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2020/09/21~22 広谷川御神楽沢~奥壁本谷ルンゼ 

沢登りと岩登りのハイブリッド!スーパークラシックな会越国境の名渓に行ってきました!
0_IMG_1041.jpg圧巻の奥壁!



秋雨前線の影響か不安定な天候のまま迎えたシルバーウィーク4連休は、当初長めの沢とか色々な計画はあったものの全てリスケに。結局、前半2日は甲斐駒ヶ岳山岳医療パトロールの一環で、登山口での声かけ活動に参加しつつ北杜市周辺に滞在。後半の2日で、きのぽんさんに誘ってもらい、御神楽沢へ行くことにしました。


天気予報が好転した後半の2日でしたが、入山直後からしっかりとした雨に。それでも騙し騙しアプローチを続けると、入渓点を過ぎたころには雨も止み、遡行中に雲もどんどん晴れてきて最終的には気持ちの良い秋晴れとなりました。


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蝉ヶ平登山口を出発!


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入渓してすぐ水に浸かります。水温はぬるめで、震えることなく遡行できました。


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透明度の高い水と粘土質の青白い岩が綺麗です。


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ショルダーも積極的に活用!


今回のメンバーは、きのぽんさん、HGさん、ちっぺこの4人です。登攀具としては、パーティで50mロープを2本、#.75以下のカム1セットとハーケン5枚程度を持参しました。はじめて一緒に登るので、入渓前にタクティクスを確認。ゴルジュ地帯では、基本1番手が空身でリードしてロープfix、後続はユマール(出来ればザックを3つにまとめて荷揚げ省略)。また奥壁の登攀は2パーティに分かれて付かず離れず登る、ということにしました。


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入渓から約1時間半でム沢の大滝が見えてきました。


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ここから右の御神楽沢へ!淵は歩いて突破。


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御神楽滝30mはなかなかかっこいい大滝!左壁が登れるみたいだけどヌメヌメそうで悪そう。。


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一応ロープを出して右から巻きます。泥壁でちょっと悪いトラバースがありました。最後は灌木の残置スリングを利用し、10mほどの懸垂で滝上へ。少し手前から降りれば懸垂なしで降りることも可能です。


4連休前半の2日で(増水した)マンダノ沢へ行かれていたきのぽんさんとHGさんは、ヨレヨレ寝不足のままの出発でした(笑)が、流石は百戦錬磨の山屋さん。4人で連携して滝やゴルジュ地帯の突破もスムーズにいき、沢水が平水より少なめだったのもあって、比較的早いペースで進んでいきました。


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時にエイドやお助けも交えながら、4人でテンポよく前進。


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10m滝はシャワークライム。


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渓相は一時ゴルジュチックに。木登りありーの、


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トイ状つっぱりありーの!


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ゴルジュを抜けると急に沢が開け、大岩壁がどーん!迫力満点の岩風景!


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中ノ大滝はルーファイしたのち、水線の左から取り付き、途中でロープを出しました。


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ここから、核心となる上部ゴルジュ帯。この2段滝は、私がリードでトライ。抜け口で一箇所カムをとってビレイしてもらいました。1段目の落ち口は広いスペースで、肩がらみ固定したロープを2番手ペコマがゴボウで上がる。ペコマが荷揚げと後続の引き上げをしている間に、私が左壁から2段目を突破。荷揚げしやすそうな左壁に支点を作って荷揚げする間に、2名が右壁からショルダーで突破し、最後の1名は左壁のfixをユマールしました。連携プレーが楽しい!


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次の10m滝は出だしの草付き地帯がヌメって悪そう。ペコマがリードし、fixロープをユマール。2番手が2本目のロープを持ってあがり、後続が登る間に先行してロープを伸ばす、といった形で時間短縮をはかりました。


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といった具合にテンポよく進んでいって・・・



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入渓から4時間半かからずテンバに到着!
眼前に300m級の大岩壁が拡がる絶景のテンバです!



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ソーセージ祭り、ポテチカルパスバウムクーヘン"なんでも炙り"祭りを繰り広げ、飲み過ぎ食べ過ぎた私は例によってすぐ撃沈しましたが、時々広がる星空のもと、23時くらいまで楽しい夜を満喫しました。


「早く下山して美味しいもの食べようよ」ということで、翌朝は4時起床して準備し、出発。登山体系のルート図を読み解きながら、登りやすそうなところを選んで登って行きます。


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遠望すると絶壁1枚岩に見えた岩壁も、近づくほどに傾斜もゆるく見えてきて顕著なルンゼ状に導かれます。


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なるべく水線をたどり、登りやすそうなところを上がって行きます。概ねフリクションは良くて快適な岩登り。


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私たちは結局持参したクライミングシューズには履き替えずそのまま登りました。


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ぐんぐん広がる景色!高度感抜群です。



ロープを出すか出さないか、ギリギリのところでだましだまし進み、結局ロープは出さずに終わりましたが、落ちたら300m止まらないような場面も多々ありました。


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最後は右俣に入り込んだものの、左上しながら沢状を辿って行って、ほぼ藪漕ぎなしで登山道へ!


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まだ8時過ぎとかなり早い時間だったので、さすがに山頂往復しようということになりました。


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御神楽岳登頂〜!


