2019/03/18
シャモニへ来てから1週間が経ちました。

山登りが目的ですが、なかなかまとまった好天が訪れません。
ケーブルカーなどが発達しているお陰で4000m級の山へのアプローチも街からひょひょいのひょいですが、それでもやっぱり冬にロングルートを登るならまとまって3日くらいの好天が欲しいところです。
なかなか晴れないねぇ。日頃のおこないかな?雪も降ったり止んだり。降雪直後には入山したくないし、積雪や風でケーブルカーが止まったりということもあります。
お散歩も楽しいですよーーだ。
そりゃもう、天下のシャモニですカラ!ぱからっ!Aiguille du Midi駅まで€63かけて上がったものの、結局天候もろもろの理由でとんぼ返りなんてこともありました。
景色が見られたからよかったけど!天気の悪い日は街で情報収集したり、ドライツーリングの岩場へ行ったり。

Le Fayetの岩場はAiguille du Midi駅前にある宿から電車で40分、駅から片道20分のところにあります。石灰岩のかぶった岩場でM5からM10まで20本くらいラインがあります。
M6+をトライ中!そんななか、やっと1週間目で短い晴れ間が訪れました。
みんなで話し合った結果、ルートの偵察も兼ねて人気コースを滑りに行こう!ということになりました。
スキーはレンタル。前日に何軒か店を回って相場を確認しました。
Touring Skiももちろんレンタルあり。相場は板、ブーツ、ストック、シール全てセットで€60弱くらい。
普通のスキーはレベル別に分かれていて、ビギナーか中間かエキスパートかって感じで値段設定があります。
一番安いと€25くらいだけど、今回行くルートはオフピステだし、念のため中間のやつを借りることにしました。板、ブーツ、ストックのセットでお値段€31でした。オフピステだし長めでちょい太めの板がいいかなあと思っていたから、(私は身長も低いし)147cmくらいのチップロッカーのアルペンスキーを充てがわれたのはちょっと不安でした。
でも結果的に今回のコースではほとんど問題ありませんでした。
雪の深いところはそれほど多くなかったし、かつアイスバーンも多かったからむしろエッジが効いて安心できました。

Kくんがとってくれた宿はAiguille du Midi駅の目の前という素晴らしい立地ゆえ、ベランダから駅の様子が確認できます。
この日ケーブルカーは8時15分運行開始なのに7時前からスキーヤーでごった返していました。
そっか、週末だしこの晴天だし・・・さすがスキーの聖地!
リフト券とは別に渡された謎のカード。トンボ帰りを食らった天気の悪い日にはこんなモノなかったけど・・・ナニコレ?で、8時15分のレンタル屋さんオープンとともに板を借りて支度して、10時前には列に並びます。でもやっとチケットを買えたのは10時半。そこで謎のカードを渡され、「次のケーブルカーは11時半」と告げられました。
えっ!15分おきくらいで出ているように見えるけどそれホント?と思ってしばらく並んでいたら、気がつきました。
謎のカードは整理券だったのです!結局36番のケーブルカーに乗れたのは11時45分くらいでした。
だからみんな7時前から並んでたのね〜〜と納得。
いざ!はじめての氷河滑降。というか氷河歩き自体が私は人生初です。
ハーネスを装着し、アイススクリュー各自1本、スノーバー各自1本、ロープは8mm60mを4人で1本、アックス1人1本持参としました。
三種の神器は・・・私は持ってたけど、各人あったりなかったり^^;(ホントはいけません!(笑))

山頂駅到着が12時半くらい。アイゼンを履いて装備を整え、いざ出発です!

細いリッジを降りてプラトーに達したら、そこからもう落とせそうだったのでスキーを履きました。
13時過ぎ、ドロップアウト!
ドロップポイント周辺は風が強いのでガリガリでした。

まずはVallee BlancheをMont Blanc du Tacul方面へ。
TaculのTriangleを眺めながら広大なバーンをまっすぐ落とします!ここは雪質もよくて気持ちよかった!

Supercouloirは今回登りたいルートのひとつ。深く切れ込んだルンゼがそれですね!
景色が最高すぎてニタニタ笑いが止まりません。

Glacier du Geantに滑り込む巨大バーンはいたるところにシュプールがついてギッタギタでした。南西から谷筋を落としていけば15度くらいの中斜面だし、北東へトラバっていけば25度くらいのバーンを落とせる。あまり離れすぎないよう注意しつつも、四者四様にラインをとって谷底まで滑り降ります。ここは雪が重くやや滑りずらかったです。それでもこの板で十分なんとかなる程度でした。
ひゃっほーーう!です。谷底からは南へ進路をとり、Mer de Glaceを目指します。トラバースはちょっと潜ったり漕いだり。
休憩。トラバースを終えて尾根状に出ると、左上のあちらこちらに美味そうな斜面がありました。
そして前方、地形図で「核心部かな?」と思っていたあたりはコブ練習バーンになっていました。大量のコブ好きがせっせとコース整備してました(笑)。
みなさんお好きですね〜。アルペンの板は自分の板より操作しやすかった。核心部を通過して、レショ氷河との出合へ。ここら辺はクレバスが怖そうだなー、って、地形図を見ながら思っていました。
それなのに。

落ちた・・・!

