2019/08/20
2019/08/07〜08 アルパマヨ 登山記録〜Base camp からMorain Campへ〜2019 ペルー旅行記その5〜 07/08/2019-08/08/2019 hasta Campo Morrena Alpamayo
8/7、4時半起床。起きたらinReach Miniの電源を入れ、空気孔から手だけを出してテントの外に取り付ける。
シュラフは#2、防寒具も薄い化繊のビレイジャケットのみだ。予報では山頂ですら-10度いっていないのでこれでも余裕と思っていたが、やはり深夜から明け方にかけては、この標高でも熟睡は出来ない寒気に包まれた。
面倒くさくてフライを張っていないから、より標高が上がってもまだ切り札がある、と自分に言い聞かせる。しかない。

今回、α米や水戻しパスタの半分の値段だったので、朝食用にリフィルヌードルを購入した。山の中ですら、カップ麺なんて十何年ぶりだろう?という位、普段カップ麺というものを食べない。
今朝はどん兵衛にした。ものすごく美味しくて感動した(笑)。クセになるかも。
それほど急いだわけでもないが、テント撤収して6時には歩き始められた。

朝6時はまだ暗い。
今日は最初から前後ザック作戦。そのせいか、良いペースで歩けた。

しかし、ふとした瞬間に足を取られ転んだ。ほぼ真っ平らだが、不揃いの石畳で固められた道に差し掛かった時だ。少しでもバランスを崩した途端、自分の身体と違うところに重心がある身にはもう成すすべがなかった。
慣性のままに、というか、前のめりに倒れて、そのまま頭が下になるところまで行った(笑)。スネとおでこを打った。どちらも軽症で済んだ。
これが崖っぷちの道だったら・・即アウトだ。
それ以後、考え事はせず、足元に意識して歩くよう心掛けた。
それにしても、昨日とは比べ物にならないくらい良いペース。昨夜は「明日大丈夫かな?」と心配になるような疲労感だったのに、今朝起きたらすっかり元気になっていた。

周りの景色を楽しむ余裕はないが、余りにピラミダルなArtesonrajuの姿だけはついつい見惚れてしまう。

Jatuncocha湖はLlamacorralから約2時間ほどのところにある直径1kmほどの美しい湖。水がとにかく綺麗で、魚もいっぱい居るらしい。このほとりにも気持ちのいいテンバがあるが、主に泊まるのはトレッカーで、アルパマヨ登山の人でここを利用する人は少ない。
そうは言っても、30分〜1時間おきには大きい岩を見つけて休憩する。途中、砂浜みたいな大平原をずっと歩くようなところがあり、めぼしい休憩用の岩もないので辛かった。"ライフセーバーのトレーニング道"と名付けて、「はやく終わらないかな〜」とぼやいていた。

ロバ強し。動きを見ているとけっこう賢そう。ある程度自主的に動くし、他のトレッカーの邪魔にならないよう立ち止まったりもする。
Llamacorralから8kmほどでサンタクルストレイルを外れ、アルパマヨへ向かう谷へと入っていく。
明らかにトレッキング風の家族連れなども結構コチラへ来ていて「アレ?」と思ったが、BCまではトレッカーも多数訪れるようだ。
ここからは標高差350mほどの登りになる。でもかなり細かく九十九折っているせいで道自体の傾斜はそれほどでもない。まだまだ前後ザックで余裕だ。

アルパマヨBCには14時過ぎに到着した。BCは沢山のテントで賑わっていて、とてもオフシーズンとは思えなかった。
そういえば、結局Yさんたちに会わなかったなあ・・。
"絶対どこかで追い付かれるから。アスタマニャーナ!(また明日!)"と言って昨夜別れたのだ。
まさかYさんがお腹を壊してダウンしていたとは、この時知る由もなかった(笑)。

シューズにたまった砂。サンタクルストレイルの砂加減はかなりのモノ。富士山の砂走りを駆け下りた後よりも凄いことになる。足も真っ黒。
まだまだ余裕があるので、今日中に荷揚げしようと思い立つ。
テントを張り、休憩して、揚げる荷物(主にギア)をパッキングした。17時下山開始と決め、15時20分頃にテンバを出た。

昨日のうちに、今後のプランは練り直してあった。
もっと荷物を減らさないと登れないのは明らかだ。
まず、HCの滞在日数を減らす。天気はきっと大丈夫だし、天気待ちなどしない。キタラフも行かない。で、HC滞在は2泊と決める。そうして、食料燃料だけでなく、その他の装備ももっと切り詰め、BCとMCとにそれぞれデポする。

標高が上がると、BCの背後に水をたたえる巨大なArhuaycocha湖が見える。大きさはJatuncocha湖とほぼ同じくらい。氷河の侵食で出来た湖だ。ちなみに”cocha”はケチュア語で”湖”。
MCからHCへのキャンプアップが1日で済めば理想で、無理でも2日以内に収めたい。ということで、MCに揚げる荷物は4泊分のみでいい。ガス缶も4つもあるけど、BCに1個置いていくことにした。
この日はMCにはたどり着かなかったものの、標高4800mくらいまで荷揚げすることが出来た。
荷物が軽いとこんなにも違うものか。

休憩中に測定。
道中、ギアを担いで降りてくる人とすれ違い、下山の人だなと思って話しかけた。有難いことに英語が通じた。彼らは無事登頂したようだ。French Directの状態を聞くと"Good good!"と言うので嬉しくなる。また、Morain Campで水が取れるのか定かでなかったので聞いてみたら、「とれるよ。氷河が溶け出したストリームがある」という。それなら安心だ。

