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3年ぶり2度目、待望の"氷の国"再訪〜カナディアンロッキーでアイスクライミング〜

12日間のツアーを終え、カナダから帰国しました!


fc2blog_20200316150042005.jpgただいまー!


カナダは、今までに訪れたなかでも大好きな国のひとつです。

人々がおおらかで、ありとあらゆるフィールドアクティビティが生活のすぐ側にある国だと感じています。
(東の方は全く行ったことないですが・・)


IMG_5062.jpgWeeping Wall Right-handed。黒ッコはペコマから借りて行きました。最終日に白ッコ買いました。安かった。


西海岸沿いのスコーミッシュは花崗岩天国で、これまでに2度登りに行きました。
そこから内陸に約900km、カナディアンロッキーの谷底にあるキャンモアは、今回で3度目の訪問です。
初めて訪れたのは3年前のお正月でした。その時に刻み込まれた"氷の国"の強烈な記憶は、ふたたびこの地を踏みたいという気持ちを日々募らせるものでした。


2度目の訪問は2年前の6月で、青鬼"まっちゃん"の生活拠点をたずねながら気ままにクライミングを楽しみました。
夏のロッキーも素晴らしいです。
そして、アイスクライミングを目的としたツアーとしては今年が2度目となりました。


IMG_5075.jpg初日、Louise Fallsでロケハン。今回ドローンが使えないとのことで、どうしたらいい画が撮れるか試行錯誤でした。


今回の旅はプライベートではありません。
私がサポートを受けているカリマーインターナショナルの製品プロモーションのための撮影のお仕事でした。
私がメインで関わらせて頂いている、ハイエンドモデルを開発する"Ultimate"シリーズの製品撮影と、ハイキング向けモデルである"Explorer"シリーズの製品撮影を全日程で完了します。そして"Explorer"のモデルさんは現地の欧米人男女が必要とのことで、モデルの手配や彼らとのコーディネート役も私が務めさせていただきました。そんな英語出来ないけど・・・^^; でも英語を話すお仕事をもらえるなんて貴重な機会は、こんな特殊な環境でもない限りありえないので、私としてはラッキー!なことでした。


IMG_5074.jpgHaffner Creekでのヒトコマ。手前にボケているのは氷筍。世界初のM10といわれる"ケイブマン"のヌンチャクも写り込んでいますね。構図が美しすぎ!そして私の手足が長く見えるという高度テク(笑)!


結果として、登りたかった氷を登ることができ、モデルさんたちともいい関係を築け、撮影も上手くいって、とてもよい経験をさせてもらえました!


IMG_5066.jpgとっても根気強くコチラの要望に応え続けてくれたCanmore在住Jamesさん。Thank you so much!!


私たちが身を投じて興じている登山やクライミングといった遊びは、完全なる自己満足の世界です。でも今回のような「撮影」というお仕事は、何らかの形で社会に還元される「モノづくり」の一種。


IMG_5065.jpgGrotto Fallsでの撮影のヒトコマ。時にはアックステンションしてカメラマンの"Go"の合図をひたすら待ちます。撮影は撮る側も撮られる側も忍耐が必要です。


IMG_5097_20200316145614f19.jpg巨大な一枚氷"Weeping Wall"と、バンドをはさんで更に上に形成された"Weeping Pillar"。3年前は丸1日かけて、下部Weeping Wallの右側のラインを登り終了しました。今回は上部Pillarにも挑戦します!下部だけで120m、上部だけで120m、あまりにでかい!でかいは、正義!!


IMG_5098_2020031614561607d.jpg今回は、下部Weeping Wallをより簡単な左寄りのライン、"Left-handed"で駆け上がって、午前中のうちにPillarとご対面しました!PillarはWallより雪崩リスク高めとなっていますが、Pillarへのアプローチ途中の雪田がその一因だろうと思われました。人と比べてこの大きさ!120mのPillarを間近にして、その巨大さに改めて心奪われます。


IMG_5104.jpgPillarの核心部となる2ピッチ目を、じゃんけん無しでリードさせてもらえました!感謝!バンドから望遠で撮って頂いた1枚です。すごい迫力ですね。計23本という、いまだかつてない大量のスクリューが腰で踊っていました。6本余ったけど。。



IMG_5068.jpg1ピッチ60mのうち、その2/3ほどがバーチカルなつららの集合体。パンプに耐えながらのクライミングでしたが、とっても充実しました。小雪降るなかのクライミングで、Pillarに陽があたることもなく安心して登れました。


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成田さんとNくんと私と。登攀メンバー3人で、登り終え下降後に氷瀑と記念撮影。行動時間12時間+往復4時間ドライブという長い1日でした。


アイスクライミングは総じて危険性の高い遊びです。
時には、つららの集合体でスカスカいう氷にスクリューを精神安定剤よろしくねじこんで、ランナウトに耐えながら、些細なミスも許されないクライミングを恐る恐るこなすというようなことが要求されます。そうしたリスク、時として命にも関わるようなリスクを許容する行為も、その全てが、「一体何のためにやっているのか理解不能」な自己満足でしかないわけですが、それが「モノづくり」という生産活動の一部分になりうる。何ともシニカルで、しかし面白いことです。私はこの仕事に大きなやりがいを感じました。


IMG_5087.jpg撮影の目処がたって、ツアー終盤に本気トライ。前から憧れていたCurtain Callです!なんて美しい御姿!