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下山路は噂通りの悪路で、「落ちたら即終了」な箇所が次から次へと連続する、気の抜けない激下り道でした。


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道すがら、奥壁全景を見渡します。


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湯沢の大スラブと山伏尾根。ここら辺も岩岩していて面白そうです。


稜線上こそ涼しかったものの、標高が下がるにつれかなり暑くなってきて、汲んだ1Lの水も尽き掛けます。湯沢出合についたら冷たい水に飛び込みました。


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下山後は温泉でさっぱりしたあと、HGさんが見つけた西会津の美味しい食堂で打ち上げでした。ココはオススメです!



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誘ってもらっておふたりと一緒に登り、沢屋さんの効率的な登り方や芸術的なタープの張り方に至るまで、色々と勉強させてもらえた二日間。とっても楽しかったです。ありがとうございました!^^


さて。そろそろ岩の良い季節になりますね。身体作りも本腰入れて行くぞー!鰻登りで!










コースタイム
初日
8:16蝉ヶ平登山口-9:22入渓-10:40御神楽沢出合-11:50御神楽滝上-12:53中ノ大滝-13:30上部ゴルジュ帯-15:00奥壁基部

二日目
5:46遡行開始-8:11登山道-8:40御神楽岳山頂-12:20湯沢出合-13:40登山口

2020/09/15〜16 錫杖岳 注文の多い料理店 & 深夜特急

天気とタイミングがばっちり合って、この二日間は錫杖の乾いた岩を楽しんできました!


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今回のパートナーはEl Cap「フリーライダー」のワンプッシュオールRPという偉業を成し遂げているつよつよガール、Sayakaちゃん!
数年前に知り合って以降、最近はメラメラガールズの集まりでもよく一緒に遊んでもらっています。しかも同い年で気が合う!


ということで、兼ねてから行きたいと思っていた深夜特急を一緒に登りました。


Sayakaちゃんは今回が始めての錫杖岳!まず初日は注文の多い料理店で足慣らしです。


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私はといえば、ものすごく昔に3ピッチ目のハング下で大雨敗退して以来登ったことがなかったので、今回はじめて上まで抜けました。


IMG_0727.jpg最近メラメラガールズで勉強会などしているので、いつも面倒がって流動分散にしてしまうところを固定分散にしてみたり、"shelf"(マスターポイントを段違いにする方法)を使ってみたりなどしました。コードレットを入手したら、クアッドアンカーなども積極的に作っていこうと思います。



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秋晴れで気持ちいい!全ピッチ通して楽しいクライミング。とくに3ピッチ目はとても面白かったです。大人気ルートだけありますね!


IMG_0731.jpg前衛壁の頭へ行くのはまあまあ大変そうだったので、今回は割愛。


IMG_0739.jpgお天気サイコーです!


降りてきてから深夜特急の取り付きを確認しに行きましたが、地形や岩の形状などよーーくトポと照らしあわせるも確信が持てない・・。

私は今年の1月に1ルンゼを登りに来ているのですが、分からない・・。季節が違うと景色が全然違う!って当たり前ですが、冬の方がしっかり白い筋が現れて地形の特徴がつかみやすいです。自分がいかにざっくりとしか地形を把握できていないか、痛感させられました^^; 岩から離れて見ようにも、冬は全部埋まっている薮も濃くて、そう簡単に行動範囲が広がりません。。

最終的に、「たぶんココが1ルンゼ・・?」とあたりをつけたルンゼ状の、さらに左にあるルンゼ状に目星をつけました。
水したたるぶったち草付きルンゼでかなり怪しいけど・・。ひとまず「1ルンゼ」としたルンゼも、地形がなんか違う気するけど・・。
Sayakaちゃんとも相談し、「たぶん、ココで良いよね!」と、ひとまずギアを残置して下りました。


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錫杖沢出合をベースに、初日のお夕飯は鶏味噌鍋!Sayakaちゃん家でとれたおナスは牛脂炒めにしたらめちゃ旨でした〜。ご馳走様でしたっ!!

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次第に夜も更けていき、満点の星空の下で女子トークを炸裂させました。楽しかった!


翌朝は5時起床。前日のお鍋の残りをおうどんにしていただき、6時半ころアプローチ開始しました。


昨日目星をつけたルンゼ状を目指し、少し登りやすそうな右寄りから登って行きますが、明らかに様子がおかしい。
草が生えすぎのワイドと水が流れすぎのぶったちルンゼの間のフェイスを、ボロい残置でエイドして抜けました。


IMG_0752.jpg北沢フェースルートから右上してテラスへ。


そのままもう1ピッチ伸ばし右上のテラスまで抜けてはじめて、「北沢フェースルート」というエイドルートから取り付いてしまったことに気がつきました。昨日「1ルンゼ」としたルンゼ状がまさに深夜特急の取り付きでした^^;


ということで、3ピッチ目から本来のラインに合流しました。気を取り直して快適なクライミング開始です!


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今にも発射しそうなミサイルにプロテクションをとり、乗っかって登っていくSayakaちゃん(笑)。実際、地震の後だし怖いよね・・・。


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そして箱型ハングの右下まで。白壁が覆いかぶさるようにそそり立っていて威圧感あります。そして高度感満点!


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次の5.11aのピッチは私のリード。プロテクションや傾斜、長さなどを考えるとこのグレードで妥当な感じがしました。登りごたえありました。


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終了点は快適なテラス!眺めも最高です。


そしてお次が核心ピッチです!5.11+となっている、傾斜のあるコーナークラックです。ここはせっかくだから2人ともリードしようと話していましたが、昨日の夜のじゃんけんで勝ったSayakaちゃんからOSトライ開始!


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出だしはマイクロナッツしかうけつけません。上部も傾斜があって足も悪くバランシー、ストレニです。Sayakaちゃんはさくっとさらりと超えていきました。流石つよっ!