スキーヤーがひゅんひゅん滑り抜けていくなか、少しスピードをあげて滑っていました。すると急にバーンが硬くなってきて、スピードを落としつつ右のスキーヤーをよけようとしたその時でした。
「あっ」
クレバスだ。と思った時にはすでに空中でした。
重心を崩さないようフリーズしてたら、そのままクレバスの底へ「ぽとっ」と着地(?)。
おいおいおい何をやってるんだ私はーーー!

幸い着地点は雪がふかふかで、どこかぶつけたりひねったりもしていません。
見上げると6mくらいの氷壁ですが、左右を見渡せばクレバスの幅が狭まったところに雪壁がせり上がっていて登り返せそうです。
あたりが静まり返っているので「もしや気づかれてないかも?」と思い、
「落ちた!」
と叫んだら、落ちたところをちゃんと見ていてくれたTKくんが「だいじょぶー?」とかえしてくれました。
前日準備をしているとき、
TK「スノーバーは先頭と真ん中で1本ずつ持てばいいんじゃない?」
私「でもスノーバーって上で引き上げる用だよね?落ちるとしたら先頭だから先頭が持っててもだめなんじゃない?」
っていう会話をしたのを思い出しました。
TK「いまロープ下ろすわー!」
私「あー、ロープ持ってるの私だね!!」
TK「そーだ!orz」
だめじゃん!!!orz
前日言った通りに落ちてるし・・・orz
ほんの気の緩みだったと思います。自分に激しく喝をいれつつ、アイゼンをはいて登り返しました。
コース上に戻る時、幅1mくらいのクレバスの割れ目を通過する必要があり、対岸から投げ縄してそこだけ確保してもらいました。
みんなありがとう!
危険を予測してゆっくり滑っていれば回避できた災難でした。本当にすまなかったと思っている!さて、気を取り直してMer de Glaceを滑降です。

しばらく滑ると、やっとレショ氷河の奥にジョラスさんが見えました。「まだ見えてないねー」って言いながら滑っていたら、手前で視界を遮っているピークのはるか上にその御姿を現しました。でっ・・・でかいよ!!!

16時半すぎくらいに氷の洞窟があるMer de Glaceのケーブルカー乗り場へ到着。MontenverからChamonixまでの登山列車にはもう間に合いそうにありません。
見上げると、ケーブルカー乗り場までのなが〜いなが〜い階段をせっせと登っているスキーヤーが見えます。
「この時間でまだ動いてるのかな?」
「これに乗れば、ここからシャモニ側へは滑って降りられるよたぶん」(数日前にKくんとTくんが偵察済)
「どうしよう、これ乗る?末端まで降りる?」
しばし迷った挙句、スキーを外して階段を登ることにしました。
つかれたね!ドリュ西面がすごく綺麗に見えます!!
なんと火事のせいでGrans Montensのケーブルカーが使えないそうなので、北壁へはこちら側からのアプローチか?とも考えていましたが、「こちら側からはないわ・・」とこれを見て皆が思った。落石の音も絶えずしてるし・・・。ケーブルカー最終は16時半で30分くらい過ぎていたのに、どうやらラッキーなことに最終便に乗せてもらえました。帰り便のカウントなのか?(ケーブルカーは上り料金のみ)乗車賃はナシでした。
時すでに17時15分!ケーブルカーを降りると、さらにラッキーなことに、登山列車の最終17:22の便が今出るところです!
「乗れますか?」
「いくら?」
と聞くと、もうレジを閉めたあとだったのか、「いーよいーよ」「おまいらラッキーね」
って感じでタダで乗せてもらえちゃいました!ありがたや〜!!

列車からはジョラスさんはじめアルプスの針峰群がとても綺麗に見えました。
途中、雪のない林道をスキーを担いで降りている人々を発見。
スキー靴でこの距離を下るのはしんどかったので本当にラッキーでした。
そんなこんなで色々あったけど明るいうちに降りてきて無事レンタルスキーも追加料金なしで返却できました。
乾杯!明日からはいよいよ好天周期が来そうです!Triangle du Tacul(Mont Blanc du Tacul)で登る予定です。楽しみです!
憧れだった"ながーいフランスパンを抱えて帰る"の図