2019/08/19
2019 8/6〜8/7 アルパマヨ登山記録 〜登山開始。奮闘の歩荷〜2019 ペルー旅行記その4〜La chica solita y cansada en Alpamayo

Instagramをやっていると、"クライマー"とか、"ひとり旅"とか様々なタグをつけます。
基本的に、登録数の一番多いものを選んでつけていますが、日本語(や英語)だと"クライマー女子"とか、"女ひとり旅"とか、"女"という単語をくっつけるパターンも非常に多いです。
でもなんだか、"女"をつけるのって、強調しているようで、少々野暮ったい感じがあるなと思っていました。
スペイン語も勿論、ヨーロッパ系言語は名詞に性別があったりそれにより形容詞が語尾変化したりします。
今回の旅でも、”¿Solo?”(ソロなの?)と聞かれることもあったし、”¿Solita?”(独りぼっち?)と聞かれることもありました。後者の方は、この一言で”独りぼっちの女性”ってことが表現できている訳です。
そして最近、"旅人、旅行者"という意味の”viajera”という単語を知りました。これもこの一語で女性であることが分かります(男性ならviajeroになります)。
今後の生活スタイルがどうあれ、心は常に”ビアヘーラ”で居たいな。と、今回の旅は、そんな自分の気持ちを再認識する旅にもなりました。

8/6、9時。Cashapampaを出発し、歩き始めます。
朝方は冷え込むものの、この時間帯になると既に強い日差しでかなりの暑さになっています。

1時間も経たないうちに30kgを超える荷物は貧弱な肩に食い込み、力んでいる僧帽筋やら広背筋やら?首肩周りの筋肉は疲労を訴え始めます。
ロバを雇っている人たちは、アルパマヨの人しかり、トレッキングの人しかり、めっちゃ小さなザックで軽快に通り過ぎていきます。ロバの大群とも多数すれ違い、そのたびに脇へ避けます。

ロバはこの重荷で走ってるからね。強すぎる。
わずか30分おきのザックを降ろしての休憩(大きい岩が必要)と、さらに短いスパンでの荷重を抜くだけの小休憩。慣れない重荷なのでザック麻痺も心配です。
ま、マイペースで行けばいいや。
と自分に言い聞かせながら歩いていましたが、お昼頃、GPSを見て現在地に驚愕しました。
えっ。まだ1/3〜!!?
本日の行程は10km。見積もりは5時間でした。
しかし、3時間半歩いてまだ1/3しか来ていない。ということは・・・
今夜の目的地であるllamacorralまで、単純計算でさらに7時間くらいかかることになります!!なんてこった!

とにかく暑い・・!
遅すぎか・・・
とペースを上げてみるものの、蓄積した疲労でやはりすぐ休憩してしまう。
SpO2は低くないのにレート(心拍数)が上がっているという始末です。
背中のザックが重過ぎるのです。パッキングを工夫しようにも、容量ギリギリだから為すすべがない。右へ左へ後ろへ、好き勝手に私を引っ張る荷物。歩き始めて数時間後から、私はこのザックを"輩"と呼んでヤカラ扱いしていました。文句を言ったり(笑)。
道中なんども、buro使いの人が通りすがりに”buro使う?”と聞いてきたり、ザックを担ぎ直そうとしていると"手貸そうか?"と心配される。
はじめの登りを終え、あとはダラダラと沢沿いを歩くだけです。
えーい!!拉致があかん!!!
と、ザックを放り投げました。
1つにまとめるから逆にキツイのかもしれない。そう思い、パッキングしていたものを全部ぶちまけ、底からアタックザックを取り出して、荷物を2つに分ける作戦に出ました。この道なら前後ザックでも普通に進めます。
前に重くて嵩張らないものを担ぎ、足の動きを妨げない程度の大きさに留める。これだけで背中の荷物が軽くなり、だいぶ楽になりました。
そして、次にburoの人が声掛けてきたらお願いしよう、って思いながら歩きました。
でも"次"はとうとう訪れませんでした(笑)。
このあと、すれ違ったガイドパーティ。なんとお客さんは日本人です。しかもアルパマヨに登るという。

あとで分かったのですが、この方も御多分に洩れず知り合いの知り合いでした(笑)。さらに同業者だったり、職場が今の私の住所と近かったりと、驚くことがたくさんでした。
Wilderと言う名の現地ガイドさんは"あと45分だよ!"と教えてくれました。一時は、到着21時すぎるかと思いましたが、何とか暗くなる前にテンバに着けそうです。よかった!
すでに疲労困憊だけど!