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1度おりてきてもらい、今度は私のFLトライ!範馬勇次郎ばりに足を開いてふくらはぎがつりそうでした。
最後もヨレヨレで落ちそうになりながら、どうにかこうにか完登!ふ〜。


IMG_0742.jpg三角テラスからフォローのSayakaちゃんを見下ろす。高度感抜群!



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やったねー!焼岳と!


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ナイスOS!槍穂と!!


グレード感は、二人とも「5.11cくらいかね?」と同意見でした。


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三角テラスから見下ろすと1ルンゼ全体が見渡せ、やっと概念がよく分かりました。。


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ラストはLittle Wingと合流するピッチです。「傾斜の強いスッキリとしたフェイスに走るクラックを繋げて登る、非常におもしろいピッチ(ロクスノChronicleの今井さんの記事より)」という記述とちょっと合わない気もしましたが、ラインは間違ってないハズ。。


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登攀終了〜!核心ピッチを二人とも登れたのは嬉しいね!お疲れさまでした〜〜!


懸垂も大きな問題なくスムーズに降りられました。

IMG_0743.jpg途中のアンカーにアメリカンデストライアングルがあったりしたので少し整理してきました。


IMG_0744.jpg本来の深夜特急1、2ピッチ目を懸垂しながら見ましたが、コチラは乾いていて快適そうなワイドでした。5番サイズもあったら安心そうでした。



終日ちょうどよい気候で、雨にも降られず、登攀も女子トークも存分に満喫できた二日間でした!
マルチは今年の6月ぶりでしたが、やはり気持ちが良いものです。
クライミングして高いところに達して、良い景色を見る!最高の贅沢ですね^^
Sayakaちゃんありがとう!また遊んでね〜。


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※今回持参したギア(深夜特急)※
カム#4×1、#.1〜#3×2セット、マイクロナッツと小さいサイズのナッツを数個、スポート用ヌンチャク×2、アルパインクイックドロー(60cm)×3、60cmスリング×2、120cmスリング×3、60mシングルロープ×1、60mダブルロープ×1(バックロープ)、捨て縄4本

2020/09/09 甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根 トレラン〜 ホカオネオネとGarmin ForeAthlete 45装備で走ってみた〜

「アルパインに一番重要なのは体力だと思います。」(最近指と手首がちょっと痛い35歳主婦クライマー)


一般的な成人の最大心拍数は簡易的な計算式で表され、「220-年齢」程度といわれています。
この最大心拍数が、悲しいかな、"1"減ってしまう日の前日、たまたまヒマだったので、「山走りに行きたいなー」と思いました。

ちょうど2年前の夏にはじめて「トレラン」というスタイルで本気走りした黒戸尾根は、黄蓮行ったりAフランケ行ったりで通う上、数年前からは山岳医療パトロールでもお世話になっていて、今やかなり親しみのある道です。


日本三大急登に数えられる黒戸尾根ですが、平均勾配はそれほどキツくありません。
黒戸尾根のキツさはなんといってもその、片道10kmという距離の長さにあります。
これは三大急登のこりの2つである西黒尾根やブナ立尾根の約3倍の長さで、ちょうどよくキツい傾斜の登りが延々ずーっと続く感じです。。


2年前は登り3時間37分、下り2時間18分だったようです。
今回はどのくらいでいけるのか・・。
2年前まだ手に入れていなかったホカオネオネのスピードゴート3を履き、Garminのランウォッチ"ForeAthlete 45"を装着して走ってみました。












朝、3時半。珍しくぐっすりと眠っていたのに(最近はトイレで起きることが多い)、自分でセットした目覚ましにたたき起こされました。
「かけなきゃよかった(自然と目が覚めたら行く、にすればよかった)」と思いながら、予報が悪くなっていないことを確認し、しぶしぶ準備をして家を出ます。


高速をとばし安全運転で目的地へ。
辺りは晴れ渡っており、目的の山頂も朝日に輝いているのが見えました。

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これが見られただけでもテンションうなぎ。
あの山頂に早く行きたい・・!と気持ちが焦ります。
傘雲が気にはなりますが、SCW予報では12時ころまで晴れるみたいだから信じます。


コンビニで甘い水を2本購入。ここ最近山を走る時定番になったソルティライチと、今回ははじめて「濃いめのカルピス」をチョイス。
合計1L。ちょっと少ないかなと思いつつ、たった6時間程度なら我慢できるやと過信。
また、カロリーもこれだけで計470kcalくらいあるので、あと行動食は車の中にあるゲルとかをちょっと持てばいいや、ということで購入せず。


で、はやる気持ちを抑えつつ駐車場で準備をし、6時前には走りはじめました。


そしたら走り始めてから少しして、「行動食入れるの忘れたじゃん!!!!」ということに気がつきました。
でも戻るのはすでにダルすぎる距離・・orz
というわけでたまたま家から持って来ていたアミノバイタル3本が命綱となりました・・。

IMG_0420.jpg今回の持ち物。Karrimorのvapour hoodie(100gのウインドブレーカー)とタイツ、もってこタオル、ヘッデン、軽い救急セットとエマージェンシーシート、水分1L、貴重品、日焼け止め、ケータイ、Gopro、と、アミノバイタル3本。(ペーパー忘れ)



ちなみにGarminのランウォッチ"ForeAthlete 45"はロード用で、全然山用ではありません。
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でもGarminのソフト自体はトレラン解析もできるから、データさえちゃんととれればOK。


結果、GPS感度もよく、標高などもほぼ正確にとれていたみたいです。
走りながらわりと正確っぽい(RPEと相関してる感じがした)心拍数を確認できるのがけっこう便利でした。
電池のもちについては、20%程度減っていたので、ウルトラ系の長いレースとかだともたないかもしれませんね。


なんども歩いて走ってみて思うのは、黒戸尾根の核心部はほぼほぼ刃渡りの前までです。ここに黒戸尾根の辛さの半分以上が詰まっているといっても過言ではないと思います。逆に刃渡りまでたどり着けば、もう黒戸は半分以上終わったようなもの!


