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2018 10/27〜28 Washington Column "Astroman" 5.11c 11pitches day2

【Astroman Day2〜Tough, long and painful day...】
10/28、朝3時起床。
夜間、胸の痛みで何度か起きた。
昨日のEnduro Cornerトライの後から何となく、右胸の違和感が増強していた。

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朝ごはんを胃に押し込んで、登る日以外は温存してきた大切なロキソニンをまた1錠内服した。

昨日、ケルンを積みまくったおかげでアプローチはスムーズだった。デポしたギアも無事回収し5時ころにはユマール開始となった。
荷物は私の35Lザックに全てまとめ、ビレイループからぶら下げる。上に左手用のアセンダーを、下にグリグリ2をセット。右手でロープを引き上げようとしたところ、右胸に激痛が走った。

ぶら下げた荷物を引き上げるのもひどく痛い。もたもたしていると、Sさんが「荷物は俺が持つよ」と言ってくれた。ここは素直に甘えたほうが良さそうだ。それにしても、なぜこんなに痛いのか分からない。昨日無理なムーヴをした自覚は全くない。ただ、Enduro Cornerの核心を超えた後で「ずきっ」ときたのは気になっていた。もしかすると何かしらの理由で、肋骨骨折が悪化したのかも知れない・・


【10/17、OSトライでロングフォール】
Valleyに到着して三日目。Cookie Cliffの看板ルート"Outer Limits"を2ピッチ繋げてOSトライした時のことだった。


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エリアで一際目を引く30m超のフレーク/ハンドクラック。1ピッチ目は5.10cで★4つ。日中は暑すぎて厳しい。早朝か、午後日が陰るのを待ってトライしたい。

1ピッチ目を登り切ったとき、すでにメンタルもフィジカルもかなり消耗していた。
#3も#4も置いてきたのが大きな間違いだった。そのせいで激しくランナウトしつつ、すでに#2は使い果たしていた。
左のテラスにあがればピッチを切れる。でもクラックはまっすぐ上へと続いている。
この時は、このままOSトライを継続したいという気持ちが勝って、つっこんだ。
2ピッチ目は、ひきつづきクラックをたどってハングにぶち当たったら、ハング下のフィンガークラックを5mほど真横にトラバースする。

だが、2ピッチ目を登り始めて数メートルで早くも後悔しはじめた。
ハングまでのハンドクラックもずっと#2サイズだったのだ。しかもクラックは少しずつ広がっていっている。
ちょっとだけ狭くなっている場所を見つけて、開き気味の#1キャメロットをセット。そこが最後のプロテクションになった。だが奥が広がっているのでカムが歩いたらアウトだ。

怖さから、そこから先の一手一手も全力で、だいぶパンプしながらハング下までたどり着いた。落ちられない。が、体勢が悪くレストも出来ない。核心のトラバースはかなり悪そうだった。外傾したピトンスカーをつなぐ際どいムーヴになりそうだ。しかも拾えそうな足は全くない。

とりあえず、早くプロテクションを取りたい。出だしのピトンスカーにエイリアンを2つきめた。テスティングしたら1個抜けたから、きめ直してもう一度テスティングした。
今度は大丈夫。ロープをかけた。

2、3手耐えればガバカチに届きそうだが、そこまでのホールドは非常に甘かった。探っているうちにぬめってきた。しかしそろそろ行かないとヨレ落ちするのは時間の問題だ。もう一度テスティングしてから、一手出した。次の一手はデッドだ。次の瞬間、ホールドを捉えられず、フォールした。

一瞬の出来事だったが、ずいぶん長い距離を墜落した。固め取ったエイリアンが2個とも弾け飛び、その数メートル下にきめていたあの#1キャメで止まったようだった。Sさんから「大丈夫!?」と声がかかる。私はといえば・・。首はヒリヒリしていて多分ロープバーンになっている。でもそれ以外はどこもぶつけていない様子。かすり傷もなかった。

