪化したけど・・っていうのは取り敢えず置いといて、この専門家のアドバイスは大きかった。
つまり、自分なりの解釈はこうだ。
「肋骨がパコパコいわないAstroman以前の状態に戻ったら、クライミングを再開しても問題ない」
それなら・・!と希望が湧いてきた。
残り滞在日数は、今日を入れてあと8日だ。
昨日はクライミングしちゃったから、今日から数えて丸5日レストしたとして、それでもし状態がよくなったら。
残り3日はまたクライミングが出来るということだ!!

そうすれば、宿題になっているButterballsとか、Tales of Powerとか、Crimson Cringeもまた行けるかも知れない。
よーし!しっかり療養するぞ!心も体も、John Muir Trail で!


【セクションハイクをプランニング】

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JMTのトレイルマップは冊子になっている。見やすいカラー刷りのテンションが上がるマップだ。

John Muir Trailは、かの有名な冒険家John Muirさんが開拓した、Californiaの絶景を次々通過するawesomeなトレイル(雑)だ。
トレッキングの聖地とか呼ばれているそうで、毎年世界中からトレッカーが集まってくる。
その全行程を歩くことを"Thru-Hike"といい、Yosemite Valleyの Happy IslesをスタートしてCalifornia州最高峰のMt.Whitneyへと至る。全211マイル(約340km)、ガイドブックでは21日間で踏破するモデルケースが紹介されている。
ただ、そんなに長い休みを取れない人も多い。ということで、部分的にJMTを楽しむ"Section Hike"という方法が一般化している。
私は今回このSection Hikeを計画してみることにした。

準備の時間も考えて、出発は11/2と決めた。せめて最後の二日くらいはクライミングしたいから、11/5か6には戻りたい。
かつ目的は肋骨の療養(?)なので、あんまり頑張るのも良くない。トレイルの状態も分からないし、重い荷物を持って歩くの自体久しぶりだから余裕を持ったプランがいいだろう。色々考えると、Silver Lakesというところからトレイルを歩いてJMTに合流し、逆走してValleyに戻ってくるプランがちょうど良さそうだった。モデルケースによれば4泊5日くらいの行程なので、3泊くらいで歩けるのではないだろうか。

早速、準備にとりかかった。
まず、はじめにやることは、Permitの取得だ。
これは、JMTに限らずover nightのトレッキングに行く際に必ず必要となる。
JMTのシーズンは6月〜10月で、この期間内だとPermitの取得は少し複雑になる。
とにかく大勢の人が訪れるため、National Park側はこれにより厳しい人数制限をしている。
数ヶ月前からオンラインで予約するか、当日直接キオスクに並んで取得するしかない。
だが、調べてみると、どうも11月からはオフシーズンということで、Permitの取得もかなりゆるくなるようだった。これはラッキーだ。

シャトルバスでValley内のVisitor Centerに行ってみた。
聞くと、予定しているスタート地点Silver LakesはYosemite National Parkの外。だからここではPermitが出せないらしい。
レンジャーのお姉さんが電話で調べてくれた結果、この時期あいているPermit StationはMammoth LakesのWelcome Centerだということが分かった。朝8時オープンだという。つまり11/2、出発日の朝にここでPermitをとってから歩き始め、ということだ。

次に、装備のなかで一番重要なものをゲットする。それが"Bear Canister"だ。

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こんなにビッグ。蓋はコインで開ける。クマが壊せないよう、専門家が研究を重ねたお墨付きらしい。

買うことも出来るが、ValleyのVisitor Centerでレンタル出来る。レンタル代は$5/week。やたら重いけど必須アイテムだから仕方ない。
これに4泊分の食料を詰め込んだ。なんだかワクワクしてくる。