IMG_0425_20200909191200a18.jpg笹ノ平分岐までがまず第一核心で、その後に第二核心となる"笹ノ平と八丁登り"がはじまります。ちなみに、笹ノ平分岐がまたクセモノで、登りで1箇所?下りで2、3箇所?(人による)の"偽"笹ノ平分岐があり、「分岐マダカヨー!」ってなるのが黒戸あるあるです。


第二核心部はちょうどキツい傾斜が長く続くので、気づくと意識がとんでペースが落ちていたりします。今回はランウォッチを確認し、つねに心拍数150以上をキープするように登りました。キツかった。。最近覚えたパワーウォークも駆使しましたが足つりそうでした。


上の写真の、左下に見える登山道にまたがるボルダーが"第二核心"終了を告げる目印。ほどなくして刃渡りです!


で、刃渡り〜!
IMG_0401_202009091806476b9.jpgやった!黒戸オワタ! \(^o^)/


IMG_0400_2020090918054838a.jpgしかも快晴!鳳凰三山と富士山だー!!


途中、数パーティの登山者のほか、2名の単独ランナーさん(ひとりは細マッチョ、ひとりは足の筋肉ムキムキ)と3人パーティのランナーさんを抜きました。下りでまたすれ違う時、微妙にオーダーが変わったりしていたのが面白かった(笑)。


刃渡りを過ぎたらすぐ五合目。
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昨年は台風の直前に走りに来ており、その後台風でここの登山道が大崩落してしまいました。今回は崩落以来はじめてでしたが、とても綺麗なハシゴと木道が整備され歩きやすかったです。七丈小屋の方々はじめ、整備してくださったみなさん、本当にありがとうございます!


で、五合目を過ぎたらすぐ七丈小屋です。
IMG_0403.jpg今年はコロナの影響でまだ山岳医療パトロールが実施できていません。今後の実施も目処がたっていませんが、プライベートでもひとまずやっと来られた、という感じです。


で、七丈小屋を過ぎたらすぐ八合目です。
IMG_0404.jpg山頂方面、晴れ!


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八合目を過ぎたらすぐ九合目で・・


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そしてあっという間に、ホラ、山頂の祠が見えてきましたよ!


雷鳥が優雅に飛んでいるのを横目に見つつ、駐車場から3時間10分ほどで山頂到着しました!
IMG_0407_2020090918063553f.jpgやったー記録更新!ぜんぜん自信なかったから嬉しい!本物のランナーは2時間半で登るらしいけどね!最後は這いつくばって登りました。今の私にはコレが精一杯!


IMG_0408_2020090918063220b.jpgGoproでタイマー撮影★早起きしてよかった〜!


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山頂の展望も全く期待していなかったので、予想以上の快晴にテンションうなぎ!


さあ、下山です!


下りこそ、この急坂で厚底ホカちゃんの威力が発揮される時!大幅なタイム更新を狙いたいところ〜。


IMG_0410.jpg仙丈ケ岳方面は雲沸いてました。

実は、山岳医療パトロールのとき、ペコマが七丈小屋から駐車場まで1時間10分という記録を叩き出しています。パトロールの際は七丈小屋に1泊させてもらい、翌日下山するのですが、この下山時の記録です。だから日帰りで下から山頂往復とは条件が違うといえば違う。しかし、2年前も私はこの記録に挑戦し、1時間43分かかって敗北を喫したのでした。

今回こそは!という密かな想いを胸に、七丈小屋で靴を履き直し、いざ出走!


しかし今回もやはり1時間半かかりました・・(´Д`)
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思うに、笹ノ平分岐からはどうやっても30分かかると思うんです。なので、七丈から笹ノ平まで40分で来ないと話にならない。しかし、どうしても1時間かかってしまうのです。


でも今回あらためて思いました。七丈から降り始めるとき、すでに足が残ってないんですね・・。
急坂が多く、スピードコントロールを要する場面も多いものの、気持ちよくすっ飛ばせるような斜面もあります。
しかしそうしたところでもすっ飛ばすだけの足が残っていない・・。


そして水1Lが最後に効きました。
もし100円玉を持っていたなら、七丈小屋で迷いなく補給したかもしれません。
でも千円札しかなかったのと、「補給ってなんかエイドくさい」と思い、降り始める時点で200cc位しか残っていなかったのに補給しませんでした。そうしたら終盤ガチで熱中症的になりかけました。あぶないあぶない。
(ちなみに帰宅後体重を測ったら体重減少率は2.89%でした。水飲めてたらもっとタイム上がったかな?)