暗くなったのもあってRPは諦め降りた。そして帰りの車の中ではじめて、右胸の違和感に気づいた。
違和感は痛みに変わり、「肋骨骨折かも?」と疑いはじめた。しかし腫れてもいないしアザの1つも出来ていない。それでも、痛むところを探って押してみると、嫌な圧痛があった。たぶん折れている。ロングフォールによって何らかの間接的な衝撃が局所に加わったのだろう。同じ原理で骨折でなく肉離れが起きたとも考えられる。結局その翌日も痛みは続いた。
でも痛み止めを飲めば登れないことはなさそうだった。


【長い1日は、まだ始まったばかり】
空身になって、ユマールを開始する。しかし、体勢を工夫しても、右手と左手を入れ替えても、猛烈な痛みで動きが鈍った。
これまでの1週間登り続けてきて、痛みはあったものの、とくに悪化はしていなかった。むしろここ数日はもうだいぶ良くなったようだと思っていたほどだった。何が起こったかはさっぱり不明だが、とにかく痛過ぎた。ユマールは遅々として進まなかった。
そのうち痛みと焦りとで吐き気がしてきた。なんとかたどり着いたはじめのアンカーでロキソニンを更に2錠飲んだ。
そこからはロープ70m分をほぼ空中ユマールだ。気が遠くなるようだった。でも半分ほど登ったところで、少しずつ薬が効いてきたのを感じた。

昨日OSしたEnduro Cornerが、今日は永遠に続くかに思われた。喜びの雄叫びをあげたテラスに這々の体で辿り着く頃には、もう東の空がうっすらと明るくなり始めてしまっていた。どうしてこんなことに・・。様々な思いが去来する中、冷たいテラスに横たわって星を眺めた。気がつくと少し寝ていて、夜明けの冷たい空気に身震いした。
Sさんが到着し、登攀準備にとりかかった。本来なら夜明けとともに登攀開始したかったが、私のせいで少し出遅れた。
Sさんにも明らかに焦りの色が見られる。ほとんど休憩もなしに、すぐリードを開始した。
さあ、ついに長い1日のはじまりだ。


【Harding Slot、Changing Corners、そして】
4ピッチ目は24mほどで、Sさんは素早くリードを終了した。

続く5ピッチ目は40m。

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前半はそれほど難しくないワイドだが、後半部分は初めムーヴが全く分からず、かなり逡巡した。最終的にはワイドから飛び出して、左壁のホールドと右の尖ったフレークを使った大胆なステミングで解決。こんな奇想天外なムーヴははじめてだった。5.10cながらまたしても落ちられないランナウトを強いられ、このピッチにも時間がかかった。でも何とか早く、岩が灼熱と化す前に本日のメインディッシュであるHarding Slotへのバトンを手渡さなければと必死だった。

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そうして迎えた6ピッチ目。いよいよ、覚悟を決めた顔のSさんが離陸した。出だし数メートルはかぶった5.10cレイバック。順調に高度を上げるも、一時の逡巡があった。「ガンバ!」とエールを送った。しかし次の1手を出そうとするSさんの体はなかなか上がらなかった。ついに「テンション」のコール。残念ながらOSは出来なかった。だがそこで1テンションしたのち、核心であるはずのSlot部分は流石のSさん、するするとノーテンションで抜けて行った。フォローで登ったが、非常に難しかった。出だしさえ切り抜けられれば十分OSは出来たはずで、その点は残念だったが、やり直す時間はない。先へ進んだ。

7ピッチ目。ピッチグレードは5.11bだが、出だしは5.10前半だ。しかしこの頃にはすっかり高く昇った太陽が、ラインをこれでもかとじりじり焼いていた。かぶっていて先が見えない。手のぬめりを感じ、嫌な予感に包まれながらリード開始すると、ハングの抜け口でスリップ、あっさり落ちた。何度チョークアップしてもハンドジャムはぬるぬる滑る。不甲斐ない思いで次の一手を出すと、その向こうはまだ日陰で、快適なハンドジャムが続いていた。ああ、ここさえ抜けられれば・・。しかしすでに闘志はしぼんでいた。つづく核心の5.11b部分。何度かムーヴを起こそうとして、たぶんこうなんだろう、というのは分かった。だがそのムーヴは余りにパワフルで悪いムーヴに思えた。フォールするまでひとまず試してみても良かったのだが、解決できずにエイドする自分の姿が浮かんだ。エイドするくらいならフリーで抜けよう。時間もあまりなかったので、そうと決めたらもう迷いはなく、右の5.10c var.のラインから登った。