他に、必須ではないかも知れないが、"準必須"くらいなのがスコップと浄水器だ。

スコップはトイレ穴を掘るためのもの。トレイルからも水場からも30m以上離れた場所に、15cm以上の穴を掘らなければならない。日本人のサイトではチタン製のものが推奨されていた。
でもValley内のMountain Shopにはプラスチック製のものしか売っていなかったので、それを買った。$2だった。
浄水器は沢の水を飲むためのものだ。煮沸すれば大丈夫だろうが、そのまま飲むのはよくない。これがあれば煮沸せず、その場で冷たい沢の水を飲むことができる。これも購入した。錠剤とか光とか、色んなタイプのものがあったが、一番軽くて安くて理解しやすい(?)濾過式のものにした。$45くらいだったと思う。


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トレッキング初日、最初の水場で記念撮影!そしてこの濾過式浄水器はこのあと意外な形で活躍を見せる。

これで必要装備は揃った!(まるでRPG!)
またシャトルバスでCamp4に戻り、パッキングを開始する。テントなど、明日の朝まで撤収出来ないものは後にして、片付けられるものからパッキングしていく。
友達になったクライマーたちが"Enjoy!"と言ってくれた。8日でThru-Hikeをしたというクライマーも、きっと楽しいよと話してくれた。期待高まる。
Mammoth Lakesまでは車で2時間半くらいかかるようなので、11/2は5時半にCamp4出発だ。Sさんは快く了承してくれ、成り行きで強強クライマー"Gachioくん"も同行することになった。

早めに夕飯を済ませてシュラフに潜り込む。
まだ時間も早いし、Camp4はいつもの賑わいを見せていた。
人々の行き交う音、笑い声。いつも通りのそれらが、この夜は心なしかより愛おしく感じられた。
明日の夜は一転、静まり返ったテントサイトで、もしかしたらたった一人で幕営しているかも知れない。
広大なアメリカの大地を一人で歩くのなんてはじめてだ。そう思ったらワクワクするし、ドキドキもした。
どんな冒険が待っているのだろうと思うと、ちょっと興奮して寝付けなかった。


【11/2、出発!】
夜明け前のValleyを後にする。2週間のスイートホームを撤収。Gachioくんが車を出してくれることになり、3人で乗り込んだ。
数日前に合流したクロヒゲさん夫妻から、「Mammoth Lakesの近くの温泉」の情報を得ていた。私をトレイルヘッドまで送り届けてくれたあと、二人はその温泉に寄って帰るというプランだった。
車を走らせ、懐かしいTuolumne Meadowsを通過、Parkのゲートを出る頃には朝日が昇っていた。
そこから先は、Valley内とは一転、"The Big America!"ともいうべき壮大な景色が広がった。

刻々と変化する景色に3人ともから歓声が上がる。これからの旅もこんな景色の中を歩いて行くのだろうか。

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Gachioくんと!

ちょうど2時間半ほどでMammoth Lakesの街に到着した。Permitは優しそうなおばさんと話して紙に記入するだけで終了した。お金はかからなかった。そこからまた30分ほどドライブして、Silver Lakesのトレイルヘッドまで送ってもらった。
ついに、はじまる。


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いってきまーす!!お見送りありがとう!温泉楽しんでねー!


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後日見せてもらった絶景温泉の写真!!(写真thx!)
これは行ってみたい!

【10.7マイルハイクから、標高3200m絶景のテント泊】
歩き始めは9時半ころ。
Mammoth Lakesの街がかなり寒かったので少し心配だったが、この頃には日も高く昇り、登っていると汗ばむくらいになった。

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初日の行程はJMTと合流するところまで。3つの大きな湖を横切るトレイルだ。2つ目の湖は大きなGem Lake!抜けるような青空が眩しい。


そろそろ3つ目の湖が見える頃。最後の湖が3つの中で一番大きい。どんな湖かなと期待していると・・・

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あれ、火星かな?