アミノバイタルは登りの刃渡り手前で1本、八合目手前で1本飲み、最後の1本は下りの七丈小屋で飲みました。これがなかったら本当に最後までもたなかった気がします。


行動食ナシは実験でもダイエットでもなんでもないただの忘れ物なんですが・・・色々と山をなめたことをしてしまいました。反省。


IMG_0413_20200909180517f7c.jpgGarminウォッチの記録。


IMG_0419.jpg標高と心拍数。170はたぶんエラーだと思うけど、160超えはまあまああったと思います。それなりには追い込めました。


IMG_0418_2020090918043145b.jpg最大心拍数に対する割合で「心拍数ゾーン」というのが5段階に分けられています。ゾーン3〜4はRPE(自覚的運動強度)でいう13から17くらいと思われますが、だいたい一致していたように思います。


高度や距離なんかは、下のGeographicaのトラッキングの方が正確だと思います。


下山後は水をがぶ飲みしたあと、温泉に浸かってガリガリ君を食べ、優雅な1日を過ごしましたとさ。
今年の秋は積年の宿題をやりにまた甲斐駒行きたいです!


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しかし流石はスピードゴートちゃん。下山後のダメージはこの秀逸な厚底のおかげでだいぶ違うって感じますね!












★コースタイム★※()内は山と高原地図の標準タイム

【登り】
駐車場ー笹ノ平分岐49分(神社ー笹ノ平分岐2時間30分)
ー刃渡り39分(2時間)
ー五合目26分(1時間)
ー七丈小屋21分(1時間10分)
ー八合目25分(1時間)
ー山頂27分(1時間30分)

【下り】
山頂ー七丈小屋30分強(1時間30分)
(小屋前で5分休憩)
ー笹ノ平分岐 約1時間(2時間30分)
ー駐車場 34分(神社まで1時間30分)


【Geographicaのトラッキング】(左が山頂まで、右が往復の累計)
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2020/09/05〜06 奥穂南稜 〜久しぶりの3000mでゆったり休日〜

この週末は、久々に乾いた岩と高所の絶景を満喫したくて穂高に行って来ました。
もともと滝谷とかを予定していたのですが、今シーズンの群発地震の影響を思うと行くに行かれず、かつ高い所に泊まりたい欲も出てきて、1泊で奥穂高岳南稜という何だかゆるふわな週末になりました。
ま、たまにはいっか!

そしてたまには公共交通機関の旅を・・ということで、夜行バスで上高地へ。

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朝5時半ころ上高地着!上高地はホントに久しぶり。これが私の登山人生の原風景です。


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河童橋を渡って岳沢を登ります。途中岳沢小屋に立ち寄って給水。登山道を外れ、そのままガレた沢を詰めていきます。"トリコニー"と呼ばれる南稜の三つのコブがよく見えます。


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雪渓が恐ろしげに口を開けてます。左岸のガレを詰めあがり、途中で軽アイゼンをつけて雪渓の上へ。アプローチシューズだったので軽アイゼンがないと歩きにくかったと思います。


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途中で右岸へ渡り、ルンゼ取り付きへ。岳沢小屋から30分くらいでした。


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久しぶりの乾いた岩気持ちいい!といいながら、快適なIII級程度の硬い岩を登っていきます。


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結構傾斜があるのでグングン高度が上がり、景色もどんどん広がっていきます。最近谷底を這いまわって低山に登ってばかりだったのもあって気分爽快!これが見たかったんだ!


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そのままルンゼを右上ぎみに詰めていくと、なんだか怪しい雰囲気が漂ってきて、、


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案の定、こんなことになったりしながら、


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敢えて踏み跡を外して、ハングして露出度満点のクライミング(私が登ったラインは5.8程度のワイド)をしたりしていると、


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"モノリス"?と思われるピナクルが見えてきました。


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ここら辺から藪は薄くなってきて、岩登り主体になります。


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ポイントでIV級程度の難しさのところもありますが、お助け残置があったり。


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南稜を見下ろす。背後に焼岳と乗鞍も。素晴らしい高度感!


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岩だらけの素晴らしい山岳風景!


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4〜5mの懸垂下降が必要というところは悪くてクライムダウン出来ないけど、その右のリッジを辿っていくとクライムダウンできるところがありました。


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3つあるトリコニーはどれがどれかわからないままに通過。トリコニー地帯を過ぎると南稜上部はほぼ歩きで、酸素が薄くなってきたのを感じつつガシガシ登って心拍数を上げていきます。


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ほどなくして吊り尾根が近づいてきて、我々の存在に気づいた登山者との「やっほー!」合戦(笑)。


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で、登山道に合流。南稜取り付きから3時間20分ほどでした。


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奥穂高岳の初登ラインから無事登頂!と思ったけど、ペコマは私の写真撮影だけして登頂するの忘れちゃった。残念!


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山頂にザックを置いて、そのまま空身でジャンダルム往復。何気にまだ2度目のジャン頂上。気持ちが良すぎて、寝転がったらすぐ寝られました。しばらくまどろんで、そのままビバークする勢いでしたがペコマに促されて渋々起きました。


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それにしても、一般道(じゃないって書いてあるけど)にしてはすごい道ですよね。西穂から縦走してきたパーティも沢山いました。


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で、ずっと憧れていた穂高岳山荘に今日は泊まります!!


