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Squamish クライミング 2017/8/15 The Grand Wall 5.11a A0 Stawamus Chief

2年前は雨のため、結局取り付く機会のなかったThe Grand Wall.
The Stawamus Chiefの西壁の真ん中を豪快に登るTOP100ルートです。

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ピッチ数は8ピッチ。左上からレッジを歩いてトラバースしてMercy Meからスタートするのがオリジナルなのですが、せっかくなら地上から登りたいので、ルートの直下にあるApron Stringsから継続して、下部に2ピッチ分追加し、合計10ピッチで登りました。
グレードは5.11a A0ですが、うち8ピッチは5.10以上で核心の5.11aのピッチは連続で2ピッチ出てきます。

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また、トライした日本人の記録を読んでいる限りでは、知り合いのつよつよさんが苦労していたり、身長180cmの人がぱっつんな5.10aが出てきたり。エイドパートも男性のリーチでボルトに立ち込んでやっと次が届くみたいな書かれ方で、身長160cmアンダーの二人組では手に余る匂いがプンプンします。
トップアウトした後も恐ろしげな狭いバンドをしばらく歩かなきゃならないみたいなので、なるべくヘッデンは避けたいところ。でも記録の人たちは結構暗くなっちゃってるみたいです。

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それに、エイドなんでもアリ前提のNoseと違って、ちゃんとフリーで登れるところはフリーを追求したい。もちろんなるべく全ピッチOSしたい。

つまり、私たち二人にとっては挑戦です。

とりあえず後これから出来ることといえば、早起きくらい。1ピッチ1時間目標!ここは15時間明るいので、夜明けとともに登り始めれば何とかなるハズです。

ビビアンとつるべということにして、まずApron Stringsの1P目からちっぺのリードでスタートしました。
ギアは60mダブルロープX2、エイリアン黒〜キャメ4まで2セット+ナッツ、ヌンチャクスリング類。水は各自腰に400cc程度提げて、フォローの25Lザックに1L入れました。あとはバー少しと、防寒具、アプローチシューズ、ヘッデン。
登攀開始は6時半。もちろん一番乗りでレッツゴー!

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朝一5.10bのレイバックは疲れた。割と悪いんです。でも3P目まではすでに一度登っているのでつるべでスムーズに進みます。

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すると、2P目終了点のレッジで先行パーティとぶつかりました!彼らは日本から来た大学生だとか。左からレッジを歩いてきてMercy Meからスタートしたようです。でも遅いパーティではないので、ビレイ点をちょっと共有するくらいでストレスはありませんでした。

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振り返れば足元にはHowe Sound。これは塩湖だそうで、湖と海の中間なんだと思います。


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4P目をビビアンがリード。Mercy Meはここからさらに左上しましたが、The Grand Wallは2ピン目から右へと離脱しトラバースします。目指すハイライトの"Split Pillar"は右端に見えてる浮き出た岩塔です。


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4P目最後の一歩が結構悪い。トポには5.9 moveって書いてあります。身長155cmの短足ではぱっつんです。


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この時点で8時40分。登り始めて2時間。ペースはまずまずです。
5P目は5.10bのフェイストラバースをこなしたあと、垂壁のエイドがボルト3つ分あります。私もあまりに久しぶりのエイドで最初まごつきました。でもボルト感覚は、30cmスリングにしっかり立ち込めば充分次が届く距離感で全く問題なし。
フォローで戸惑うビビアンに口頭で説明し、登ってもらいます。ダブルロープなので、ロープごぼうも使えて便利です。


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そしてついに、The Grand Wallのハイライトともいうべき、美しいピラーの真下にきました!!
その名の通りSplitしてるのによく崩落しないよね。
先行二人がはるか上に小さく見えます。30m強はあるでしょうか。
いーなービビアンリードいいなー。

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9時半、登攀スタート!出だしは結構細くて足もスメアなレイバック。スコーミッシュにきてからはレイバックの応酬です。途中から広くなってきてジャムが手も足も決まるようになるけど、傾斜は立っている。長さもあるので、ビビアン途中であえなくテンション。
途中からエイドで上がりますが、なかなかスピードが上がりません。でも先行の大学生二人組も続く5.11aの核心ピッチでハングドックしているようで、しばらく上のテラスにいました。悪そうだなー。


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フォロー開始は10時半。ちょっと時間が押してきてるので、エイドもありでスピーディに。息が切れますが非常に気持ちのいいピッチです。途中上を見上げると、先行のリードがしめ縄みたいなごんぶとロープを男らしく登っていくのが見えました。何アレ!?(笑)
もしかして、エイドパートに残置ロープあるの!?


私がテラスに着く頃には、先行はフォローも含めて次のピッチへ抜けていました。さて、こっから核心ピッチ開始です!