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8ピッチ目。"Changing Corners"をSさんリード。ボルダリーなマントルをこなした後に美しいコーナーのパズルを解く、実に個性的なピッチだ。Sさんはトリッキーなコーナーにやられてフォール。CornerがChangeしたあとは、また微妙なサイズのワイド登りが待っており疲れた。

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9ピッチ目は5.10a。時間は15時に迫ろうとしていた。レイバックから小ハングを乗り越えると傾斜が緩み、ワイドハンド〜フィスト、部分的にリービテーションでずり上がること50m。のろのろ運転もいいところだった。さらにハング下を10mトラバースしてピッチを切る。

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日暮れが迫っていた。

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10ピッチ目は5.10d R。時間が限られていたこともあり、部分的にエイドで抜けたとのことだった。17時半頃フォロー終了、そのままバンドを歩いて18時過ぎ、トップアウトした。


【North Dome Gullyの下降】

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ギアをまとめ、軽くエネルギー補給をしたらすぐ出発した。ガリーまでのレッジのトラバースはまだ辺りが見渡せる明るさだったが、ほどなくして日は沈んだ。

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North Domeを間近にのぞむ。

踏み跡ははじめ明瞭だったものの、露岩帯に入るとはっきりしなくなった。滑り台のようなスラブを慎重に降りたり戻ったり、右へ行ったり左へ行ったり、謎の残置スリングを見つけて懸垂しようか迷ったりと、30分ほど彷徨った。やがて見つけた踏み跡から露岩帯を脱出し、森の中の踏み跡を下った。しかしアプローチ道には合流できず、かなり左のほうからトレイルに合流した。ロープ回収は明日に持ち越しだ。
車に戻ったのは20時半ころ。長い1日が終わった。


今回のOSトライ、内容は満足出来るものじゃなかったけれど、ふたりとも実力は出し切ったし、その範囲においては一番いいトライが出来たと思う。だがその上で、やはり実力不足だったと痛感した。
技術だけでなく、体力、気力、どれも力足らずだった。
でも、次回はもっとうまくやれる気がする。
次なる目標はワンプッシュRPだ。


【エピローグ】
その夜は激しい痛みに悩まされた。仰向けで寝られず、寝返りも打てない。
ビッグウォールに行けるかどうかはかなり怪しくなった。

明くる29日は、朝起きてそのことをSさんに打ち明けた。
ロープ回収に行ってから、一番近いOakhurstの街へ出た。

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Oakhurstで本場のバーガーを食す。残したポテトはTo go boxへ!

呼吸のたびにぐぐっ、ぐぐっ、と肋骨が動いている。今まではこんなじゃなかった。結局この日1日買い物をするだけでも大変な苦痛だった。

これはもはやビッグウォール云々以前の問題なのでは・・。
と思いつつも、とりあえずビッグウォールに行く前提の買い出しをしてまたValleyに戻った。

そして翌30日は、SさんのリクエストでCascade Falls Leftの"Crimson Cringe"へ行った。私は大人しくしていると決めてビレイに徹した。
しかし、ビレイ3便目でやはり登りたくなってきた。


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Crimson Cringeは、甲斐駒ケ岳スーパー赤蜘蛛のスーパークラックによく似ている。
今日は胸にがっつりテーピングもしてきたし、どうしても登ってみたい。

Sさんは見事RP。だがこのルートは左上しているためフォロー回収が必要になる。TRなら大丈夫だろうと、回収便でトライしてみることにした。
そして幸か不幸かこの1便で、クライミングは休むしかないことがはっきりした。
もう、これはダメでしょ、っていう痛みだったorz

あと1週間を残して、私のヨセミテツアーは終了してしまうのか・・。
失意のうちに眠りについた。仰向けで寝られないから、横向きで。
ああ、明日目が覚めたら治ってないかなぁ・・・


<Yosemite レポ〜John Muir Trail編へつづく(笑)>

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プロフィール

chippe

Author:chippe
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2006.10 山歩きをはじめる。
2007.9 クライミングをはじめる。
山岳同人「青鬼」所属。国際認定山岳医。
好きな食べ物:肉。
カリマージャパンアンバサダー。

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