2018/07/23
2018/7/21 北岳バットレス第4尾根〜白峰三山縦走日帰り〜前編

二俣にて
北岳バットレスはご存知の通り、日本第二の高峰北岳東面にそそり立つ、日本国内では有数のすっきりとした岩壁で、とくに第4尾根は非常に快適なクライミングが出来るとして大人気のルートです。

高度感のあるナイフリッジと化した崩落地をトラバース。その後、新ルートはチムニー状の小ハング超えもあり楽しい
しかし2010年10月に大崩落があり、また崩落する可能性は幾らでもあるとのことで、もう近づかない方がいいだろうと言う意見も多く聞かれます。が、依然多くのクライマーを迎え人気ルートの上位に君臨し続けています。
枯れ木テラスのあたりはその崩落により一部ルートが変わって、以前より少し登りごたえが増しているようです。

ホソバトリカブトと5尾根支稜、Dガリー
私とペコマは、今からちょうど10年前、2008年の7月19日にはじめてバットレスにトライしました。
結果は悲惨なもので・・・。
登り切って無事下山することはできたものの、ほぼ遭難していたといっても過言ではない状況でした。
アプローチを誤って第3尾根に入り込み、間違いに気づきつつもさらに前進して"落石の巣"第2尾根を登攀するという危険を冒しました。

10年ぶりの第2尾根。垂直のボロ壁から、最後はハング超え・・。未熟だった自分たちが辿ったラインを感慨深く俯瞰した
そのときの(恥ずかしい)記録がコチラです。クライミングをはじめ、バリエーションに行きはじめてまだ1年にも満たないころで、とくに私は色々とやらかしてます。今もあまり成長出来ていませんが、この頃は本当に恥ずかしい登山ばっかりしてました。戒めも込めて、今回再度読み直してみました。けっこう面白かった(笑)。
»尾根の向こうの記録(ペコマ記)
»ちっぺブログ

ハング超えのあとはこの長い長いハイマツ帯が待っている。深夜、ここを一心不乱に這い上がったのが懐かしい
その後、バットレスへはなかなか再訪の機会がありませんでした。
冬期にも一度行っていますが、天候敗退で壁には取り付けていません。
ペコマとは、いずれまたちゃんと4尾根を登りに行きたいね、と話していましたが、白峰三山の縦走もセットにして日帰り、さらにタイムアタックにすればもっと充実するかな?ということで今回の山行が決まりました。

アメリカにトレランシューズを忘れて来たペコマはランニングシューズで挑む!
奈良田第一駐車場に前夜入りし、朝一のバスで広河原入りする計画。これなら帰りのバスの時間を気にすることも無いし、奈良田から更に林道を走って鷲ノ巣山を超えて芦安に戻るという過酷なプランも回避できるというゆるふわ計画です♪
登山道はコースタイムの半分、登攀を3時間として計算し、目標は10時間切り!

朝4時半には第一駐車場を出て奈良田バス停へ。すでに数パーティが並んでいた

ギアは8mm40mロープ×1、スポーツQD×4、アルパインQD×5、120cmスリング×3。水分は大門沢小屋まで給水出来ないと考え、ペコマ3L、私が2.5Lを用意。行動食は1000〜1300kcalくらい準備した。クライミングシューズも入れるとトレランザックはぱんぱんになり、ハーネスは装着して走った。ちなみにペコマのシューズはおニューのTCプロ!
バスが広河原に着くと、トイレを済ませて6時半頃出発しました。芦安からのバスが少し遅れて大量の登山者を連れて来ていたので、この渋滞に巻き込まれなくてよかった!と心底思いました。

ぴーかん!でも今シーズン入ったどの山よりも涼しくて快適

ここが一番きついところ。ペコマの檄が飛ぶ!(笑)
大樺沢ルートは未整備で通行止めとなっていました。実際、ところどころ足場が崩れていました。そのせいもあって途中から少し登山道を外れて沢登りしつつ、二俣へ。標高はまだ2000mに満たないながら、雪渓があるおかげか沢を吹き下す風は天然のクーラーです。まさに念願の避暑ランニングでした。
大岩が目印のバットレス沢を過ぎ、ほどなくして水流のあるC沢に出合います。そこからD沢を少し詰めてトラバースし、C-D沢間の尾根の踏み跡へ。順調にアプローチし、広河原から2時間で下部岩壁取り付きに到着しました。

C沢出合にて、こんなにしっかり水流あるならここまで水500ccで良かったなあ、と思っているところ

Dガリー大滝取り付き。雪渓の崩れる音が空洞に反響していた。鳳凰三山の稜線も美しい
先行が居なさそうならDガリー大滝でアプローチすると決めていました。だーれも居ないのでレッツゴー!
ここでアンザイレンし、8時40分登攀開始です。

III級程度とのことだったのでトレランシューズでリードしましたが、ここがこの日の登攀中一番悪かった気がします。。

緊張したよー。快適な4尾根はまだかなー?

大きなハング下のバンドをトラバースしてCガリーを目指します

多くのネット上の記録にもあるとおり、Cガリー側まで行くと赤印があってヒドンスラブまで導いてくれます。尾根直登ルートの前を横切るとき、2パーティくらいが登っていましたが、その後の登攀中もルート上で出くわすことはありませんでした。

ヒドンスラブはペコマがリードして、4尾根取り付きへ。快適なテラス!登攀開始からここまで1時間もかかってしまった。。。
ついに念願の第4尾根登攀開始!じゃんけんで勝ったペコマから登り始めてコンテです

ひゃっほー!なんだこの快適さは!下部岩壁と大違い!

1回リード交代し、またコンテ。すぐにマッチ箱に着いたので懸垂してまた交代。快適だけどあまりに短い

マッチ箱を振り返る。高度感は最高!

この快適なクライミングがせめとあと2倍くらいあったらもっと楽しいのに。終始岩場貸切りで、11時登攀終了しました

そしてここから20分の歩きです。お花が綺麗過ぎて、写真を撮りながら山頂を目指します。ペコマは高度障害で頭痛がはじまっているようでした・・
写真が多いので後編へとつづきます!
コメント