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シンデレラボーイに魅せられて。

明日からキリマンジャロ。
パッキングも全然終わってないのに、またやって来た。






実をいうと、前回のブログのすぐ後の土曜日にも来てた。で、いつも通りほんのちょっとだけ進展して、またお家に帰った。


私は昨日、メラメラガールズ仲間の強強クライマーのSちゃんからある記事を教えてもらって読んだ。


メンタルが強いエピソードで有名なイギリス人クライマーHazel Findleyさんの、メンタルトレーニングに関する記事だ。


https://www.blackdiamondequipment.com/en/experience-story?cid=hazel-findlay-mental-training-part-3


本当にいい文章なんだけど、まずマインドセットはものすごく共感できた。というのも、ほぼこの24日間でシンデレラボーイというルートから学んできたことばかりだったからだ。


何故そのルートに挑戦したいと思うのか。モチベーションの出どころは何処なのか。Hazelさんは、それが"end-based"(結果至上主義的なもの)や"fear-based"(ネガティブな感情からくるもの)では、本来やるべきことを見失い良い結果を生まないという。
彼女の言葉で、"process-based"、つまり登れたかどうかではなくその過程こそが重要、そういったマインドで取り組んでこそそのルートから多くの学びを得られ、結果として完登もついてくるのだという。


私は、このルートはもちろん通過点だし、この挑戦を通して成長したいという気持ちで取り組んできた。でも実を言うと、初めからそうだった訳じゃない。「すぐ登れる」と思っていて全然登れなかった時、自分をすごく腹ただしく思ったこともある。結果を求め、「登れない自分」を否定したいという"fear-based"なモチベーションでトライしていた苦しい時期があった。


「この取組で私は成長出来る」


トライを重ねるごとに自然とそういうポジティブな気持ちになれたのは、このルートが今の自分にとってそれほど奥深くてやりがいのあるルートだったからだ。


しかし完登は更にその先にある。この記事では、"Mind Control"という5.14cのルートを登ったときの体験談を交えながら、HazelさんがProjectにトライするときの精神コントロールについて分かりやすく解説してくれている。


それが今日、役に立った。
そして本日2便目で、ついにシンデレラボーイを完登することが出来た。




キモの第一が、"focus"
"集中"だと彼女は言っている。そしてその方法として、岩に取り付いたなら、たちまちあらゆるdistruction(雑念)を意識の外へ追いやる必要があると言う。
ここで言う雑念とは、以下のようなもの。


「今日はいつもより調子悪いかも」
「岩の状態が悪い」
「暑すぎる」
(レスト中に)「この前のトライより余裕ないな」


それに、こんな"イメージ"なども雑念の一種だ。
「終了点にクリップしている自分の姿」
「この先でムーブをミスする自分の姿」


シンデレラボーイは、私がやったことのあるルートの中で最長クラス。レストポイントは勿論、登っている間にも様々な雑念という雑念が去来する。


ここのところ毎回落ちていたチリコンカーンの核心部でも、一手出すごとに雑念が浮かんでいた。


まず、その手前のレストポイントで色々考える。




「いつもより疲れてるな」
「いつもより腕残ってる。いけるかも!」
「この便できめなきゃ」


そして頭の中はチリコンカーン核心部のムーブが高速再生。


こうした雑念を追い出す具体的な方法もHazelさんが教えてくれている。


"Focus your attention on the here and now"


"here"に"the"がついているのが粋な感じがするけど、とにかく今目の前のことだけに集中する、ということなのだ。
だから、終了点クリップする映像とかがちらついてはいけない。


私は今日の1便目、片手5シェイクずつと決めたレストをしながら、次から次へと浮かんでくる雑念を必死で振り払っていた。それでもふとした瞬間に、何回も落ちてる核心部のムーブを考えてしまう。


今はとにかくレストに集中!い~ち、に~い、さ~ん、と数えながらシェイクしてなんとか雑念を追い出した。


そしていよいよ核心部へ。


スローピーなガバをピンチ持ちして足おくる。
クロスではじめのちびカチを丁寧にカチる。


Hazelさんが言ってた通り指先の感覚のみに集中する。


次に右キョンぎみでツノに右手。
左キョンして左手カチ。


ここでほんのちょっと雑念きた。


「足残ってる!」


で、重心を整えて、坊主(ってみんなが言うスローパー、実質最後の一手)に右手を伸ばす!


足が切れない!やった!いいところに持ち直す!


ここでまた雑念。


「いけるかも!」


その次はぱーんと足を切らなければならないのだけど、ここで結構振られるのを背中と体幹で止める。






ここで耐えきれず、落ちた(笑)。


落ちながら、笑ってた。


「あー、こうして意識してみるとホントに雑念入りまくりなんだなー。そりゃ落ちるわ!」


と。

(関西風に言うと「雑念めっちゃくるやん!」てかんじ)


そうして、次の2便目ではそこを修正し(=雑念を追い払って自動化したムーブをただ粛粛とこなし)、完登した。


最後の最後まで楽しませてもらいました!


そうして改めて考えてみると、先週は実に雑念だらけだった。「湿気すごいなー」とか、ペコマが職場の宴会で先に帰る予定だったのだけど、「ペコマと一緒に帰りたいからこの便できめたい!」とか。


Hazelさんは、地上でさんざん色々考えていいし、なんならレスト中も雑念モードでもいい、でもきちんと"swich on""swich off"をして、登り始めたら"focus"する、それが大事なのだと言ってた。いやー、本当にいい文章なので皆さんも是非読んでみてください。




今日は気温低めだけど日差しが強く、しかし結構な強風というなかなかにいいコンディションの日だった。でも1日我々だけの貸切だった。





ビレイしていただいたのは、クライミングジムランナウトのスタッフの先輩であり"神"のS本さん。今日は同じくランナウトの先輩で、私たちのクライマーとしての基礎を築いてくれたI田塾長とも久しぶりにご一緒した。


わたしが大学生の時からなので、もう10年以上もお付き合いさせていただいているが、この3人で外岩に来たのはこれがはじめてかも。(冬の八ヶ岳にはこのメンツで行ったことある気がする)

久しぶりにランナウト勢が集まって登った楽しい日だった。


2年前オレゴンのREIで買ったクライミングレギンスタイツ。欧米では女子クライマーのほぼ10割近くがタイツ一丁で登っているが、日本では馴染みがない。すごく快適なのでぜひ流行らせたい。とりあえず新しいの買う。カナダいったとき買う。


この後もう一度シンデレラを登って"坊主振られ落ち"して、風に吹かれてを登り早めに帰りました。
パッキングしなきゃ・・。


最後まで怪我せず持ち堪えてくれた指たち。まだよろしく!


これで海外出張二本立て終了後はまた気持ちよく次の岩場へ行けますね。
まだまだ頑張るぞー!
クライミング楽し!!




先日の肉部活動。






会員制肉料理屋さん29ON池袋店で部活でした!


あ、クライミング優先して全然走ってない・・^^;



↓完登動画🎥✨↓






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プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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