2022/01/17
土曜日は大雪翌日の快晴ということで、素人考えに「The Dayかな?」とパウダーを求めてゲレンデサイドへ。
そして翌日曜日も快晴で登山日和!高いところに行きたい気持ちを抑えきれず、美しい景色を求めて甲斐駒ヶ岳に登りに行きました。毎朝家から見ている甲斐駒ヶ岳。さすがに甲斐駒を「裏山」とは呼べませんが、それでもうちから尾白の登山口まで車で30分です⭐️
黒戸尾根といえば!の1枚。現在、妊娠7ヶ月となりました。
前回のブログはSNSなどでもとても反響をいただき、ありがたいコメントも多数寄せていただきました。
なかには現役産婦人科医の方からのコメントもあり、発信を続けるモチベーションを頂きました。
今回の山行記録は妊婦登山記録でもありますが、皆様ご存じの通り、妊娠期間中の体調は千差万別です。これは私の個人的な体験の記録であり、ただの読み物として楽しんでいただけると嬉しいです。
山頂手前のコル状から、富士山と鳳凰三山をのぞむ。さて。
妊娠すると、身体全体が胎児を育てるモードへと変化していきます。
そしてその影響というか副次的な作用がさまざま生じてきます。つわりなどもその1つです。
妊娠7ヶ月ともなると、さすがにお腹が出てきました。重心の位置が前方に移動してバランスが取りにくく感じ始めると言われていますが、私の場合はまだその感覚はありません(腕立てがちょっとキツいけど)。
ただ、下半身のウエアに関しては再考が必要になりました。登山用の機能性ウエアにはもちろん「マタニティモデル」などありません。アンダーウエアはペコマのものを借りて良い感じなのですが、ヤッケはお腹が閉まらなくなりました(笑)。開けっぱなしでサスペンダーで対応しています。
そのほか、登山に関して困ることがいくつかあります。
まず、妊娠初期から今に至るまで継続している妊娠性鼻炎です。鼻水鼻づまりのせいで常に息が苦しいので、山には大量に保湿ティッシュを持参しています。また、循環血液量が増えてベースの心拍数が上昇することや貧血気味になりやすいこと、子宮による物理的な圧迫で肺活量が減ることなどから息切れを感じやすくなり、必然的にパフォーマンスも落ちます。
また、骨盤まわりを緩くするために分泌が亢進するリラキシンというホルモンの影響で消化管機能も落ちてしまうため、食べてもすぐにエネルギー化されず、また胃もたれしてしばらくだるくなってしまいます。行動食は胃もたれしにくいものを少量ずつ、こまめに摂る必要があります。胎児が優先的に糖を利用するので血糖値が下がりやすいという弱点もあります。
8合目からのぞむ北岳。先日ご紹介した"The Pregnant Athlete"にも、RPE(自覚的運動強度)13-15を上回らない運動を心がけるよう書いてありましたが、もちろん限界ギリギリまで追い込むのはNGです。適度な酸欠状態で胎児や胎盤がリスクに強くなると言う報告はあるようですが、胎児を危険に追いやるのは不本意です。妊娠前にやっていたレベルを超える活動も、もちろんしません。
また大前提として、つい先日の妊婦検診では「順調」とお墨付きをいただきました。
それともうひとつ、大事なことが。妊娠中はメラノサイトの働きが活発になりシミが出来やすくなるんです。なのでこまめに日焼け止めを塗り直すなどの紫外線対策も必須です!
こんなようなことを考えながら、「冬の黒戸尾根日帰り」という、今までなら普通にやっていたことに「挑戦」してみることにしました。
今の私にとっては正に挑戦です。
引き返す最終リミットを13時と設定して朝5時に歩き始めました。
燃え上がる朝焼け。登山もクライミング も、やればやるほど面白くなる一方、より強い達成感を得るためにはよりハイレベルを追求するようになりがちです。その閾値はどんどん上がっていく傾向にあります。ですから、今までならすでに感動を感じ得なかったことやモノに改めて感動やワクワクドキドキを覚えるというのは、とても素敵なことだと思います。