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テントだったけど、このご時世なので事前予約しました。


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水場がカワイイ!ハーケンの使い方がお洒落。


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さぁ、待ちに待ったぷしゅの時間です。ちなみにビールは冷やせないし、買えるから歩荷しませんでした!ゆるふわだなぁ。


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明るいうちから飲んだくれていると、雨雲が晴れて前穂に虹がかかりました。


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ここには山が好きな人しかいないんだね。ってことに感じ入りながら、更に飲み続けました。飲みすぎたと思います。つい、幸せで。


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翌朝。憧れのテンバからの朝焼けです。


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奥穂も燃え始めました。


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当初、前穂と明神の間あたりで寝て、明神経由で下山する予定でしたが、雷とか怖くて穂高岳山荘にしました。で、ここからまた奥穂に登って岳沢を降りるのは明らかに面倒なので、涸沢へ降りることにしました。前穂北尾根も燃えてます。


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映画"涸沢で朝食を"のワンシーン。高所に弱いペコマが朝テンバで「気持ち悪い」って言ってたので、朝ごはんは少し高度を下げてから食べることにしました。食パン専門店の食パンを焼いて食べました。


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上高地には11時前に到着。ペコマがお蕎麦を食べたいと言ったのでカフェに入りました。下山途中、小梨平付近で大きめの岩魚ちゃん見ました。



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このプリンはすごく美味しかったけど高かったです。楽しい週末でした!


2020/8/29〜31 黒部川水系 黒薙川北又谷 遡行〜濃密爽快な3日間の冒険〜

7月の4連休に悪天候で中止した憧れの"五級"沢、北又谷(きたまただん)。
次なる遡行チャンスを待つこと1ヶ月、同人青鬼のWくんも誘って、このたび天気も水量も良好な条件での挑戦がかないました。

しかしコンディションがよくても決して容易ではなく、これまでに得た経験技術に加え、気力、体力を存分に問われるがっつり濃厚な3日間となりました。


IMG_0002.jpgメインディッシュの滝の突破はどれも一筋縄では行かない。


IMG_10000.jpgちょっとした小滝も淵も難易度高めがずっと続く。


入渓前からチェックしていた黒薙川の水位記録、我々が遡行した期間は平均73cm程度で、少なめでした。
過去の記録を見るとだいたい水位80cm程度までなら2泊ですんなり遡行出来ており、逆に1mを超えてくるとかなり困難な遡行もしくは敗退を強いられるようです。


IMG_9963.jpg藪漕ぎも小粒ながら骨太でした!


今回、行きの車の中で、「事前にどのくらい情報収集をするか」ということがちょっと話題にあがりました。
pecomaとWくんは「もう、調べ過ぎちゃってさ(笑)」というくらい、Web上の記録を研究してきたようです。

対して私は家にあるガイドブック2冊(どちらも豊野さんの記録)と、ほかにブログを3つくらい斜め読みしたのみ。
もちろん、初心者を連れていくとか、ライト&ファストで攻めるとか、計画や戦略によってその程度は変化します。
今回は頼れる仲間が居るというのもありましたが、憧れの沢への挑戦にあたり、情報収集をし過ぎない方が面白いかなという思いがありました。

オンサイトの部分を残しておいて、帰ってきてから答え合わせをするという楽しみ方も、とりわけ自由に遊ばせてもらえる"沢登り"には合っている気がします。難点は、ブログをアップするのにやたらと時間がかかることでしょうか(笑)。


IMG_9965.jpgビバーク地はブヨの猛攻に目を瞑ればどこも快適。


さて、遡行は問題なくこなせたものの、残念だったのは釣りです(笑)。「釣れまくる」はずの北又谷で、今回釣果はまさかのゼロ!!^0^;
サルガ滝の釜での追い込み漁により、なんとか3匹のイワナちゃんにはありつけましたが、竿が折れる(経年劣化っぽい)というアクシデントを抜きにしてもさっぱりの内容でした。。タモ持参してホントよかった!(笑)


IMG_9995.jpg8寸弱の岩魚様を3匹げと。尺近そうな子を取り押さえるも、あと一歩のところで逃しました。


ちなみに、「上流ほど魚影が濃い」という噂は本当で、三日目、宗八郎滝から二俣までの間が、遡行中でもっとも魚影が濃く感じられました(小さかったけど)。


IMG_9967.jpg三段の滝で慣れないネイリング


登攀用具としては、50mダブルロープ1本&6mm60m細引き(懸垂ロープ引き抜き用)、15mフローティングロープ(荷揚げなど用)、カム(#0.2〜#0.75各1)、ハーケン4(ナイフブレード長短3枚+アングル1枚)を携行しました。
ロープ&細引きにしたのは、巻きで60m程度の懸垂下降をしている記録もあった(かつ軽量化したかった)ためです。
結果、フラットソール(私は刀レース)を持って行った甲斐もあってほとんどの滝を直登できたので、細引きの出番はありませんでした。
唯一懸垂下降したのはサルガ滝の巻きで、約20mだったのでロープ1本で済みました。
ハーケンは三段の滝のネイリングで全て使用しましたが、カムは魚止滝上のアンカー作成以外使いませんでした。
というわけで、ギアはもっと減らせたと思います。


IMG_9971.jpg急流の淵をクロールで突破しようと試みる泳力自慢のpecoma。このあとたまらず側壁をつかんでヤツメに移行(笑)


★遡行タイム★
8/29 5:00坂田峠-(タクシー16000円)-越道峠6:15
6:30越道峠-7:00標高1030のコル-8:00入渓-10:00大釜淵-12:45急流の長淵-14:30ミズカミ谷手前の河原
8/30
6:30遡行開始-8:30三段の滝-11:30三段の滝上-12:45黒岩谷出合上-13:00サルガ滝-14:30吹沢谷出合
8/31
5:20遡行開始-5:40宗八郎滝-7:00二俣-10:15稜線上-10:30犬ヶ岳山頂-15:30坂田峠








それでは楽しい冒険の様子を、濃密すぎて長くなりそうなところをグッと堪え、できるだけ簡潔に(笑)。


8/29朝5時。坂田峠に車をデポし、事前に予約していたタクシーで越道峠(こえどとうげ)へ向かいます。
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越道峠からは登山道並みに良い道を辿って標高1030のコルまで。


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コルから沢を下りて、45分ほどで谷底へ。青白く美しい渓相に心踊らせながら遡行開始!と同時に、河原に比較的新しい足跡を発見。どうやらそう遠くない距離に先行パーティがいるようです!


