2018/09/26
"辺境クライミング"感想日記
シルバーウィーク前半の3連休は、お尻に1日追加して(といっても私はもともとサンデー毎日)計4日間で八丈島へ行ってきました。
雑誌ROCK&SNOWで大人気連載をもつ言わずと知れた辺境クライマーで、現在山岳医講習にもエントリー中の"けんじり"が今回八丈島で辺境クライミングをするということで、そこへペコマともども便乗させてもらったわけです。
不思議な京都案内をしてもらったり、登山医学会の飲み会で飲んだりという仲で、一緒に岩登りくらいは行ったことがあるものの、けんじりの真髄とも言うべき辺境クライミングに同行するのは今回がはじめてでした。
その詳細な内容については、今後掲載予定のROCK&SNOWの記事に期待。
私は楽しかった4日間(+α)の思い出を感想文とともに絵日記(もとい写真日記)につづろうと思います。
ちなみにペコマのブログはコチラ
私のはじめての八丈島旅は、前夜に帰省し(実家が羽田空港のすぐそば)父と夜明け3時まで飲み語り、ひどすぎる二日酔い状態からスタートしました(笑)。
でも、親子のいい時間だったのでまあそれもよし。
私は1日3便出ている定期航空便の2便目で昼過ぎに入島。
これで期限切れ寸前だったマイルを使うことができました。
ペコマはけんじりと一緒に竹芝から前夜発でフェリー入島でした。

話をきくとフェリーもなかなか愉快だったそう
先についたペコマとけんじりは底土のキャンプ場にテントを張り、目的の沢を1本遡行。
遡行してヒッチハイクで帰ってきた二人と14時前にキャンプ場で合流したところで、
「はじめの"沢"は水が10滴くらいしか無いゴルジュだった」と聞く。
早くも"辺クラ"への期待が高まります(笑)。

底土のキャンプ場は広々としてオーシャンビューで、無料なのに広い炊事場やシャワーまであって超快適です。
この連休中はかなりたくさんのでかテントが張られ、サーファーや釣り師たちで賑わっていました。
猫もたくさんいて、釣果のおこぼれにあずかっていました。
初日2本目は私も一緒に、"おっちょが浜"近くの沢へ。
私が空港から乗ったのと全く同じタクシーが偶然来て、目的地へGO!このおもろいマシンガントークのおじいタクとは今後の旅でもふか〜い(?)付き合いに・・・・
今回はレンタカーが借りられなかったので、移動は徒歩かバスかタクシーかヒッチハイクでした。
しかし島の方々がみんなすごく優しくて、ヒッチハイクの成功率が高い高い!(笑)
なかには3人いるのを見て、わざわざ帰宅して3人乗れる車に乗り換えて来てくれる島民の方まで!
おかげで移動費はだいぶ節約できました。旅の醍醐味、一期一会も満喫できて楽しい。

"バスパ"っていう、¥1000でバス乗り放題と温泉入り放題がセットになった2日パスも使いました。でも終バスが早いので、やはりヒッチハイクにかなり助けられましたね。
初日2本目の沢はちゃんと水が流れていた(笑)けど・・

滝は世にも不思議な縦穴式!(?)ゴルジュ(??)
この洞窟の奥から水が流れ落ちてます。


右を捲いて登りましたが岩が脆くてヒヤヒヤです。途中で"岩"というか"硬い土"だということがわかりました。

そして無事抜けた先には、岩の下の穴へと水が吸い込まれて行く、世にも不思議な"落ち口"が・・。
八丈島のミステリーワールドへと誘われ、辺境クライミングの懐深さが垣間見えます。
ヒッチハイクで島一番のスーパーへ行って買い出し、タクシーでキャンプ場へ。
楽しく鍋して寝て、また愉快な朝の到来です。
歩いて1.5kmほどのバス停へと向かう途中でまたヒッチハイクに成功したり(笑)。
そしてたどり着いた二日目の沢、"洞輪沢温泉"の名古川がこの旅最大の遡行となりました。