案の定の登山日和です!☀️
黒戸尾根は「日本三大急登」に数えられていて、三大の残り2つである「西黒尾根」や「ブナ立尾根」、他に長大な尾根として知られる早月尾根と比べても圧倒的な標高差がありますが、平均勾配は実はこの中では下位の方になります。実際登るとそれは身をもって感じるのですが、とにかく距離が長いです。つまり長い長い「だらだら登り」との戦いになります。で日帰りとなると帰りは結構足にきます(笑)。
いまの自分が黒戸尾根をどの程度のペースで登れるのか?そこが未知なので不安も大きく、知らずと早足気味になってしまいます。
冬だとついあまり水分を取らず歩いてしまいますが、この日はテルモス2つにお湯と水1.5L弱を用意して、ほぼきっかり1時間半ごとに水分補給しました。

笹の平分岐まで1時間半、5合目まで4時間でした。そして4時間半で七丈小屋、時刻は9:30。ひとまず山頂は目指せそうです。

7合目から先で雪の量がグッと増えました。今朝すでに何パーティか登頂していたようでトレースはありましたが、雪が締まっておらず腰ラッセルのところもありました。そのせいで8合目までがちょっと時間かかりました。

絶景を満喫しながら登ります。

9合目でアイゼンを装着し、片手をストックから縦走用ピッケルに持ち替えましたが、行程の大半でダブルストックが活躍しました。

山頂まであと少し!登り始めた時の不安は山頂直下の強風と共に吹き飛ばされていき、あとには晴れ晴れとした青空のような高揚感だけが残りました。

11:45、登頂!!
登頂できただけでも嬉しいのに、この青空です!
これまで季節を問わず幾度となく訪れたこの山頂。
しかしこの日の山頂は、自分にとってとても特別な山頂でした。

時刻はちょうど正午を回るところなので、山頂ランチタイムです。須玉のデイリーヤマザキで買った北杜あんぱん!

ホイップクリームたっぷり💕でもこれ1個で下山中ずっと胃もたれしちゃって以後行動食が喉を通らなかった。。
ちょうどこの時間におうちでzoom講習を受けてたペコマが撮った甲斐駒ヶ岳。山頂、雲抜けてますね!山頂には15分くらい居たみたいです。12時過ぎ、下山を開始しました。
山頂から七丈小屋まで30分、5合目まで1時間半と順調に降りてきましたが、徐々に蓄積されたダメージでペースダウン。5合目から刃渡りまでは1時間かかり14:30。

この日は鹿の家族が沢山横切りました。天気良かったから仕方ないけど雷鳥にも会いたかったな。

いつも心身共に疲弊する笹の平分岐までの急な笹原はほぼ最初から最後までグリセードで下れました。
笹の平分岐には15:20着。駐車場着は16:30でした。11時間半行動となりました。
セルフタイマーで撮った記念の1枚⭐️北杜市で一番好きな山は?と聞かれたら「瑞牆!」と答えますが、甲斐駒ヶ岳は私にとって「心の山」です。
以前いた職場は男ばかりだったのもあって、スタッフがひとり妊婦さんになった途端、皆んな腫れ物に触るように扱いが変化したのがとても記憶に残っています。奥さんや子供さんがいらっしゃる家庭でも、旦那さんは妊婦さんについて無知(無関心?)な方が多いんですよね。そういう私自身も、当時妊娠について全くの無知で、妊婦さんは常にどう扱って良いか分からないミステリアスな存在でした。
自分が妊婦になってみてやっと妊婦さんのことが分かるようになり、また世界が広がった気がします。
気づけばフリークライミングからは丸3週以上離れてしまいましたが・・・貴重なラニーニャの今冬を、スキーに山に、ちっちゃな連れと共に満喫したいと思います!