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2020/10/15 谷川岳一ノ倉沢本谷〜4ルンゼ

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去年の寡雪の影響か、今年行った沢は軒並み雪渓少なめ!
一ノ倉沢本谷も今年は雪渓が消えるだろうと確信し、9月末ころから行くタイミングを見計らっていました。
すると、ここ最近レギュラーメンバーとなりつつあるWくんから「来週行きませんか?」の連絡が。
3人で予定を合わせて日程を先にFIXしたら、気温は下がるし雨も降るというあいにくの天気にあたってしまい・・・・。








14日夕方、集まって前夜発。ヤマテンさんの予報では「日中雨と霧、稜線では雪の可能性も」と。
寒さとの戦いに備え、3人ともウェットスーツやネオプレン上下といったがっつり「泳ぎ沢」装備で行くことにしました。更にレインウエアも持参して防寒対策万全です。


9月9日の豪雨で崩落した西黒沢橋は復旧しており、谷川岳ベースプラザ駐車場にも入ることは可能でしたが、ロープウェーは今も運休中です。でも通れなくなっていた田尻尾根・天神尾根は10/13の時点で利用可能となっていたようでした。しかしそれを知らなかった我々は西黒尾根下山をすることに。沢靴で降りるにはなかなか険しく長いので、下山シューズも持参することにしました。

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核心となるであろう"幻の大滝"は前夜にリードじゃんけん!私が見事勝利し(笑)、持って行くギアを選別しました。ハーケンは軟鉄ウェーブ、ナイフブレード長短など各種取り揃えて5枚。ナチュプロは#.2〜#.75サイズくらいまでのカムとトライカムを持参。タクティクスは、セカンドがFIXロープをユマールし、サードはビレイされて登る。リードが空身で登るなら、セカンドかサードがまとめて担いで荷揚げ無し。ロープはユマール時の利便性を考えて40mシングルを持って行くことにしました。フラットソールも持ちました。


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前泊し、朝4時半歩き始めで一ノ倉沢出合へ!


出合で準備しながら明るくなるのを待って入渓です。

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ヤバい!防寒に重要な沢グローブが両手とも右手だ!これは・・新手のスタンド攻撃か!?


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紅葉がはじまってるー!綺麗だー!太陽光がないのが残念すぎる!


10月も半ばとあってやはり今シーズン一の寒さ。しかも昨日より3度くらい気温が低く、予報通り霧雨が降っています。なるべく濡れないように進んで行きますが・・・


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えー!入渓してすぐ、まさかのシャワー!何ぃー!


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ひょんぐってるやつも、ひょんぐりの下を通過!何ぃー!


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この滝は釜を泳げば簡単に登れるけど、胸まで浸かっちゃう!ひえ〜。なんか左側壁にFIXが!って感じで、出だしはFIXをやたらと利用させてもらいます。


いや〜、すでに濡れすぎ!って、沢登りだから当たり前だけど。でもこれは後々冷えるぞ〜。


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ってFIXを使いまくってたら、テールリッジのほうへ続くFIXへと導かれてしまったので、ココで沢床へクライムダウン。本谷復帰です。


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ちょい悪なところでロープを出し、進んで行くと・・・その先にはものすごい光景が!!


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「なんじゃこのスラブは!」って騒ぎながらガシガシ進む。


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すると見えてきました!アレですね!


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通常は一年中雪の下に埋まっている幻の大滝!って、なんか他の記録写真と比べてかなり水流れてませんか?


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なんだか雨が強くなってきて、すでに震えがはじまりかけているのでレインウエアを着用。更に、セブンイレブンの「あんこの入った揚げ食パン」を頂く!118gで443kcalと優秀な行動食。下界では怖くて食べられない!これで震え熱生産の準備も万端です♪


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で、昨夜じゃんけんに勝ったので早速リードさせてもらう。すでに手がかじかんでいてガバがうまく持てず、足ブラハイステップになったりするのが若干怖かったです。ワイド登りも出てきたりしてバランシーでなかなかに面白いクライミングでした。


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大滝上から登りやすそうな左側を上がっていって、広大すぎるスラブの大海原をルーファイ。このまま右岸をいけばスラブの罠にハマりそう。流心を横切って左岸へ行けば快適そうです。しかし・・渡渉こわっ!(笑)ハーケンとカムでアンカーを作ってロープ出して渡りました。


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こっからスラブをひたすら登る!


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しっかりルーファイしていけばそれほど怖いところはナシ。とにかく登る!


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滝沢を左手に見ながら、登る登る!しっかし雨やまないなあ・・向こうの空は明るいのに!