荷物は体感20kg弱といったところ。標高3000mを超えるところもあるので、持ってきていた冬用アンダーなど防寒具も多めに入れてきた。
歩荷筋(?)が貧弱なせいで、疲れより先に肩が痛くなる。ザック麻痺になっても嫌だから、こまめに座ったりして荷重を抜く。荷物を背負うときも、段差に置くなどして丁寧にやれば肋骨は問題なさそうだった。

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トレイルは明瞭で歩きやすかった。サクサク歩けて、目的のJMTとの合流点には14時ころ着いた。幕営するにはまだ早い。


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地図ではこの辺りも幕営適地となっている。焚き火跡もあった。


JMTは本来、Valleyを出発し、少しずつ高度を上げながらMt. Whitneyへと達する。それが高度順応という点で理に適っている。しかし今回は逆走コースなので、標高の高いところから低いところへと移動していく。今日は、1日で標高約1200mのValleyから一気に3000m超へ到達する。今日のうちになるべく距離を稼ぎたいのはやまやまだが、どこで寝るかは悩みどころだ。明日の行程であるDonohue Passの峠越えが今回のセクションハイクの最高到達地点。今日中にDonohue Passを超えるのはたぶん厳しい。しかしその手前で終了となると、睡眠高度は歩けば歩くほどに高くなる。


IMG_4977.png
スマホで何でも出来るご時世。JMTも専用フリーアプリがある。このアプリには水場とテン場の位置が示されており、あらかじめDLしておけばオフラインでもGPSで利用可能だ。


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あれ、いつの間に天国にいるんだけど地形図あってる?


Donohue Pass手前の最後の水場マークは標高3200mだった。時刻は17時ちょっと前。日が沈むのは18時なのでまだ歩けるが、テンバを探すにはちょうどいい頃合いだ。


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それに加えてこのロケーション!


もうここ、テンバでしょ。って即決しました。


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標高3200mの場所に水の流れる大平原。日本では見ることの出来ない、氷河が作り出した不思議な地形。


本日の行動終了、17時。行動時間7時間半。歩いた距離は10.7mile(約17.2km)。
標高3200mなので、日が落ちると流石に寒く、着込んでテントに潜り込んだ。風も少しあった。
ウインドバーナーでテントの中をあたためて、お湯を飲んで、ビッグウォール用に持ってきていたアルファ米を食べた。
干し芋とジャーキーも火で炙って食べたら美味しくてハマった。
私以外、誰も居ない。というか今日出発してから、誰にも会っていない。聞こえるのは風の音と、すぐそばを流れる水流の音だけ。
今までないくらいに心が穏やかだった。

今の私には、クライマーやクライミング環境からしっかりと距離を置いて自分を見つめ直す、こんな時間がきっと必要だったのだと思う。肋骨はまだ動いているけれど、今日1日で悪化した感じはなかった。

初日から想像以上の絶景に恵まれたJMT。明日の行程が楽しみで仕方ない。
食事を終え、寝ることにした。Bear Canisterはテントから離れたところに置いておかなければならない。
ここには絶対クマ居ないよな、と思いつつ、就寝前のトイレついでに持って出た。

明日はどんな絶景に出会えるかな。


<To Be Continued...>

2018 10/27〜28 Washington Column "Astroman" 5.11c 11pitches day2

【Astroman Day2〜Tough, long and painful day...】
10/28、朝3時起床。
夜間、胸の痛みで何度か起きた。
昨日のEnduro Cornerトライの後から何となく、右胸の違和感が増強していた。

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朝ごはんを胃に押し込んで、登る日以外は温存してきた大切なロキソニンをまた1錠内服した。

昨日、ケルンを積みまくったおかげでアプローチはスムーズだった。デポしたギアも無事回収し5時ころにはユマール開始となった。
荷物は私の35Lザックに全てまとめ、ビレイループからぶら下げる。上に左手用のアセンダーを、下にグリグリ2をセット。右手でロープを引き上げようとしたところ、右胸に激痛が走った。

