2020/03/02
アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5895m)登山~山岳医として自身初の海外高所ツアーに学ぶ
クラブツーリズムさんという大手旅行会社さまのツアーでキリマンジャロに行ってきました!
知人を通じて頂いたこのお話、"山岳医"としての参加依頼です。
こんなに嬉しいことはありません!

ジャイアントセネシオとキリマンジャロ本峰であるキボ峰。天気にも恵まれ、"ザ・キリマンジャロ!"という景色を沢山見ることが出来ました。
"世界最高のトレッキングピーク"として、世界中の一般登山者やトレッカーが挑戦するキリマンジャロ、Maranguルート。特別な登山技術や道具を要しないということで、比較的簡単に登れる高山と見なされているようです。

火山であるキリマンジャロの2つ目の峰、マウェンジ峰と白首鴉。
しかし実際は少し違います。山小屋のキャパシティ等の関係から、通常行程でかなりの弾丸登山を強いられます。1000m以上の睡眠高度上昇はほぼ毎日で、更にアタック日には夜間行動からの標高差1200mの登高。しかも登頂後はそのまま一気に標高差2200mを下ります。山慣れしている人ならいざ知らず、登山歴がほとんど無い人や、そもそも運動習慣のない人、持病のある人などにとっては非常に厳しい"ハイキング"と言わざるを得ません。

山小屋でのアフタヌーンティータイム。高山病予防のため、沢山水分をとってガンガントイレに行きます。
しかし、そうした人々も多数チャレンジするのがこの山で、それ故に高山病関連疾患や死亡事故の起こる潜在的危険性が高い山とも言えます。

ミウラドルフィンズの安藤さんと!
これまでキリマンジャロのことをあまり知らなかった私は、色々と調べていくうちに「こうした登山こそ、山岳医の介入する余地があるのではないか」と思いました。今回は計5名、平均年齢65歳超のお客様方に安全に登山を楽しんでいただき、笑顔で無事帰国していただくことがミッションです。対応するスタッフは、添乗員のHさんと、高所の専門家であるミウラドルフィンズの安藤さん、そして私の3名です。「とにかく安全第一」とクラブツーリズムさんが言って下さったこともあり、これはやりがいのある仕事になるぞ、と思いました。

今回のメインガイド、Kimと。
東北の高校生の富士登山でも、高校生たちとの間には歳の差がかなりありますが、今回のお客様方とはそれ以上の年齢差があります。成田空港にそれぞれいらした際、ご挨拶しただけでは人となりもまだ分からず、はじめはどう接するのが良いか少し戸惑いもありました。しかしそんな不安はすぐに吹き飛んでしまうほど、とても優しくて楽しい方々ばかりでした。初ツアーで本当にお客様に恵まれた、というのが正直な感想です。そしてスタッフの安藤さんの明るさと添乗員のHさんのユーモア溢れるキャラクターも相まって、全員がすぐ打ち解けていったような気がします。

バス車内!
登山はやはり生易しいものではありませんでした。それでも、普段からお身体を鍛えている方や個人山行で練習してこられた方もあり、皆さんが事前にミウラドルフィンズの低酸素室で高所順応もされていました。力足らずで、全員とはいきませんでしたが、多くのお客様が登頂され、そして皆さんが元気で下山されました。帯同医としてこれ以上ない成果と思っています。

頂上台地を進む!
しかし、課題は山積みです。登山中、お客様の健康状態把握ためにも、そして今後の山岳医療の発展のためにも、様々なデータをとらせてもらいました。現場で現地ガイドの要請も聞きながら、お客様に対して難しい判断をしなければならない場面もありました。長い長い下山中、さまざまな反省点や改善点やアイデアが頭の中をグルグル回っていました。キリマンジャロ登山について、考えることはいっぱいです。

ご来光!
そうした意味でとても面白い山だと思います。この6日間は山岳医として本当に多くの学びを与えてくれました。

みなさん本当に本当に良い時間をありがとうございました!
さて、そのデータやアイデアを整理する時間も無いまま、今日からまたカナダに行きます。あと1時間後にフライト。今度はカリマーのお仕事です。カナディアンロッキーでスノーハイクやアイスクライミングの撮影です。
Canmore訪問はこれで3度目ですが、アイスクライミングで行くのは2度目、2017年のお正月ぶりです。

テンション鰻です!!お買い物もするぞ!
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