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私の使命

生きていくということは、潜在的に苦しみを抱いている。

ずっと昔からそう思ってきたし、今もその考えは変わらない。


個々のちっぽけな生活は、神の存在を予感させるような抗えない巨大な流れの中にあって、とてもじゃないが凡人にはその全体像など判らない。


そうした中で好調と不調は正に紙一重の連続によって訪れたり遠ざかったりする。


大きな壁に直面するたび、短絡的思考しか持ちえない人類はそれを「試練」と呼んでみたり「運命」と呼んでみたり。何かしら意味を探そうとする。特に苦境に立たされているとき人間は、自分に与えられたこの出来事の意味は何か、自分が生きている意味は、生まれてきた意味は何か、と誰にともなく繰り返し問う。


その「意味」とは自分のためにあるものだから、最終的には自分で自由に解釈すればいいだけのこと。
全ての出来事は特に意味などなく、巨大な流れのほんのさざ波に過ぎないものなのではないかということに最近思い至った。
人の死も喜劇も悲劇も、全部ただ起こったこと。意味を見出したいのは人間だけで、本来そこに意味などない。あるとすれば因果だけ。




幸と不幸の判断は難しい。
少なくとも死の瞬間までその答えは出せない。
人生に続きがあるのであれば、幸か不幸ではなく、楽か苦労か、の判断しか出来ない。
苦労=不幸ではない。
苦労の結果が幸という可能性も十分ある。
つまり、結局のところ人間は現在の状況について真摯に向き合い取り組んでいくしかないのである。


ペコマは今回の出来事を「ドラマみたいだね」と言った。
恐ろしい報せを受けてからの1週間は永遠に終わらない悪夢に思えた。
途方に暮れて泣くだけの日々は自分の無力さを嫌というほど教えてくれた。


でも、悪夢は醒めた。
沢山の人たちの信じられないようなパワーによって。
陳腐な言葉を使えば、いわゆる「奇跡」だろう。


そして醒めてくれたからこそ、私は今度こそ後悔しないようにと全力を投入した。
へとへとになったけれど、そこには「楽」の時間が戻ってきつつあった。
神様は私を見捨てたわけではなかったようだ。


でも、これは夢でもドラマでもなく生身の人間たちの人生だから、これで終わりではない。
死ぬまでまだまだ続きがある。
その続きをしっかりと演じていかなければまた同じ悲劇が繰り返される。
私は沢山の人に助けられながら、何人分かの人生を背負って、浮いたり沈んだりしながら達成感にあふれる人生を送っていくんだな、と今は思っている。



同じ経験をしたことのある人間が何人居るだろう?
どうして私なんだろう?
悪夢にうなされていた時の閉塞感がうそのような、未来が見える今。
死神の吐息を頬にリアルに感じた日の次の朝、予定通り北岳のふもとでRickyと合流したあの時のことを思い出す。
様々な出来事はただ起こっているだけだが、その裏には滑稽な人間たちの綱渡りや紙一重の連続がある。
「生」とは人間にとって神秘だが、数奇なものではない。
でも「人生」は数奇だ。


この出来事を文章にしたら人気ブログになるとペコマは言ってた。
いつか私のエッセイが大ヒットして映画化までして印税がっぽがっぽな老後を送れるよう、これからも精一杯滑稽に生き抜いていこう。




コメント

>ドフトエフスキーさん

コメントありがとうございます!
イワンの言葉、不勉強なもので、今知りました。
なるほど・・正に同じ考えです。
そして苦しんでいるのは自分だけでないと分かり嬉しくもあります。
また是非いらしてください^^

苦しみは現に存在する
罪人はいない
万物はしごく単純素朴に原因から結果が生まれ
流転し
均衡を保っている

イワンの言葉に近いと解釈しました。

コメントありがとうございます

いつも読んで頂きありがとうございます!
返信が大変遅くなりました。すみませんf^_^;)
なるべく近いうちに、ひとつの作品として読めるものを書き上げる予定です。このブログ上でも公開させて頂こうと思っております。
これからも宜しくお願いします(^-^)

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いつもブログ楽しく読ませていただいてます。

どんな1週間だったのでしょうか?
ブログで紹介される時を楽しみに待っています。
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プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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