ぶら下げた荷物を引き上げるのもひどく痛い。もたもたしていると、Sさんが「荷物は俺が持つよ」と言ってくれた。ここは素直に甘えたほうが良さそうだ。それにしても、なぜこんなに痛いのか分からない。昨日無理なムーヴをした自覚は全くない。ただ、Enduro Cornerの核心を超えた後で「ずきっ」ときたのは気になっていた。もしかすると何かしらの理由で、肋骨骨折が悪化したのかも知れない・・


【10/17、OSトライでロングフォール】
Valleyに到着して三日目。Cookie Cliffの看板ルート"Outer Limits"を2ピッチ繋げてOSトライした時のことだった。


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エリアで一際目を引く30m超のフレーク/ハンドクラック。1ピッチ目は5.10cで★4つ。日中は暑すぎて厳しい。早朝か、午後日が陰るのを待ってトライしたい。

1ピッチ目を登り切ったとき、すでにメンタルもフィジカルもかなり消耗していた。
#3も#4も置いてきたのが大きな間違いだった。そのせいで激しくランナウトしつつ、すでに#2は使い果たしていた。
左のテラスにあがればピッチを切れる。でもクラックはまっすぐ上へと続いている。
この時は、このままOSトライを継続したいという気持ちが勝って、つっこんだ。
2ピッチ目は、ひきつづきクラックをたどってハングにぶち当たったら、ハング下のフィンガークラックを5mほど真横にトラバースする。

だが、2ピッチ目を登り始めて数メートルで早くも後悔しはじめた。
ハングまでのハンドクラックもずっと#2サイズだったのだ。しかもクラックは少しずつ広がっていっている。
ちょっとだけ狭くなっている場所を見つけて、開き気味の#1キャメロットをセット。そこが最後のプロテクションになった。だが奥が広がっているのでカムが歩いたらアウトだ。

怖さから、そこから先の一手一手も全力で、だいぶパンプしながらハング下までたどり着いた。落ちられない。が、体勢が悪くレストも出来ない。核心のトラバースはかなり悪そうだった。外傾したピトンスカーをつなぐ際どいムーヴになりそうだ。しかも拾えそうな足は全くない。

とりあえず、早くプロテクションを取りたい。出だしのピトンスカーにエイリアンを2つきめた。テスティングしたら1個抜けたから、きめ直してもう一度テスティングした。
今度は大丈夫。ロープをかけた。

2、3手耐えればガバカチに届きそうだが、そこまでのホールドは非常に甘かった。探っているうちにぬめってきた。しかしそろそろ行かないとヨレ落ちするのは時間の問題だ。もう一度テスティングしてから、一手出した。次の一手はデッドだ。次の瞬間、ホールドを捉えられず、フォールした。

一瞬の出来事だったが、ずいぶん長い距離を墜落した。固め取ったエイリアンが2個とも弾け飛び、その数メートル下にきめていたあの#1キャメで止まったようだった。Sさんから「大丈夫!?」と声がかかる。私はといえば・・。首はヒリヒリしていて多分ロープバーンになっている。でもそれ以外はどこもぶつけていない様子。かすり傷もなかった。

暗くなったのもあってRPは諦め降りた。そして帰りの車の中ではじめて、右胸の違和感に気づいた。
違和感は痛みに変わり、「肋骨骨折かも?」と疑いはじめた。しかし腫れてもいないしアザの1つも出来ていない。それでも、痛むところを探って押してみると、嫌な圧痛があった。たぶん折れている。ロングフォールによって何らかの間接的な衝撃が局所に加わったのだろう。同じ原理で骨折でなく肉離れが起きたとも考えられる。結局その翌日も痛みは続いた。
でも痛み止めを飲めば登れないことはなさそうだった。