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本谷バンドに到着し、4ルンゼに入っていきます。


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最初の滝は途中からロープを出してトラバース。思えば今回はよくロープを出した。なんか寒さで震え過ぎてか身体がうまく動かないんだよね。手もかじかんで持てないし。。


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どんどん雨が強くなり、霧も濃くなってきて風も出てくる。すると、「ぶおーん」というジェット機が近づいてくるような音。「飛行機かな?」って思った次の瞬間、聞いたこともないような轟音が!谷底でどんどん大きくなりながら反響し、かなり長いこととどろいていました。「何!?」「どゆこと!?」と一同に動揺が走ります(笑)。こんな季節にあれほどの大崩落が起きるというの?もし今もっと下流にいたら確実に巻き込まれていた気がする・・・・・怖っ!怖過ぎ!!!


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気を取り直して先を急ぎます。滝を巻いて泥ルンゼを登ってみたり、


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しなる残置ハーケン1本で懸垂してみたり。


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いちばん軽い人はバックアップを回収して最後に下降・・・キンチョーするわぁ。


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このあとも水浴びや水線突破系がつづいて


寒さによりごぷろ(Gopro)も昇天。急にうんともすんともいわなくなること、よくあるんです。弱いなあごぷろ。


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いつしか雨は止んだものの、気温は下がり、風も出て常時震え熱生産。ホールドは持てないし、ロボットみたいなカクカクした動きしか出来ない。pecomaはこの滝で流心を突破しようとしてあと一歩のところまでいったけど、低体温症の危険を感じて断念。ショルダーで左壁を上がってどうにか巻きました。


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で、そろそろ滝おなかいっぱいだよー。源頭の雰囲気になってくれていいよー、って思い始めたところでツメっぽくなりました。ツメははじめ岩登りで、そのうち笹登りからのネマガリタケ登り。怖い泥壁とかネギ登りとか無いし藪漕ぎも谷川にしてはかなり短かったですが、ネマガリタケがキンキンに冷え過ぎで手の感覚が完全になくなりました。今シーズン初"Barfies"きそうでした。


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そんなこんなでやたらとロープを出したのもあり、稜線に抜けるころには17時を過ぎてました。でも雪にならなくて良かったね!おつかれちゃ〜ん!


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この時間になってやっと晴れてきたみたいでした。おそいよー!


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どぴーかんで満点の星空のもと西黒尾根を下山。水上の夜景もやばかったです。駐車場着は20時半で、何気に16時間行動・・。楽しみにしていた湯テルメは当然閉まっちゃいましたが、乾いた服に着替えられただけでもすごい幸福感でした。セブンのホットラテが美味しかったー!


思いの外充実した一ノ倉沢本谷。全体を通してそれほど難しいところはなかったものの、寒さによって全ての難易度が上がった感じでした。悪さからいえば井戸小屋沢左俣のほうが断然悪かった(笑)。


これにて今シーズンの沢納めとなりそうです。来週からは残り少ない秋、乾いた岩を満喫ですね!







★遡行タイム★
4:30ベースプラザー5:30一ノ倉沢出合ー7:30幻の滝ー10:30本谷バンドー17:00稜線ー西黒尾根ー20:30ベースプラザ

2020/10/3〜4 甲斐駒ケ岳 Aフランケ スーパー赤蜘蛛 〜4度目のトライ備忘録〜

先週末はpecomaとスーパー赤蜘蛛でした。


0_DSCN1075.jpgスーパー赤蜘蛛のハイライトとなる、6〜7ピッチ目、全長70mのクラック。


昨年は10月の台風による登山道崩落で計画していた"赤蜘蛛参詣"を断念したので、今年「待ちに待った」という感じでした。
購入後ずっと山道具部屋の棚に飾ってあった80mロープを開封し、車に積んで、「いざ!」という感じでその日を迎えました。


というほど大げさではないのですが(笑)。


IMG_1279.jpg今年は日本登山医学会公認「甲斐駒ケ岳山岳医療パトロール活動」の一環で、竹宇登山口にて、コロナ感染対策に関する声かけ活動を行っています。
今回は活動終了後、パッキングをして入山!



結論から言うと、レッジトゥレッジでの完登は自分にはまだかなりハードルが高い。
でもチャンスとやる気次第で十分可能性はあるし、達成できたら自分の人生でもなかなかのビッグイベントとなる。
そんな風に感じた、人生4度目のスーパー赤蜘蛛でした。


8_IMG_7949.jpg入山後、8合目の岩小屋に荷物をデポしてAフランケ取り付きまでの下見。途中で見えた北岳!