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歩き始めてすぐに美しい魚止滝!さっそくフラットソールに履き替え、まずWくんが空身で登って荷揚げします。


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ここではランナーはとらず、上からのビレイは基本、落ちられない最終セクションのみ。落ち口のトラバースは5.7くらいで、沢靴だったら緊張しそう。


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今回ライフジャケットはパーティで1つのみでした。こうした大釜で水流に呑まれたとき一番リスクがあるのはラストなので、基本的にライジャケは3番手が着用して登りました。


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しかし魚止滝、これで終わりではなく、高台になった落ち口から上流の沢床までがブランクセクションで、ジャンプして滝へ注ぎ込む急流を飛び越えるしかありません。このたった1mほどの絶対失敗出来ないミニジャンプが、なにげに全行程中で一番緊張しました(ロープ確保の上、ザックおろして空身で飛びました)。


続く大釜淵はさすがの大迫力。溺死事故も起こっている難所です。

IMG_9983.jpg滝が小さく見えるのは、滝の規模に比して釜が大きすぎるから。時計回りの急流が大釜いっぱいに渦巻いています。水量少なめでコレだもの、増水してたら一溜まりもないですね。


大釜淵1番手は私。泳ぎ系の沢ではいつも着ているライジャケなしでやや緊張ぎみ。
水流をよくみてオブザベするも、なかなか弱点が見えてきません。

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渦流を逃れ、滝左奥の凹角に入ることが出来れば、そこから右のリッジに這い上がって突破できます。しかし凹角手前で必死に掻いても、呆気なく渦流に引き込まれてしまうのです。ライジャケがないせいで頭が沈み、水をたくさん飲みながら、合図して岸でロープを握るWくんに引き上げてもらうこと2回・・。

無念にもpecomaに選手交代すると、器用に凹角へ泳ぎこみ、右のリッジへ取り付いて1発成功でした。
ちなみにリッジの上からロープを出せば、比較的安全に後続を引っ張ることも可能な形状です。リッジ自体はホールド豊富で、取り付けさえすれば登るのは容易でした(この水量なら)。
結局私は3度目も失敗して、お助けロープのお世話になりました。残念無念!


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そして本日3つめの核心となる、又右衛門滝。コチラもフラットソールに履き替えて直登。巻くと3時間くらいかかるそうです。ボルダー5級くらい?バランシーで面白い垂壁です。ちなみに、落ちても問題ないけど、上からのお助けはやりにくい形状なので、パーティ全員が自力で抜けられなければ、直登は難しいかも知れません。


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がっつりの滝突破を立て続けに3つこなして、まだお昼前。ここからWくんと2人で竿を出しつつ登りましたが、アタリはおろか魚影さえないのでした・・。


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急流の長淵から先も、まだまだ深い淵の泳ぎやへつりががっつりと続き、「もしかしてもう白金沢あたりまで来ちゃってる?」と勘違いを始めたころ、やっとミズカミ谷出合手前の河原に到着しました。


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新しい焚き火跡を見つけ、1日差くらいで入渓した先行パーティがいるのではとの思いが濃厚になってきます。14時半といい時間だったので遡行終了。ダクトテープで穂先の補修をし、上流へ釣りに行きましたがボウズでした。仕込んできたローストポークやジョンソンヴィルのソーセージなどで29の日パーティをして初日の夜は終了しました。



8/30、遡行二日目。夜中にまとまった雨がありましたが心配された増水はなく、ちょっと寝坊して6時半ころ遡行開始しました。


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この日もゴルジュ帯の通過からはじまり、朝一からがんがん泳いで登ります。


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白金滝はどれだか分からないうちに通過しており、遡行開始から2時間で本日のメインディッシュとなる三段の滝に到着しました。


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ここも巻かれることが多いようですが、エイドで突破もされています。あわよくばフリーで・・と思っていましたが、潔くネイリングを開始できるほどに可能性を感じませんでした(ダブルアックスならいけるかも?)。しかし水から這い上がっての1本目のハーケンがなかなかきまらず苦労し、pecomaに途中交代しながら少しずつ前進します。


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ハーケン全弾打ち込んで落ち口と同じくらいの高さまで這い上がるも、最後の最後がちょっとしたブランクセクションに。釜ぽちゃしても怪我はしなさそうなので、両足分のガバスタンスから2mくらい先のちょい斜めった落ち口まで、ジャンプしちゃおうか迷うけど勇気が出ません。ひとしきり可能性を探り、短い足を遠くのガバへ伸ばしたら、なんとか届いてムーヴがつながりジャンプを回避できました(笑)。全員が通過するのになんだかんだで3時間くらいかかったみたいだけど、面白かったから良しとします!