【長い1日は、まだ始まったばかり】
空身になって、ユマールを開始する。しかし、体勢を工夫しても、右手と左手を入れ替えても、猛烈な痛みで動きが鈍った。
これまでの1週間登り続けてきて、痛みはあったものの、とくに悪化はしていなかった。むしろここ数日はもうだいぶ良くなったようだと思っていたほどだった。何が起こったかはさっぱり不明だが、とにかく痛過ぎた。ユマールは遅々として進まなかった。
そのうち痛みと焦りとで吐き気がしてきた。なんとかたどり着いたはじめのアンカーでロキソニンを更に2錠飲んだ。
そこからはロープ70m分をほぼ空中ユマールだ。気が遠くなるようだった。でも半分ほど登ったところで、少しずつ薬が効いてきたのを感じた。

昨日OSしたEnduro Cornerが、今日は永遠に続くかに思われた。喜びの雄叫びをあげたテラスに這々の体で辿り着く頃には、もう東の空がうっすらと明るくなり始めてしまっていた。どうしてこんなことに・・。様々な思いが去来する中、冷たいテラスに横たわって星を眺めた。気がつくと少し寝ていて、夜明けの冷たい空気に身震いした。
Sさんが到着し、登攀準備にとりかかった。本来なら夜明けとともに登攀開始したかったが、私のせいで少し出遅れた。
Sさんにも明らかに焦りの色が見られる。ほとんど休憩もなしに、すぐリードを開始した。
さあ、ついに長い1日のはじまりだ。


【Harding Slot、Changing Corners、そして】
4ピッチ目は24mほどで、Sさんは素早くリードを終了した。

続く5ピッチ目は40m。

IMG_4810.jpg

前半はそれほど難しくないワイドだが、後半部分は初めムーヴが全く分からず、かなり逡巡した。最終的にはワイドから飛び出して、左壁のホールドと右の尖ったフレークを使った大胆なステミングで解決。こんな奇想天外なムーヴははじめてだった。5.10cながらまたしても落ちられないランナウトを強いられ、このピッチにも時間がかかった。でも何とか早く、岩が灼熱と化す前に本日のメインディッシュであるHarding Slotへのバトンを手渡さなければと必死だった。

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そうして迎えた6ピッチ目。いよいよ、覚悟を決めた顔のSさんが離陸した。出だし数メートルはかぶった5.10cレイバック。順調に高度を上げるも、一時の逡巡があった。「ガンバ!」とエールを送った。しかし次の1手を出そうとするSさんの体はなかなか上がらなかった。ついに「テンション」のコール。残念ながらOSは出来なかった。だがそこで1テンションしたのち、核心であるはずのSlot部分は流石のSさん、するするとノーテンションで抜けて行った。フォローで登ったが、非常に難しかった。出だしさえ切り抜けられれば十分OSは出来たはずで、その点は残念だったが、やり直す時間はない。先へ進んだ。

7ピッチ目。ピッチグレードは5.11bだが、出だしは5.10前半だ。しかしこの頃にはすっかり高く昇った太陽が、ラインをこれでもかとじりじり焼いていた。かぶっていて先が見えない。手のぬめりを感じ、嫌な予感に包まれながらリード開始すると、ハングの抜け口でスリップ、あっさり落ちた。何度チョークアップしてもハンドジャムはぬるぬる滑る。不甲斐ない思いで次の一手を出すと、その向こうはまだ日陰で、快適なハンドジャムが続いていた。ああ、ここさえ抜けられれば・・。しかしすでに闘志はしぼんでいた。つづく核心の5.11b部分。何度かムーヴを起こそうとして、たぶんこうなんだろう、というのは分かった。だがそのムーヴは余りにパワフルで悪いムーヴに思えた。フォールするまでひとまず試してみても良かったのだが、解決できずにエイドする自分の姿が浮かんだ。エイドするくらいならフリーで抜けよう。時間もあまりなかったので、そうと決めたらもう迷いはなく、右の5.10c var.のラインから登った。

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8ピッチ目。"Changing Corners"をSさんリード。ボルダリーなマントルをこなした後に美しいコーナーのパズルを解く、実に個性的なピッチだ。Sさんはトリッキーなコーナーにやられてフォール。CornerがChangeしたあとは、また微妙なサイズのワイド登りが待っており疲れた。

