2020/08/18
2020/8/14〜16 利根川本谷 〜青鬼トネホンぶらり遡行記後編〜
8/15、遡行二日目。時間は朝9時前。なんとか釣果をあげたものの、パーティ5名分には少し足りません。魚止滝まで、残されたわずかなチャンスをものにすべく、引き続き竿を振ります。

すると、GTがWくんに竿を渡し、指南を始めました。
私も自分の釣りに集中しつつ聞き耳を立てます。

紺碧の釜とボルダー滝の登攀。

初日は河原歩きが多くて最後少しダレたけど、二日目はずっと楽しさが続く感じです。ちなみに河原歩きでは、底石のヌメりが激しくてずっこけまくりでした。膝もスネも何度打ち付けたか分かりません。フェルトソールの人もラバーの人もいたけど、みんな平等にやられてました。

そしてあっという間に魚止滝15m。ダム湖で丸々育ったイワナちゃんと遊べるのもここが最後です。

「ヌシ、カモン!」と竿を振り続けましたが、とうとう主は現れませんでした。きっと主も夏休みなんですね。釣りはこれにて終了です。
竿も仕舞ったし、あとは遡行を楽しみながら宴会適地へ急ぐのみです!
魚止滝は左壁を登った後、更に茂みに入って巻きました。灌木豊富で、滝頭には簡単なクライムダウンで降りられました。

当たり前のことですが、沢では何度もマントルします。インカットしたホールドを見つけたら嬉々として激カチするし、ときにはスローパーを押さえ込んだりもしますが、圧倒的に多いムーヴはプッシュです。マントルはもう何十回とやります。マントルパラダイスです。
今回、登攀用具としては60mダブルロープ1本、30mスタティックロープ1本、ハーケン4枚とスリング類を持参しました。
ここまで、落ちて深刻な場面は殆どなかったし、初沢のつかさたん含め危なっかしい人は居なかったのもあって、おのおの好きなラインで比較的自由に遡行してきました。
しかしそうはいっても、私たちやGTは経験の浅いメンバーをフォローすべき責任ある立場。
普段自分たちだけだとほとんどロープを出さない上に、後輩を山に連れていったこともあまりないので判断に迷います。
というわけで今回、基本中の基本ともいえる安全管理について、改めて勉強する場面が多々ありました。

順調に遡行を続けて13時過ぎには大利根滝20mに到着。右壁にラインが見えますが、ボロそうだし落ちたらダメな場面なので、ここではロープを出すことにしました。(某●ンタイは気づいたら上にいたけど。)
ここを超えると直ぐ1つ目のビバーク適地"ハト平"です。もうちょっと足を伸ばせば東小沢上の河原もありますが、明日の行程は短いし、もう飲みたいし、イワナちゃんもあるし、全会一致で遡行終了〜!

おそらく先行パーティ整地済みと思われる快適なポイントを使わせてもらいました!


若手メンバーの力で一晩分の薪も集まり、火も安定したところでカンパーイ!

タタキみたいになってしまったけど・・気にしない⭐︎精進あるのみ!なんと子持ちで、イクラちゃんも頂きました。甘かった!

キモも捨てず、道中GTが採ってくれたミズの葉っぱと共にアヒージョ風炒め!胃がこりっこりで美味しかったー!ミズはこれまで茎しか頂いたことがなかったですが、余さず頂けることを今回知りました。
ほかにGTがウルイもとってくれたので、シメにミズとあわせて酢味噌和えで頂きました。
極め付けは燻煙で干したイワナの骨酒!旨味たっぷり!!
GTのおかげで充実の宴です。

1尾はお刺身でしたが、もう1尾は塩焼きに。肉厚ほっくほく!ありがたや〜。ちなみに私が釣ったほうは「尺あるよ!」とパイセンのお墨付きをいただき、嬉しさ倍増なのです。

ペコマは先日ゲットした新しいおもちゃ"尺八"(もとい火吹き竹400円)を駆使して火加減を操りドヤ顔!
この晩も夜が更けたあとは温冷交代浴数クールで整い、ブヨの痒みに悶えながら就寝しました。夕方と夜中に何回かまとまった雨がありましたが、それほどたくさんは降りませんでした。
8/16、遡行三日目。この日は7時頃行動開始しました。本日の行程はかなり短そうです。竿も振らず遡行のみに集中できるので、本当にすぐ終わってしまうかも知れません。


ゴルジュの中の2段滝6m。ヤマケイの本では左岸を巻いて6m懸垂となっています。ですが遠目には難しそうなこの滝、近づいて見ると流心の左側がホールド豊富で簡単に登れました。