深く切れ込んだ谷。小さい水色の建物が無料の入浴施設。

絶望的なぶったち具合の大滝その1。弱点は非常に少なく、けんじりの見事なオブザベで右側壁の高捲きに成功。

2つめの大滝に至ってはもう、八方塞がりならぬ270度を硬い土の絶壁に囲まれた"行き止まり"。

壁の出だしと壁の中とで計2回のショルダーを駆使し、3人の力を合わせて攻略!
たった1km程度の距離を丸1日かけての遡行という激アツクライミングでした。
今回八丈島で行ったところはどこもボロ壁すぎて岩は使えず(というか岩はなく(笑))、垂直な藪とか猛烈な藪の洗礼を受けました。藪漕ぎって奥が深い。

4日間の藪漕ぎ密度は相当濃かった!
この日も盛大に終バスを逃したのに、超親切なヒッチハイクのお世話になって、しっかり温泉にも浸かってキャンプ場までドアツードアという快適さ。ありえない(笑)。

無料の温泉!気持ちよかった〜〜
三日目も末吉地区へ2本の沢を登りに行きました。
はじめの沢はまた海から!

じゃんけんで勝ったペコマがリード。

海を背景に落ち口に立つ。辺境っぽい!

みごとなポットホールで戯れる。

さらに遡行していくとハングした滝が・・。これはどうやって登るでしょう?

これが正解ムーブ!?ツタ登り!

さらに遡行を続けると沢のなかはスクラップのワンダーランドに・・・。シュールすぎる。

林道へ至り、遡行終了。途中、歩き回って綱がこんがらがっちゃったヤギを救出(笑)。
お昼休憩を挟んで、この日2本目の沢がまたすごかった!

この崖に見えるいく筋かの水流。近づくほどに、その垂直さと巨大さが見えてくる。
いやいやこれを登るの?もはや沢地形は存在せず、完全なる崖。半信半疑だったけど・・

この1段目の絶望的にみえる大滝も!

3段目のコイツも!
登れちゃうんだな〜。

登った人がいないから登れるかどうか分からないだけ。この世にはやってみないと分からないことだらけだ。
水源はヘッドウォールの岩質が変化した境目からこんこんと吹き出す湧き水でした。
落ち口?滝?沢?もう、どうでもいいか!八丈島の水脈ミステリーがすごい!
ちなみにこの展望はこの滝を登った人にしか見られない・・というわけでもなく、上の道路沿いにある"名古の展望台"から見られるそうな(笑)。
2本目の沢から予定時刻を過ぎて降りて来たところに、なぜかクレソンを育ててる地元のおっちゃんが居ておしゃべり。もう時間的に温泉は無理か・・と思っていたところ、話の流れで温泉まで乗っけてってくれることに!ありえない!(笑)
みはらしの湯は本当に素晴らしい見晴らし、なにもかも(道から入浴してる人も)丸見えでした。

おかげでゆったり温泉につかり、ちゃんと終バスにも乗れてキャンプ場へ帰還。
ラストナイト&けんじりバースデーイブを祝うべく、地元の居酒屋で打ち上げしました。

左上から、くさやピザ、明日葉てんぷら、鮮魚盛り合わせ、島酒(八丈島焼酎)。
八丈へ行ったら、島寿司などの鮮魚料理と、明日葉料理は必食です!

最終日は3便目の飛行機で帰る予定だったので、ゆっくり起きて撤収。八丈島のキョンを見に植物園へ行ったり、歴史民俗資料館に行ったりしてまったりと観光。そしたら夕方近くなってからどんどん空が暗くなり、空港の前で待機してるあのタクシーのおじいから「こりゃ飛行機飛ばないよ」との不吉な予言を受ける。
そしてその予言が・・まさかの的中!3人ともせっせと翌日の仕事を調整し、4日+αの楽しい旅の本当の(笑)ラストナイトを満喫したのでした〜・・
八丈島での辺境クライミング。
既成概念にとらわれない柔軟な発想で山に入ると、山が見せてくれる新たな側面がまた私たちの固定観念をぶち壊して行く・・。
その活動のエネルギー源となるのが「好き」という純粋な気持ち。
私のクライミング観にまたあらたな視点が加わりました。
それから、「好きすぎる」というのは素晴らしいことだと思いました。
青鬼がよく言っている「飢えている」ってやつも、ニュアンスとしてはほぼ同じだと思います。
でも「好きすぎる」のほうが表現的にもいいし、より純粋でより大きなパワーを生み出す気がする。
私もこれからも好きなことを追求していこう。

楽しい4日間+αでした!けんじりサンキュー!