IMG_5091.jpg遠くから見るとこんな感じで、雪崩リスクの低い日にトライしたいラインです。


IMG_5089.jpg今回は成田さんと2人での登攀。私はまたしてもじゃんけんすることなく、核心となる2ピッチ目をリードさせてもらえました!ありがたや〜。コチラはその2ピッチ目を拡大した写真。独立氷柱の上1/3ほどのところに亀裂が入っているように見えますね。おそろしや〜。


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氷瀑の間近から見上げた姿。威圧感ハンパない!!


IMG_5071.jpg2ピッチ目出だしはうろこ状を登る。必然的にプロテクションは限られます。氷は硬くて安心感があったけど、壊さないよう慎重に体重移動。途中から氷質をみて左トラバースを開始。頭上には尖ったカーテンが恐ろしげに覆いかぶさっています。しかし足元はみたこともない逆立ったチビウロコ地帯で、スタンスが悪そう。さらにあがっていくと・・・


IMG_5070.jpg息を飲んだ。氷柱はここで上下真っ二つに分離していました。「終わった。。」と頭が真っ白に。Will様の理論書の通りなら、この上下の氷柱は岩との接着もとても弱いと思われます。なぜこうして存在しているのか、神秘でしかない。手前側で約30cmほど、奥のほうでは数メーターにわたって氷が途切れており、完全に向こうの景色がよく見えてしまっていました。降りたほうがいいのではとも頭をよぎったけど、それとてもはや安全策とはいえない。落ち着いてよく考えなおしたら、質量の大きい下部氷柱に乗っているよりは、さっさと質量の小さい上側に乗り移ってしまった方が安全ということに気づいた。上の氷の末端内部で水がぐるぐる回っているのが透けて見える。何もかもが神秘。下部氷柱に乗っかって(ぶった切れているから棚状のガバ足(笑))さらに左へトラバースしたら、突破口がみえた。やった!


IMG_5069_20200316092721529.jpg成田さんの「左へ行けば氷いいはず」というアドバイスも力になって無事完登できました。本当に素晴らしい氷のアドベンチャーでした!!


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それにしてもすごい立ってる。


もちろん、それによって自分のしたいことが妨げられるようなら、私は躊躇なくこうしたお仕事をお断りしたいと思っています。幸いなことにカリマーはクライマーという反社会的(笑)な人種をとても尊重してくれます。だからこそコチラとしても、これまでに培った経験技術を活かして、多少無理のあるようなリクエストにも出来うる限り応えたいと思うし、それだけのキャパシティを身に付けたいとも思います。


IMG_5095.jpgもっともっとレベルアップが必要だな!



マウンテンワークスの皆様と、撮影スタッフの皆様にも大変お世話になり、12日間の共同生活はとても楽しいものでした。本当にありがとうございました!


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私をふくめ今回はスタッフ計5名。それに対し10人分はあるように見える荷物w ギア、撮影機材等々で壮観です。。


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買い出し風景。卵の量!!!


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みなさんのスペックが高過ぎて、炊事は紅一点ながら私の出る幕一切ナシ(笑)。牛やらラムやら、お肉をほぼ毎日食べられてとーっても美味しかったー!


今回、マウンテンワークスさんが撮影した写真のなかから一部を個人的にお裾分けして頂きましたが、その他ほとんどの写真や動画などの素材は、今後様々な形で皆様のもとへお届けされることと思います。


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Moonlightへのアプローチ。3年前に登った氷瀑もいくつも再訪できて楽しかったです!


カリマーの専門店ももうすぐオープン!ということで、これからも開発に撮影にイベントにと、積極的にお仕事させて頂きます!とっても楽しみですね^^


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カナダのお土産といえばメープルシロップですが・・。個人的にオススメなのはコレ。唐辛子と果物のジャムです。数年前にはじめて"チポトレピーチ"というジャムを見つけてハマッて以来、カナダのスーパーで探しては試しています。今回も2種類購入。真ん中はキリマンジャロのお土産インスタントコーヒー☕︎


たくさんの友人がいるキャンモアにはまた必ず行きます!みなさん遊んでくださいね^^


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ラストナイトパーリー!Thank you guys!

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プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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