↓これまでのスーパー赤蜘蛛参詣、その遍歴↓

2013年7月:初スーパー赤蜘蛛→Yosemite遠征前のビッグウォール練習のため、全装備持って登り大テラスビバークというスタイルで。クライミング内容はけっこう破茶滅茶(笑)。

2015年9月:ちゃんと登りに行った2度目のスーパー赤蜘蛛→岩のコンディション悪く実力も足りず、クライミングはやはり散々な内容。私はリードしたどのピッチも満足に登れていない。

2018年10月:ワンデイスーパー赤蜘蛛→Asakoと女子2人でスーパー赤蜘蛛、駐車場から往復20時間22分。つるべで登り、私は奇数ピッチを担当。スーパークラック1P目以外はチームRPというまずまずの内容。次回、レッジトゥレッジでの完登を胸に下山する。


7_IMG_1196.jpg8合目岩小屋から望む北岳。この週末は他にもクライマーパーティが入山しており、しかも知り合いでした(笑)


こうして見ると、2〜3年おきに1度行きたい気持ちが湧いてくるようですね。
たぶん黒戸尾根の長い長いアプローチが、下山後「しばらくいいや」って思わせるのでしょう・・。
思えば、2年前はワンデイだったので荷物が軽くて黒戸は楽だった(下山も走ってたし)。そう考えると、たった1泊しかしないのに重荷に喘ぐのと比べてワンデイも合理的なのかも知れません。


5_GPTempDownload 2翌朝は3時起床、4時前アプローチ開始。2年前、FIXロープが大岩の下敷きになっていてロープを出したところは、新しいFIXが張られていたので、それを使って懸垂出来ました。整備に感謝!


2_IMG_1253.jpg取りつきに5時前には着いてしまって、真っ暗過ぎ。しかし5時半を過ぎてもなかなか明るくならず、複数パーティ居るのもあって、しびれをきらしてヘッデンでスタート。今回はpecomaが荷物係さんを引き受けてくれたのでchippeがオールリードです。


6_GPTempDownload 2ほんの少し、「あわよくばワンプッシュオールRPを・・」という邪念もありました。しかし1P目、核心と思われる部分で躓いて再登ならず!そしてモタモタしているうちにすっかり明るくなりました^^;


3_DSCN1069.jpg9_DSCN1074.jpg期待通りの紅葉と白い岩!まだ手がかじかむような寒さではなく、止まっていると少々肌寒い程度の、クライミングには丁度良い気候でした。



2_GPTempDownload.jpg5ピッチ目、ロープを伸ばしながら、下部ピッチをユマール中のpecomaを見下ろす。まず落ちないようなところはノンビレイで登りました。


1_GPTempDownload.jpgオールリードは疲れたけど、気力体力ともに良いトレーニングになりました。pecoma荷物係さんありがとう!



今回、レッジトゥレッジでの完登はそう簡単なものじゃない、と気付いてしまいました(笑)。6ピッチ目5.11cのクラックをワークして、ムーヴもギアももっと洗練させる必要がありそうです。このピッチ、長さも内容も、この間1撃した錫杖「深夜特急」の核心ピッチより数段難しく感じます。今回はワークする気満々で取り付いたにも関わらず、「雨が降って来た」とか「後続もいるし」とか色んな雑念に豆腐メンタルが負けて、結局ヨレヨレで6ピッチ目を抜けた後、降りて2便目を出す気力は消えてしまいました。


0_DSCN1072.jpg残置ハーケン等も使った上で、持参した2セット+αのギアをほぼ全て使い切った6ピッチ目・・。


8_DSCN1077.jpg6ピッチ目ワークはせず、そのまま7ピッチ目スーパークラックへ。こちらは再登できましたがやはり出だしは悪かった!中間部は内部が3番サイズに広がったハンドクラックで、私にとってはワイドぎみハンド。ランナウトしなければならないこともあってなかなかに消耗します。


IMG_1285.jpgそれにしても似てますね。YosemiteのCrimson Cringeに。この写真は2018年の遠征時のものですが、2018年にはじめてココを登ったとき、あらためて日本のCrimson Cringeへの思いが募ったのを覚えています。


7_DSCN1080.jpg後続パーティをかなり長いことお待たせしてしまって申し訳なかった!


何はともあれ、何となく響きがかっこいいから口走っていた「スーパー赤蜘蛛レッジトゥレッジ」がどういう姿形のモンスターなのか、その全貌や攻略法が自分の中でだいぶ明確になった二日間でした。


6_GPTempDownload.jpg5ピッチ目の途中からはずっと雨が降ったり止んだりの天気となりました。


5_GPTempDownload.jpgでも最後の5.10b/cのスラブは不思議と濡れてなくて良かった!



4_GPTempDownload.jpg久しぶりの終了点岩小屋。


今シーズン2度目はあるのかないのか・・・(笑)。
天気とパートナー次第ですね〜💪


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※今回持参したギア※
カム(キャメとトーテム)#.2×1、#.3〜#.5×2セット、#.75〜#1×3セット、#2×4個、#3×3個、ナッツ1セット(使わず)、OZクイックドロー×5、アルパインクイックドロー(60cm)×8、120cmスリング×4、80mシングルロープ(9.5mm)×1、捨て縄2本(使わず)、アセンダー(フォロー用)

プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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