2012/08/20
遠恋の苦しみ

私は愛しい人に側にいて欲しいタイプなので、遠距離恋愛は向いていない。
夏休みの終わりに愛する北アルプスと別れを告げるとき、あるいは週末に燃え上がるような恋をしたワイドクラックと別れるとき、いつも
「また来るからね!」
とその別れに涙する。
でも、今まで別れてきたどの恋人も、その気になれば週末に頑張って会いに行ける程度の遠距離だった。
しかしどうだろう。
確かにその気になれば行けるかもしれないが、ヨセミテは飛行機をぶっとばしても10時間。
余りに遠い。
私はヨセミテに完全に恋してしまった。
私のやりたいクライミングを見つけてしまった。
私はあそこで登れるクライマーになりたい。あそこで登りたい。
今回行って、次回の目標も具体的に定まった。
だからこれからの毎日は彼を思い、彼が今回私に教えてくれたことを常に考えながら登ろうと思う。
仕事の都合上考えても、たぶん会えるのは年に1回だろう。
織姫と彦星さながらだ。
1年に1回しか会えないのだから、次はもっと素敵な自分にならなきゃ。
日本のどこを探しても彼はいないけど、彼の面影はある。心の中に。
彼を思って登っていれば、いつだって彼と一緒に居られるはず。
彼の素晴らしいところはルックスはもちろんだけど、その懐の広さ、可能性の大きさ、そしてSなところ。
彼を意識することは、自分の総合的なレベルアップにつながる。
久しくスポーツルートに通うってことをしてないから、ここ数年フェイスのグレードは1回か2回の週末で登れる5.12前半どまり。この秋は久しぶりにグレード更新を狙ってみようかとも思っていた。
でも、ボルトの打ち込まれた壁は私の中でどんどん輝きを失いつつある。
ヨセミテで登ってそれがより顕著になった。
それはそれとして目的や楽しさがあるんだけど、今の私が求めるクライミングとはずれている気がする。
もっと彼に近づくなら、より困難な岩の割れ目を求めるほうが近い。
いっそのことフェイスの最高グレードより難しいグレードの岩の割れ目を求めたい。
岩の割れ目も、グレードが高くなってくるとフェイスムーヴが核心となることが多いだろうから、フェイスの困難さは必然的に追随してくる。だったらボルトはないほうがいい。
沢シーズンが終わって氷シーズンがはじまるまでは、そういう岩登りがしたいな。
もう頭の中は彼のことでいっぱい。
早くまた会いたいよ!
コメント