左にとりつくペコマ、Wくん、右壁の悪そうなラインをへつり上がるGT、ルーファイ中のつかさたん。思い思いのラインで自由に突破します。遡行スタイルもラインどりもキャンプも、全てが自由なのが沢登りの魅力です。

そして三日目の遡行内容は、全日程で一番滝登りが多いです。小さいのも含め、次から次へと釜をもった滝が現れて飽きません。

東小沢出合を過ぎ、次のゴルジュ帯に入る手前で、また崩壊した雪渓がありました。沢床にブロックが折り重なっていて少し緊張する通過でした。

連続する小滝を三者三様に越えていき、あっという間に最終局面へ!ここからは15m級の大滝が4つ連続します。鰻です。

ついに出ました!1つめの大滝である人参滝2段15mです!通常右のリッジから巻くそうで、私が見た記録の中でも直登している人はいないようでした。しかしもっさりとした灌木帯の藪漕ぎは全然そそられません。ここは当然ロープ出すでしょ、と迷わず準備をしていたら、例によってヘンタ●GTが左壁のフリーソロをはじめました。しかし左壁はヌメヌメかつ脆いらしく、でかい石を落としながらクライムダウンしてきました。

遠目に見ていてもラインが見えてこないので、とりあえず行ってみようとロープを結び登り始めました。途中までホールドに導かれながらヌメる左壁を登っていくと、1.5mくらいのブランクセクションにぶちあたります。そこで申し訳程度のハーケンを1本打って水流中を見上げると、すぐに登れそうなラインが見えてきました。

沢では乾いた壁よりも水流中のほうが岩は安定しているしフリクションも良いということがよくあります。水流に向かって1段あがり、水流中を探ると、ヌメっていないしホールド豊富でした。下から見上げたときは流心を登れるとは思わなかったので、この理想的なラインに内心ガッツポーズです。

後続をビレイ。こんなだからいつまでたっても巻きがうまくならないんですね(笑)。

お次は深山滝2段20m。右壁がよく登られていそうで岩も安定していました。

3つ目の赤滝3段15mはつっぱりでグイグイ登ります。初日よりも二日目よりも動きが良くなっていく若手たち。

そしてあっという間に最後の大滝、水上滝2段15mです。一番見栄えはしないけど、地味に悪い右壁を登ります。ロープ出しても良かった気がするけど雰囲気で全員フリーソロでした。

大滝祭りが終わった時点でまだ10時半。遡行図上はゴルジュ地形が終わりということで、地形図と照らし合わせてみても、詰めは超短いことが予想されました。避難小屋着が昼とかだったら流石に泊まらず下山しようと話していましたが、一応水流が途切れそうになったところでありったけ水を汲み、詰め上がりました。すると、最後の最後まで水流は途切れず、三角雪田があらわれました。

ペコマ以外はバイルを持っていたので、雪田の左側の泥壁を登った後、少し急な草付きを左上して尾根状に抜けました。ワンポイント、バイルなしスパイクなしでは怖いトラバースがあります。ペコマはGTがたらしたロープをゴボウで登りました。

ほんの数十メートル藪の腰上ラッセルをしたらすぐ快適な登山道です。これが天国の詰めってやつですね!視界ゼロだけど!


利根川水源の碑には11時過ぎに着き、丹後山避難小屋にも昼前到着でした。コーヒーを飲んだりくつろいでいたら、丹後山に詳しい親切な男性がデポ荷物を取りに来て、色々と教えてくれました。
12時半ころ下山開始し、温泉の歌を歌いながら降りていくと、晴れてきて暑くなってきました。道の両脇の茂みには何やらたくさん蛇がいます。ペコマに教えたら捕まえようとして尻尾を掴んでいましたが、皮がむけて逃げられていました。「噛まれないの?」ときくと「そうそう噛んでこないでしょ」とか言ってます。

その男性が言うには、「林道へ出ると大休憩できる河原がある」と・・!その一言に5人とも顔色が変わります。みな「休憩してる場合じゃない!」と飛ぶように下山し、2時間かからず林道に出ました。そこにはなんと、ジャグジーが!!

熱中症寸前だったところから、ジャグジーへダーイブ!「生き返る」とは正にこのこと!身体の芯まで冷え切りました!

ひとしきり整ったところでまた下山開始。林道歩き30分ほどで十字峡でした。デポしたフォレスターくんがお出迎えしてくれました。
青鬼トネホンぶらり旅、これにて完結!!⭐︎
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