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いい店ってなにか

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ペコマが肉の話をしているので、私も食べ物の話がしたくなった。
「いい店」、ひいては「うまいもの」ってなんなのか。
ほかにやらなきゃいけないことが沢山溜まっているというのに、朝っぱらから駄文を垂れ流す。


先日、家の近くの焼肉屋に行った。
その日はやたらとワインが飲みたくて、少しいい肉を出すその店ならワインリストもあるだろうということでそこを選んだ。
焼肉屋を特集しているガイドブックにも載っているような有名な店だ。
案の定、ワインリストはあった。
肉も最高級なのでとても美味しい。
だが結論から言うと、その日そこで「うまいもの」を味わうことは出来なかった。


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まず、メニューにある希少部位の美味しそうな肉を選んでオーダーすると若い店員がきいてくる。

「塩とタレはどちらになさいますか」

そこで当然のごとく私たちは聞き返す。

「どちらがオススメですか」

うまい肉というのは当然それそのものが美味いのだが、美味い肉を出す店である以上、肉を美味しく食べてもらいたいという店側の心構えが重要だ。実はいい肉でも美味しい調味料でもなく、この「心構え」こそが「いい店」にとっての最重要事項なんだと思う。

以前このブログに登場している南青山「よろにく」が、そして今まで訪れた「いい店」の数々がそれを教えてくれた。


しかし店員は言った。


「うーん・・・」


言った、というか、言葉は発さなかった。たぶんバイトだろう。そしてバイトにまで教育が行き渡っている店ではないのだろう。
値段もそれなりの店ではあるのだが、その時点で全て察した私たちは、まず求めるランクを心の中で下げざるを得なかった。ないものを求めても虚しいだけだから。

だが、そのあとにも言葉は続かなかった。


「そうですね・・オススメはないんですが・・」


ここから先は、はっきり言って人間性の問題かなと思う。ハッタリでもなんでもいいから、押し黙るよりは何かしら喋ったほうがいいと思う。社会人なんだし。


ということで、店の値段感覚から我々が期待していたものはもう望まなかった。だが、相変わらずワインを飲みたい気分は萎えなかった。


どうやらちょっといい肉を出す焼肉屋は美味しくワインを飲む場所、という方程式が勝手に出来上がってしまっていたようだ。でも最近の焼肉屋は一昔前とくらべ明らかにそういう方向へ進化している。店の内装だっておしゃれだし、煙くて臭い場所ではない。今なら付き合いたてのカップルだって気後れすることなく入れる店になっているはずなのだ。


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そういうわけで、私たちは最初に頼んだ肉が半分を過ぎた頃、ワインリストを持ってきてもらった。
ワインリストをおいているだけでなく、そこには5桁レベルのワインもリストアップされていた。
私たちはその中から6000円台のワインを頼んで、残りの肉を焼きながら楽しみに待っていた。



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しかしもう肉が残りわずかとなってもワインは来なかった。
けっこうお腹いっぱいになっていたし、追加で肉を頼むつもりはない。
このままでは最後はワインだけになってしまうだろう。


6000円台のワインをがぶ飲みするのはあまりにも悲しかった。だから店員を呼んでワインをキャンセルし、帰ることにした。
しかし店員は驚くべき言葉を発した。


「ワインはもう開けてしまいましたので、キャンセルは出来ません」


6000円台のワインを客の見ていないところであけちゃうのって、普通なんだろうか。
大抵は席にワインを持ってきて、見せて、(店によってはテイスティングをするかどうか聞くこともあって)こちらですねと確認して、あけて、注ぐのでは?


その日の私たちのテンションやリズム感とその店は大きくずれてしまっていた。仕方なく私たちはそのワインの栓をきゅっときつく締めて横にしないようにして持ち帰り、家でゆったり美味しく飲んだ。


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美味しいものってなにか。
雪山で脱水状態になり、狭いテントの中で作って飲む水はあんまり美味しくないけど美味しい。
小川山で食べる肉は最高にうまい。
よろにくで食べる肉も最高にうまい。


超グルメな人は別として、我々凡人の舌の性能はたかがしれている。
つまり、ただ本当に美味いものを美味いと感じられるかどうかは非常に難しいのだ。
「美味い」とは「楽しい」なのだ。
「いい時間を過ごせた」こそが「美味い」なのだ。


だから食事は総合芸術だと思う。
いい店はいい素材を出すだけでなく、その総合芸術を成り立たせないといけない。
でないと素材の良さが死んでしまう。
店には店のコンセプトがあるから、煙につつまれ涙を流しながらホルモンを食べるのだって一興だ。
だけど、料理の値段と店の品格はある程度比例しなければならないと思う。
やすいものを出す店がおしゃれでも構わないが、その逆はよくないと思う。
高いものを出すならそれに見合うだけのサービスが必要だ。
食事が総合芸術である以上、私たちは素材そのものにお金を払っているのではなく、店のサービスも含めすべてを総合した何かにお金を払っているのだから。


こうして考えると、「いい店」というのはまた人によっても変わってくるということになるだろう。
これからもいい店との出会いを大切にして、このブログで紹介していけたらいいな。


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プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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