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その先の3m滝もちょっとしたボルダーで、空身で登って荷揚げ。行程中、空身で登って荷揚げを要する箇所は他にもたくさんありました。


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2泊目の候補地でもあった黒岩谷出合上の河原には12時半すぎに着いてしまったので、流石に早すぎるということで前進。ほどなくしてサルガ滝に到着しましたが、流石にこれは登れる余地を感じません。


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と、釜の手前の河原に小さな中洲状の流れ込みがあり、なんとそこに岩魚がウヨウヨ!!毛鉤をうちこんでも見向きもせず悠々と泳ぎ回っています。釣りはさっさと諦めて、岩とザックで袋小路の出口を塞ぎ、追い込み漁作戦に移行しました。pecomaが1匹タモで見事にすくいあげると、逃げた岩魚が5匹くらい、岩の防波堤の中へ・・。岩の間をまさぐると、尻尾だけ出して息を潜める岩魚ちゃんたちのヌメヌメの魚体が触れます(笑)。手掴みとタモを活用して、更になんとか2匹捕獲しました。
最後に釜でも竿を振ってみましたが、毛鉤は食ってくれず、岩陰からぴゅーんと逃げていく大きめな背中を見送りました。

その後サルガ滝は左岸を巻いて、懸垂20mで降りました。


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吹沢谷出合付近の河原にいい物件を見つけ、この日も14時半に遡行終了としました。上流へ釣りに行ったけどまたもボウズ。サルガ滝の岩魚ちゃんをさばいて、塩焼きとお刺身に。内臓はアヒージョに。頭と骨はおせんべいに。どれも最高に美味しいのですが、とりわけ胃の旨さが尋常じゃないです。豚や牛のギアラよりも旨味が強くて歯ごたえ抜群。これは極上の珍味ですね。


IMG_0023.jpgボウズのお詫びにウワバミソウも採ってきて、お浸しで頂きました。1泊目より快適な河原でした。



8/31。この日は4時前に一雨あって、タープも張っていなかったのでそのまま強制起床。ヘッドライトをしまって5時半前には歩き始めました。

IMG_0022.jpg宗八郎滝は薄暗い中通過。


もともと3泊で計画はしていましたが、どうやっても今日のうちに下山できるだろうということで、昨夜すべての酒とつまみを放出してしまいました。つまり今日は何が何でも降りるしかありません(笑)。


IMG_0025_20200902093537e10.jpg二俣の手前で急に両岸が開ける。この先にまたゴルジュがあるなんて思えないのどかな風景ですが・・


IMG_0027.jpgこんなにも狭いゴルジュに!景観の変化もダイナミックで感動的です。


前半は河原歩き主体でサクサク進みましたが、カナホリ谷に入ってからはお風呂と小滝の怒涛の連続でした。

IMG_0030.jpg入浴とクライミングの連続で飽きません。


遡行図には記載が無いですが、ゴルジュ内で終盤、1:1程度の二俣があります。これを左に入ったところから最後の核心部がはじまります。


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決して簡単ではない10m級の滝がいくつか連続し、落ちられないクライミングが続きます。どんどん傾斜が増していき、なおもワンポイント、エイドを要する悪いヌメり小滝や、小さいのに巻かざるを得ない垂直滝などが出現しました。最後の最後まで気の抜けない遡行が続きました。


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ラストの詰め藪は標高差にしてほんの数十メートルです。しかし、登山道直前の5mくらいが、ハイマツやシャクナゲとの格闘で、まさにラスボスといった感じ。フルパワーでした。登山道に出る瞬間まで、気力体力を全力投球でした。


IMG_0036.jpg稜線に抜けてから約15分で、本山行の最高地点である犬ヶ岳山頂に到着!楽しかったね〜!さ、下山下山!


今回の遡行は、条件が良かったといえど、これまでに経験した中でも特に登りごたえ抜群でした。
それもその筈、これまで盛夏の時期を中心に沢登りをやってきたとはいえ、その回数はせいぜい年間10を超えず、5級クラスに至っては、赤石沢くらいしか経験がありません。
先々週の利根本谷も5級に数えられるとはいえ、今年は最大の核心ともいえる雪渓の処理がほぼ無かったので、実際は極端に簡単になっていたと思われます。

沢登りの難しさは、遡行距離、水量、滝やゴルジュ、高巻きの難易度、傾斜、エスケープの困難度、雪渓通過などの不確定要素やアプローチと下降の長さ悪さなどなど・・・とにかくありとあらゆる要素の総合で決まるものです。
ピンポイントで大滝登攀が難しくても、それはいわゆる"遡行グレード"のほんの一要素でしかありません。
そして当然、上述の様々な要素は不変ではなく、年によっても日によっても変わってきます。


今シーズンはコロナの影響もあって国内に目が向いたことから、増水した沢含め、短期間に集中して様々なタイプの沢に行くことができました。
おかげで、これまで泳力や体格の小ささといった点で少なからぬ苦手意識があった沢登りに対して、だいぶ自分なりの答えが得られてきて、それが今回の余裕を生んでくれたのではないかとも感じています。
そして今回の遡行で更にいい経験を積むことができました。


IMG_0038.jpg大汗をかきながら下山し、15時半に坂田峠着。温泉でリフレッシュしたあと親不知見学に行きましたが、肝心の断崖絶壁は見えませんでした。


それにしても、条件が良くてこれですから、北又谷はすごいところです。
そろそろ台風や秋雨の季節がやってきますが、もう少し憧れの沢詣でを続けたいですね!


って、簡潔にとかいいつつ結局長くなった・・・^^;

以下、同行メンバーの(簡潔かつ秀逸)記事も是非ごらんください★
pecomaの唄「北又谷、水線突破で美渓を堪能」
のぼる・すべる「8/29~31 黒薙川北又谷」

プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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