雪に埋まってロストしたりするはずもない安心感のあるデポ(笑)。
17時半過ぎにはテンバに戻り、α米のご飯。
今回、味のあるご飯は2食分だけで、あとは全部白飯。ゆかりとごま塩を持ってきたが予想以上に味気なかった。やっぱりいつもみたく牛飯とか、ビビンパのやつとか、買えばよかったなあと後悔する。
でも・・明日の朝ごはんはリフィルヌードルだ!
そうやって自分を励ます。シーフードヌードルか、カレーヌードルか、どん兵衛のたぬきと狐も選べる。
よし。早く明日の朝が来るよう、早く寝よう。
8/8も4時半起床。

で、シーフードヌードル〜!
72gで400kcalというのも嬉しい。
今日MCに上がれるのは確実なので、それを踏まえてBCに置いていく荷物を仕分けした。けっこうな量になった。
デポ袋的なものは何も用意しておらず、日本の100均のポリ袋でデポしていくというのが何とも心許なかった。ただ、BCには大きな掘っ建て小屋みたいなモノがあって、デポ荷物置き場みたいになっていたので安心した。

一応、盗られて本当に困るようなものは置いていかないようにした。

荷物が軽い。順調に高度を稼いでデポ荷物を通り過ぎ、9時くらいにMCに着いた。まず、いいサイトを確保する。水場の近くがいいな、と思って水場を探した。耳を澄まして場所を探る。しかし・・・水音は全く聞こえてこない。
困ったな・・と思いながら、適当なところにテントを張ってデポを回収しに行った。

絶景なり!

やはりArtesonrajuが目につく。面白そうなmixルートもあるのでパートナーを見つけてまた来たい。
11時頃、デポを持ってMCに戻って来た。これからまたHCまでの荷揚げに行きたい。でも、水を確保するのが先決だ。仕方なく、ものすごくしょぼい雪渓の生き残りみたいなやつを採集することにして、スコップ代わりのスノーバーとアックスを持って窪んだところへ降りた。
するとその途端、左のほうからハッキリと分かる水音が急に聞こえてきた。
あーっ!ある!あるぞー!
嬉しかった(笑)。

あった(笑)。
音のする方へ行ってみると、本当に小さくて濁ったストリームがあった。でも水量は豊富。そして私にはカタディン浄水器があるから何も怖くない(笑)。
水を3Lほど確保して、デポ荷物をパッキングし、11時45分に荷揚げを開始した。
モレーン帯のガレ場を詰め上がる。ケルンを辿っていくが、あまりいい道が分からない。

そしてついに、氷河の取り付きへ!バツーラに換装してアイゼンを装着。やっと雪山登山の開始だ!
この時間になると雪は多少腐ってくるが、それでも踏み固められたトレースは歩きやすい程よい固さ。雪ダンゴも全然つかないし、いい傾斜でグングン高度を稼げる。ガレよりもライフセーバーのトレーニング道よりもはるかに歩きやすくて疲れない。

SpO2も、起きて行動している分にはとくに下がらないようだった。
それでも標高5200mを超えた辺りから明らかに息が切れた。途中、雪庇の突き出たナイフリッジや幅1mほどのクレバスの通過があり緊張する場面もあった。

行きはアックスを効かせてまたぐ。帰りはジャンプ!
標高5300mを少し過ぎたくらいで、設定していた下山開始時刻になったので終了とした。この少し上からロープを出すことになるのだろう。

ここからだとまだラインが全然見えてこない。一体どこを登るというの?

フレンドリーなフレンチパーティも荷揚げのため上がって来た。彼らは私より50mくらい上、壁の直下まで行っていた。
MCには16時半頃に戻って来られた。ゆっくり身体の手入れなどして、ココにデポする荷物を仕分けした。ガス缶をさらに1個減らし、ソーラーパネルも置いていってモバイルバッテリーだけにする。明日は冬装備でスタートするので、ここまで着てきた衣類やトレランシューズもデポ。
明日の荷物はかなり軽そうだった。

MCには私のほか、4張りくらいしかテントがなかった。
荷揚げの往復中にもすれ違わなかったし、Yさんたちはどこに行ったのかな・・。
寒い夜に備え、フライを張った。

今夜も白飯にゆかりとごま塩。なかなか食が進まなくて、最後はお湯を追加して流し込んだ。
行動食も1日800kcalくらいと、いつもの山行の時より少な目に設定して用意しているのに、なかなか1日分を食べ切ることができない。なるべくお茶などと一緒に、夜に残りを消費するよう心掛けた。
テント内でモニターをつけると、SpO2:75%くらいまで下がっている。
意識的に深呼吸し、早く寝過ぎない方がいいな、と思う。

いつも無意識に行なっている呼吸という作業は、意識的に行うとすごく疲れる。一般に食事中はSpO2が下がると言われるが、単に換気量が減るシチュエーションでもれなく下がる。更に、寒くて、ほぼテント内を締め切った状態で火を焚いているのも良くないんだと思う。通気孔から直接外気を吸ってごまかす。
こりゃ睡眠中は結構下がりそうだね・・。
明日、HCに上がれるだろう。そんな確信が持てた。
アルパマヨ南西壁との対面まであと少し!
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