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9ピッチ目は5.10a。時間は15時に迫ろうとしていた。レイバックから小ハングを乗り越えると傾斜が緩み、ワイドハンド〜フィスト、部分的にリービテーションでずり上がること50m。のろのろ運転もいいところだった。さらにハング下を10mトラバースしてピッチを切る。

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日暮れが迫っていた。

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10ピッチ目は5.10d R。時間が限られていたこともあり、部分的にエイドで抜けたとのことだった。17時半頃フォロー終了、そのままバンドを歩いて18時過ぎ、トップアウトした。


【North Dome Gullyの下降】

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ギアをまとめ、軽くエネルギー補給をしたらすぐ出発した。ガリーまでのレッジのトラバースはまだ辺りが見渡せる明るさだったが、ほどなくして日は沈んだ。

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North Domeを間近にのぞむ。

踏み跡ははじめ明瞭だったものの、露岩帯に入るとはっきりしなくなった。滑り台のようなスラブを慎重に降りたり戻ったり、右へ行ったり左へ行ったり、謎の残置スリングを見つけて懸垂しようか迷ったりと、30分ほど彷徨った。やがて見つけた踏み跡から露岩帯を脱出し、森の中の踏み跡を下った。しかしアプローチ道には合流できず、かなり左のほうからトレイルに合流した。ロープ回収は明日に持ち越しだ。
車に戻ったのは20時半ころ。長い1日が終わった。


今回のOSトライ、内容は満足出来るものじゃなかったけれど、ふたりとも実力は出し切ったし、その範囲においては一番いいトライが出来たと思う。だがその上で、やはり実力不足だったと痛感した。
技術だけでなく、体力、気力、どれも力足らずだった。
でも、次回はもっとうまくやれる気がする。
次なる目標はワンプッシュRPだ。


【エピローグ】
その夜は激しい痛みに悩まされた。仰向けで寝られず、寝返りも打てない。
ビッグウォールに行けるかどうかはかなり怪しくなった。

明くる29日は、朝起きてそのことをSさんに打ち明けた。
ロープ回収に行ってから、一番近いOakhurstの街へ出た。

IMG_4850.jpg
Oakhurstで本場のバーガーを食す。残したポテトはTo go boxへ!

呼吸のたびにぐぐっ、ぐぐっ、と肋骨が動いている。今まではこんなじゃなかった。結局この日1日買い物をするだけでも大変な苦痛だった。

これはもはやビッグウォール云々以前の問題なのでは・・。
と思いつつも、とりあえずビッグウォールに行く前提の買い出しをしてまたValleyに戻った。

そして翌30日は、SさんのリクエストでCascade Falls Leftの"Crimson Cringe"へ行った。私は大人しくしていると決めてビレイに徹した。
しかし、ビレイ3便目でやはり登りたくなってきた。


_DSC5609.jpg

Crimson Cringeは、甲斐駒ケ岳スーパー赤蜘蛛のスーパークラックによく似ている。
今日は胸にがっつりテーピングもしてきたし、どうしても登ってみたい。

Sさんは見事RP。だがこのルートは左上しているためフォロー回収が必要になる。TRなら大丈夫だろうと、回収便でトライしてみることにした。
そして幸か不幸かこの1便で、クライミングは休むしかないことがはっきりした。
もう、これはダメでしょ、っていう痛みだったorz

あと1週間を残して、私のヨセミテツアーは終了してしまうのか・・。
失意のうちに眠りについた。仰向けで寝られないから、横向きで。
ああ、明日目が覚めたら治ってないかなぁ・・・


<Yosemite レポ〜John Muir Trail編へつづく(笑)>

プロフィール

chippe

Author:chippe
chippeのブログへようこそ!
2006.10 山歩きをはじめる。
2007.9 クライミングをはじめる。
山岳同人「青鬼」所属。国際認定山岳医。
好きな食べ物:肉。
カリマージャパンアンバサダー。

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