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11時、登攀開始。出だしは簡単なレイバック、そしてここからは細くて甘いエッジのバランシーなレイバックです。見事にレイバックばっか!足が悪いので、ムーヴを迷っているとたちどころにパンプしてきました。足元にやっとのことで緑エイリアンをきめたら、もう突っ込むしかありません。すでによれて指が開きかけているので、とりあえずガバと信じてリップをつかみます。でも外傾してる。気にせずデッド気味に右手を寄せる。そして無理くり足をどっかにスメアして、奥に見えたクラックに手を送り、無理やりなマントル。でも体が上がりません。ズリッと下がる。ハンドが!見えてるけど届きません。「ウワーーーー!!!」と、力の限り叫びました。あの最後のエイリアン、止まるのかな?とかいう無駄な迷いがかき消されました。やっぱり声は有効です。
とりあえずがむしゃらにマントルを返して、第一核心を突破しました。


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しかしこの後もワンポイントムーヴの連続、しかも右へ左へ難しいルーファイを強いられます。よーーく岩を見ていると、浮かび上がるライン。まるでパズルを解いているかのようなゾクゾク感。一手一手進んでいきます。レストポイントがなくて前腕は崩壊寸前です。

すると、なんか上のピッチからも、「ア゛アァァァ!!ア゛アァァァ!!」という声が聞こえてきました。
・・彼らも頑張ってるな(笑)。

小さなガバをなんとか掴んで譲り合いのレストを試みるも、もはや回復困難。
そしてラストに、またまた駄目押しのレイバックか〜!!orz

もうしめ縄のような残置ロープは目の前ですが、見事に最後の最後まで休ませてくれません。
フルパワーで駆け上がり、なんとかロープをつかみました。
つまり・・・OSとは言えないですね(しめ縄は終了点アンカーよりちょい下まで垂れ下がってる)。
しかし、ルーファイに手間取りすぎてもう40分くらいかかっています。こっからはA0パート。力の限りスピードクライミング!しめ縄を掴み、ボルトに乗り、やっとの事で、リード開始から50分後に終了点につきました。
登り応えのあるピッチでした!


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ふーーマジ疲れた。と下を見やると、あれ、後続が来てる。早そうなパーティです。
ちなみにしめ縄がなくても、ボルト間隔はそれほど遠くなかったですよ。


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眼下の街を眺めながら、ビビアンのビレイ。やりきった感。しめ縄掴んだけどね(だってあったんだもん!)。

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荷物の重さに喘ぐビビアンを「ガンバー!!」と応援しますが、「もう頭もパンプして何したらいいかわからない!」とビビアン。
初めてのまともなロングマルチがThe Grand Wallなんだから無理もありません。しめ縄との死闘!
でも説明すればその通りやって、頑張って登ってきてくれました。後続は早くもSplit Pillarを終えてテラスでのんびりしてます。ツヨツヨサンダー!

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フォローのビビアンと合流し、核心ピッチを超えたことに安堵します。時間は13時。ちょうど1ピッチ1時間弱のペースで来ています。
でも今のピッチにはリード50分、フォロー50分かかりました。
次なるピッチは5.11aのレイバック。トポには"very strenuous laybacking"とあります。ビビアンの番ですが、「ちっぺリードして!」とビビアン。
荷物を持ってのフォローも辛そうとは思いましたが、なんかボルトいっぱいあるし大丈夫かな。
それにしてもまたレイバックか・・・。


ここをスムーズに抜けられれば、流石にもう暗くなる心配はなくなるでしょう。
ボルトいっぱいあるし、ただひたすら腕と足を動かし続けました。結構疲れたけど、さっきの5.11aのレイバックに比べたらだいぶ楽。
無事テラスへ抜けてOS!The Flatという名のでかいレッジに着きました。

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フォローのビビアン。おつかれー!あとちょっと!

続く9ピッチ目も、オーダーを元に戻すためちっぺがリードです。このレッジで後続のツヨツヨご夫婦と合流しました。あとで聞いたら、ボストンのジムオーナーで、子供を預けて来てるから16時までに下りたいんだとか。無理っしょ!

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ここもスラブは5.9ながらしびれました。進んでしまったら最後、フォールもクライムダウンも不可能。シューズの性能と花崗岩のフリクションを信じてひたすら遠くのボルトを目指すのみです。
ちなみにスラブを抜けた後のレッジ to ガバは5.10aながら届かず、エイドでした。

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後続夫婦に抜いてもらい、ついに私たちも最終ピッチ!ビビアンのリードです。大フレーク下部のトラバースがストレニでテンション。もう疲れ切っていると思いますが、最後まで力を振り絞って抜けて行きました。


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登攀終了は16時半!ちょうどぴったり10時間です。お疲れ様でしたー!


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でもまだ遠足は終わりません。左へ行くと、さらにいくつかルートがあって、ChiefのPeakに登ることができます。降りる場合は右へ。ここから"Bellygood Ledge"というバンドを歩いてトレイルを目指します。


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なかなかの高度感。お腹が出てたらつかえて多分通れません。


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帰りのFirst Peak Trailも気持ちのいいお散歩。早くビールが飲みたい!

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キャンプ場について、ちょっと歩くと車を停めたview pointの駐車場に着きました。テーピングを駆使して自撮り。登ったどー!


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あーつかれた。ビールはやく!

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ディナーはまたまたHowe Sound Brewing!この日はちょっと寒かったけど、登った壁が良く見えるテラス席で乾杯しました。
無事完登、おめでとう!明日からも楽しみです!



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プロフィール

chippe

Author:chippe


肉好きchippeのブログへようこそ!
2006年10月 山歩きを始める。
2007年9月 クライミングを始める。
山岳同人「青鬼」所属。
「メラメラガールズ」所属。
国際認定山岳医。
「カリマーインターナショナル」アンバサダークライマー。
現在は無職、旅人。
旦那さんはpecoma。

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