というわけで、16時に最初のキャンプ地となるllamacorralに到着しました。
行動時間7時間。見積もりの1.4倍の時間がかかったことになります。まあ、見積もりはロバを使っている人のサイトを参考に出した時間だから、無理もないか・・。

働いたロバたち自由に休憩中。馬たちはケンカしてた。
水をとり、さっさとα米の夕食を終えて、明日も早く出なきゃ・・と寝ようとしていたら、先程すれ違った日本人Yさんがテントまで来てくれました。なんでも、ガイドのWilderが私を夕食に誘ってくれていると言うのです!
喜び勇んで18時半、快適なキッチンテントにお邪魔しました。

サンキュー、シェフ!
スープにはじまり、アジみたいな魚のグリルや、お茶、デザートまで!!
超豪華ペルー料理を頂きました。本当に美味しかった!

¡Muy rico! あと、タンパク質とれて最高に嬉しい。
そして、食事をしながらYさんとWilderと、色々な話をしました。
スペイン語勉強中だけど難しいとか、Wilderは日本語勉強中だとか。山はどのくらいやってるのかとか。Yさんは同人青鬼の某王子つながりだったので、某王子の噂話をしたり。そんな他愛ない会話の中で、Wilderはこんなことを言いました。

いっただっきま〜〜す!
「アルパマヨで、ソロクライマーが墜落する事故があり、その下にいたクライマーの首元にアイゼンが当たって怪我をするという一件があって以来、アルパマヨのソロクライミングは禁止されている。だからひとりで登るなら、誰もいないときに登りなさい」
これまで様々なサイトを調べてきて、アルパマヨの事故といえば2003年7月に起きたFerrariルート上部の雪庇崩壊による8名の死亡事故くらいしか知りませんでした。ソロクライマーが落ちたって、そりゃ確かにフリーソロは危ない(し、ソロクライマーがフリーソロになりがちなのも分かる)けど、本質的にソロクライミングってまたフリーソロとは別モノだし。そのクライマーがダメだっただけでソロのせいではない気が・・。それにアンザイレンしてたってどうせどランナウトなんだから、同じような事故は起こりうるじゃん・・。
とか色々と思うところはありつつも、どうやらそれが現在のルールのようです。
(あとで聞きましたが、本来であればカサデギアスの人がその事を教えてくれて然るべきだったようですね)
それに、"誰もいないときに登る"って・・。
そんなこと可能なのだろうか?
でも彼は言います。
6、7月がハイシーズンだけど幸い8月はクライマーが少ない。現に今このキャンプにも我々と、フレンチパーティが1組居るだけだ、と。
なぜ6、7月が人気なのか聞くと、やっぱり天候のせいらしいです。ただ、8月も十分過ぎるくらい毎日晴れています。例年こんな感じだそうで、8月後半あたりから崩れはじめ、9月からは雨季に入ります。とりあえず今年はいまのところ全く問題ないね、と言うことでした。
聞くと、彼らは全6日の行程だそう。明日BCまで、明後日一気にHCまで上がって、明々後日登頂というから驚きました。ポーターもキッチンスタッフもいて、かつ順化が出来ていればそれが可能なのか。と。
私はその倍くらいの時間をかけて登ることになるでしょう。この分だと明日BCへ着けるかすら怪しいです。更にそこから先は、1日ではキャンプアップ出来ないでしょう。荷を2回か3回に分けて揚げる必要があるし、順化の問題もあります。
ま、マイペースでいこう。彼らとは今夜でお別れかな。
そんな風に思っていました。

とても甘くて不思議な食感がクセになるフルーツを使ったおデザ。フルーツの名前は忘れた・・
お腹いっぱいになり、テントに戻って寝ました。明日は4時半起床で出発だ!
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